息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

青の炎

2011-02-15 11:08:08 | 著者名 か行

貴志祐介 著

何やら二宮和也主演の映画で有名な作品らしいが、それはまったく知らない。

でも、予備知識なしで読んで、かなり楽しめた。

優秀でしっかりもの、母子家庭の母を助け、妹をかばいながら生きる高校生の主人公の前に、

ずっと以前に母と離婚したはずの養父があらわれる。

知恵を絞り、なんとか追い出しをかけてみても、高校生の力では及ばない。

母ばかりか妹までも危険だと感じた主人公は、殺人を決意する。

 

絶対に悪いことをしそうにない少年が、落ちていかなければならなくなった軌跡。

哀しいのに説得力があり、そしてそれが切ない。

 

舞台である鎌倉の描写も美しくて、いかにも健全な高校生の暮らしを彩っている。

そして、それがまたひときわ、運命の暗転を強調する。

アイドル映画だった、ということで記憶されるとしたら惜しい感じだ。

映画は映画として、二宮くんは二宮くんとして、そしてこの作品は独立して、

面白い、という評価であってほしい。