哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

オウム真理教信者の逮捕

2012-06-19 03:53:35 | 時事
 サリン事件で指名手配されていたオウム真理教信者が相次いで逮捕された。十何年も偽名で隠れて生活するというのは想像を絶するが、最後につかまった男性はいまだに麻原彰晃やオウム真理教を信じているというからなおさら驚く。報道で、久しぶりに麻原彰晃が宙に浮いているという写真も見たが、またもやテレビキャスターの人は、汗をかいているから一瞬飛び上がっただけで神秘なことではない、とか説明していた。


 ご存じのとおり、池田晶子さんVSオウム真理教も因縁深いところがあり、何度も書いているが、神秘体験とかについて書かれているところを引用する。


「最も当たり前のことこそが、最もわからないことなのだと気がつけば、超常現象なんてものは、存在しなくなるのである。「わからない」すなわち神秘、日常こそが、神秘である。世界が在ること、自分であること、そいつが生きて、そして死ぬこと、これら当たり前のことの全てが、驚くべき神秘の出来事である。日々刻々、この驚くべき神秘を体験しているというのに、なんでわざわざ別の所へ、神秘を体験しに行く必要があろう。空を飛んだのオバケを見たのなんてのは、この絶対的神秘に比べれば、オマケみたいなもんである。そんなことは、あってもなくても、どっちでもいいのである。オバケの存在に驚く前に、自分の存在に十分に驚いているものだろうか。」(『41歳からの哲学』「当たり前とは何であるか-再び宗教」より)



 偽名で隠れ続ける「自分」というものを、逮捕された彼はどう考えていたのだろうか。いまだに「信じている」という、その精神状況を想像することは不可能だが、十何年間逃げ続けながら、そのような信仰に関する考えが一切変わらなったということは、やはり思考停止をしたままなのかもしれない。