哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

『シュレディンガーの哲学する猫』(中公文庫)

2009-01-25 08:37:37 | 哲学
 文庫版が出たことを新聞書評欄で見たので、早速読んでみた。元の本は98年12月刊とあるから、10年前に既に読んだことがある人も多いのだろう。

 読み物としての体裁が猫との会話方式であるところが、池田晶子さんのソクラテスシリーズを思い起こさせ、その点では好感が持てる。巻末には参考文献として池田晶子さんの本も取り上げられているので、なおさらである。

 内容的には、哲学者名を個別の章で取り上げて紹介していく形だが、廣松渉氏や大森荘蔵氏、さらには小林秀雄氏まで取り上げており、普通の哲学本とは異なる拘りがあるようで、大変面白く読める。とくに小林秀雄氏を敬愛する態度は、池田晶子ファンとしても共感できるところだ。


 哲学者の思想を羅列するような内容なら、池田晶子さんが「ソフィーの馬鹿」とよく書いていたように、池田晶子さんに一刀両断されてしまうところだが、小説的(自伝的?)ではあるものの、自ら考える姿勢を示しているから、許されそうである。