貴志祐介 著
何やら二宮和也主演の映画で有名な作品らしいが、それはまったく知らない。
でも、予備知識なしで読んで、かなり楽しめた。
優秀でしっかりもの、母子家庭の母を助け、妹をかばいながら生きる高校生の主人公の前に、
ずっと以前に母と離婚したはずの養父があらわれる。
知恵を絞り、なんとか追い出しをかけてみても、高校生の力では及ばない。
母ばかりか妹までも危険だと感じた主人公は、殺人を決意する。
絶対に悪いことをしそうにない少年が、落ちていかなければならなくなった軌跡。
哀しいのに説得力があり、そしてそれが切ない。
舞台である鎌倉の描写も美しくて、いかにも健全な高校生の暮らしを彩っている。
そして、それがまたひときわ、運命の暗転を強調する。
アイドル映画だった、ということで記憶されるとしたら惜しい感じだ。
映画は映画として、二宮くんは二宮くんとして、そしてこの作品は独立して、
面白い、という評価であってほしい。
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