息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

幻想病院

2013-03-31 10:21:34 | 著者名 や行
米山公啓 著

星新一のショートショートを思い出す、ウィットに富んだ大人の物語。
医療の問題点を鋭く切り取り、近未来を舞台に語られる話はさすがのひとこと。

ブラッキーでシュールで、クスリと笑える。
一つひとつの話は短くて、あっという間に読めるのだが、それが惜しいくらいに
それぞれの完成度が高い。

高齢社会、画期的な新薬、健康保険制度の破綻、遺伝子治療。
どのテーマも現実的で、既に問題になっているものも多い。
笑えない笑い話であるが、それがまったく人ごとではない。
きっと近い将来に起こってしまいそうで怖いのだ。

著者は現役の医師。
だからこそ書けるリアルさなのだ。
知識が裏付けているからこその近未来の姿といえる。

待ち時間が長くて安心する「待たない病院」なんて皮肉に満ちているが
ありそうで怖い。

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