息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

海の底

2011-02-19 12:26:30 | 著者名 あ行
有川浩 著

塩の街」「空の中」とともに自衛隊3部作といわれている。
やっぱりちょっとだけライトノベルで、「塩の街」に比べると
潜水艦の中が舞台なだけに、よりマニア感がある。

桜祭りで解放された米軍横須賀基地。
そこに停泊していた海上自衛隊潜水艦「きりしお」の隊員がみたのは、
巨大な甲殻類が続々と上陸し、人を襲う姿だった。
わずかに救出できた子どもたちと、それを守ろうとする自衛官。
パニックになる親たちと、それに便乗して騒ぐ報道陣。

身動きの取れない潜水艦の中、何の訓練も予備知識もなく閉じ込められた状態。
精神状態も限界に近づく中、米軍と日本政府とのかけひきが続く。

偶然世話役を押し付けられ、一緒に閉じ込められることになった女子中学生、望。
何かとキーパーソンになる彼女だが、女の子一人という苦しい立場を理解し、
助けていこうとする自衛官たちが頼もしい。

ネットで漏れる情報、筋違いの批判、ああ、こんなことってありそうだな、という
エピソードがいっぱいだ。

巨大生物が襲うパニックもの、というと、ウルトラマンシリーズなどを思わせるが、
そこにいる人一人ずつにぐっと寄ることで、リアリティがある物語になった。
好みは分かれるだろうが、私は嫌いじゃないな。