風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

シブコ渋滞

2019-09-20 21:58:55 | スポーツ・芸能好き
 ゴルフ稼業もなかなか忙しくて大変だ。4日間の日程の場合、月~水と3日間休むだけで次の大会へ、今週はしかし4日間休んで今日からデサントレディース東海クラシックが始まった。今日の初日は黄金世代の同級生、渋野日向子(シブコ)と原英莉花と新垣比菜との三人組だったものだから、和気藹々、大ギャラリーを引き連れてのラウンドだったようだ。
 先週のシブコは、全英を制してから初の西日本での、地元・岡山に近い神戸の大会初日に、国内女子ツアーでのオーバーパーなし記録を「29R」に伸ばして歴代単独トップに立ったが、記録はそこで途絶えてしまった。それなのに記者からの質問にはいつも通りの笑顔でハキハキと答えて、やはりタダモノではないと感じる。週末となった三日目以降は、周辺の道路が混雑する「シブコ渋滞」や、コースに向かうバスを待つ「シブコ行列」も起きたと報じられた。
 一体、私を含むオジサンたちを中心に、これほどまでに注目を集める魅力は何だろうかと思う。
 地元のゴルフ練習場でも、すぐにオジサンたちと仲良くなるのだと、本人はオジサン・キラーを自称していた。スマイリング・シンデレラと呼ばれる笑顔を向けられると、明るく幸せにしてくれるし、ついデレッとしてしまうのもよく分かるが、海外メジャーで優勝しようが、変わらない、大物らしくない、話しかけ易い雰囲気に包まれているのは事実だろう。全英女子では、ホールからホールへニコニコと最大限の愛嬌を振り撒きながら移動し、クラブを握るや表情は一変、集中してささっと仕事を片付ける、手際の良い仕事師振りがまた颯爽としていてカッコイイのだ。そしてインタビューを受けるとシブコ節である。こうしてルーキー・イヤーであるにも関わらず、プロとしての完成度が高いのは見事だ。いや、完成されているのではなく、天性のものだろう。
 「プロフェッショナル」とは、英語では「職業としての」というほどの意味だが、アマチュアと違って技量がずば抜けていることに加えて、客商売だからファンを楽しませることにも秀でていなければならない。その意味で、イチロー(最近メディアは「さん」付けにするが、気持ち悪いので、商標として呼び捨てにする)は技量が優れているのはもとより、インタビューも個性的で、私たちを存分に楽しませてもくれた。それを彼なりに計算しているようなところもあった。松井秀喜も同じスーパースターだが、インタビューは優等生的でイマ一つどころかイマ二つくらいだったのとは対照的だ(が、キャラクターはクソ真面目でもなんでもなく、お茶目だ)。シブコもまた、技量が並はずれている上に、ファンを楽しませてもくれる。ゴルフが楽しい!(今でもソフトボールの方が好きらしいが)と思わせてくれる。断筆(ならぬ断クラブ)宣言中の私にも、ゴルフって良いよなあ・・・と思わせてくれる。
 岡本綾子さん(私たちの世代にとっては世界のアヤコさん、だ)から、先週末、次のような見立てが伝えられた。「渋野さんはもう、いっぱいいっぱいでしょう。初優勝した5月の頃の歩き姿と比べて、今は背中が丸くなっているし、さすがに体が疲れています。今年最初、3月にツアーに出た時は一人もギャラリーがつかなかったのが、それが今は大勢になっているのですから。体を休めることもままならないでしょう。でもそれが“騒がれる人”の仕事。岡本綾子もそれを30年やってきたわけですから。時代は繰り返されるということ。乗り越えていくしかありません。途中下車はできませんからね。」 シブコ自身も全英から帰国後は「顔バレするし、プライベートはなくなったかな。ひっそり生きていきたかったのに」とジョーク混じりに戸惑いを漏らしたらしい。しかし今日は5バーディー(2ボギー)を奪って上々の滑り出しに、「久しぶりに良い気分。楽しくできた。回るメンバーが良かったのが一番大きい」と語ったそうで、良かったね。
 指導する青木翔コーチは「シブコはまだまだ下手くそ。やることはたくさんある」と話していて、本当にこれからが楽しみな、ゴルフ界の至宝だ。
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