バスジャック

三崎亜記　著

バスジャックが市民権を得、一通りのルールが成立した…というのが表題作。
おいおい、という感じであるが、なんだか読ませられてしまう。
人間って表現し、主張したい生き物だからね。
そんなこともあるかもしれないよ。
…などと考えてしまうのだ。

実はこれ短編集で、ほかにも興味深い話がいろいろある。
うわぁという感じで終わったのが「二階扉をつけてください」
ブラッキーな作品。

そしてぜひ一読の価値ありと思ったのが「送りの夏」
これはしみじみと読めた。
大切な人と別れるということには、段階が必要なのだ。
それは人によって、別れの時期やかたちによってさまざまだけれど、
こんなふうに納得しなければ、いつまでも心が整理できないのだろう。

『失われた町』の著者でもある。
これからも楽しみに、ずっと読みたいと思わせる人だ。