哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

自分の消滅(週刊サンデー毎日今週号の「暮らしの哲学」)

2006-07-31 22:55:00 | 哲学
 適当にフォローしているサンデー毎日の連載ですが、今回もわかりやすいようでわかりにくい文章ですね。面白いのではありますが。


「絶対的な言葉は、誰が語っても同じである。意味は普遍的であるから、「自分」は消滅する。しかし、相対的な個人を超えた絶対的意味を掴んだ人が「語る」ときは、自らのスタイル=文体となる。」



 意味は普遍だが、語るときは自分の言葉でなければ、普遍=絶対を掴んだことにはならないというのですから、矛盾しているように見えますが、ごもっともですね。意味は普遍であっても、当然日本語と外国語は形態として言葉が異なるわけですし、同じ日本語でも人によって表現が微妙に変わるのでしょう。自らの言葉で真理を表現する、というのは普通の人である我々には結構高いハードルです。


 ところで小林秀雄さんを例に、池田さんは「文章には、花がなければつまりません。」と最後の方で書いていますが、これは何だか小林秀雄さんのパロディのような言い方に思えます。
 池田さんの文章には花があるというよりは、全く逆に、切れすぎる刀のような鋭利さがあります。あまりに切れすぎる刀は使い方が難しいのでしょうが、正しく用いればこれほど真実を切り出すにふさわしい言葉はありません。但し傷つく方々も多いのかも。


3 コメント

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Unknown (Unknown)
2006-08-03 22:14:12
池田さんのスタイル=文体の出発点は、やはり「REMARK」でしょう。私は最初の何ページかで眠くなって、挫折したままです。



年内に「REMARK・完全版」が刊行される予定だそうです。楽しみに待ちましょう。
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そうですね。 (miyurin)
2006-08-05 07:54:48
思考が言葉によるものではないことを彷彿とさせるうえ、それを言葉で書くのですから、なかなか理解を越えてますよね。
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Unknown (kounit)
2006-09-14 14:45:17
自分の言葉で考え、自分の言葉で表現すること、これぞ哲学する事だと思います。それも、素朴な言葉で宵のではないでしょうか。小林秀雄のような磨き抜かれた言葉でなくとも・・・・・
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