息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

精神科の待合室

2011-02-10 13:46:09 | 著者名 さ行
斎藤茂太 著

もう40年くらい前に書かれた文章だ。
なのに、現在メンタルな悩みと言われているもののほとんどを網羅しているように思う。
カナータイプの自閉症や、ネグレクト、うつやアルコール依存など、読んでみると
しみじみこれらの問題のむずかしさ、重さを考える。

そしてこんなに前から、世間的には全く理解されていない病に真摯に向き合い、
患者を理解し、社会に発信しようとしていた医師がいたことに驚かされる。
自閉症についての理解は、この当時に比べると画期的に進んだし、
適切な療育を受けられる人も増えている。

病院に閉じ込めない、という方向に社会は進んできた。
その反面、責任や負担を誰が負うのか、親がすべてを負えるのかという問題がある。
暮らしていけないのに外に出されたと苦しむ人もいる。

かばえばいいというものではない、突き放せばすむものでもない。
誰がどう支えるのか、答えが出ない苦しさがある。

メンタル的なトラブルは増えていると感じる。
身近にも本人だけでなく、家族の問題で苦しむ人がいる。
何もできないなりに、せめて正しい理解と求められる支えができればと考えている。