藤本稟 著
「バチカン奇跡調査官 血と薔薇と十字架」はシリーズ五作目であったが、どうやらこれが第一作。
というわけで読んでみた。
うんこれもなかなか面白い。
人里離れたアメリカの荒れ地に建つカトリック(こう習ったのでカソリックとは
言いたくない、っていうか、公的にはカトリックではなかったっけ?)の修道院と
併設の学園を舞台にした物語である。
処女懐胎、エクソシズム、聖痕などなど、事件は盛りだくさんであり、
そこにナチスの残党が絡むという複雑さ。
結構よく描かれているのだが、いかんせんカトリックについては(表記も含め)
取材が甘かったような気がする。修道院が何をするところか考えてみれば、
修道士や修錬士がいないというのは不自然だし、通常カトリックの修道院で
男女がこれほど近いというのも考えにくい。
讃美歌や牧師服というのはプロテスタントのものなので、カトリックの修道院では
ありえない。
すでに神父になっている人が司祭をめざすというのは意味がわからない。
バチカンがタイトルにまで入っているのに、しかもさんざん薀蓄を語っているのに
実に残念だ。薀蓄の部分も好みが分かれるだろうなあ。
まったく予備知識がないとつらいかも。
まあ、それを差し引いても結構楽しく読めた。結構好きだな。
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