手向(たむ)け

気がつけば、お彼岸の三日が終わろうとしている。

地元の檀家さんはいつも通りに歩いて、あるいは自転車でお参りにいらっしゃる。
しかし、ご親戚の方々のお参りは、いつもよりずっと少ない。おそらく四分の一くらいだろう。

玄関でお線香をお点けながらの話は、すべて地震関連だ。

そんな話をしながら、被災地のお墓やお寺事情に想いを馳せた。

お参りどころではないだろう。地方のこととて、お彼岸のお参りは欠かさずに続けてきた方々が、避難所や、集団で避難。あるいはお墓が全部流されているところも数多い。

そんな方々に代わるかどうかわからぬが、拙いながらも、密蔵院の本堂で香を手向けている。

とはいえ、全力でお彼岸モードかと言えばそもういかぬ。
彼岸前日になって、さわやかな般若心経の第三章の「仏教質問」コーナーの項目が送られてきたからだ。22日までにお願いしますとのこと。彼岸注の五日間しかない。
うはっ!である。
であるが、この時期だからこそ、復興が軌道に乗り始めた時に読んでいただくのに、もってこいの本にしたいという思いが強くてなって、資料などを確認しながら、二日間で書き上げた。



パソコンの前でカチャカチャやっいる所に、家内がお茶を持ってきてくれて、私の書いている原稿をチラリと読む。
「あなた、もう書けない、もう書けないと言っているのに、よくそうやって次々に書くことがでてくるわね」と感心している。
自分でも不思議だが、思いが先にあると、足りない頭でもどうにか、ナニモノかを紡ぎだしてくれるもので、これはこういう作業をしている人にしかわからぬ感覚だろうと思う。

明日の東京は雨の予想。本堂でお香を手向けながら、彼岸中日を過ごしたいと思う。
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