風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

マラソン・グランド・チャンピオンシップ

2019-09-16 13:08:26 | スポーツ・芸能好き
 東京オリンピックのマラソン日本代表選考レースMGCが行われた。瀬古さんが「日本一小さいマラソン大会だが日本一エキサイティングなレースになる」と期待を込めていた通り、四強の大迫傑(現・日本記録保持者)、設楽悠太(前・日本記録保持者)、井上大仁(アジア大会の金メダリスト)、服部勇馬(福岡国際の優勝者)を含む男子30人、女子10人の実力者が勢揃いし、最後までもつれる白熱した展開になった・・・と言っても、男子の30Km過ぎたあたりまでしかテレビ観戦せず、その後、外出してしまったので、残念ながら肝心の終盤戦を見ていない。YouTubeに、TV画面を外からビデオで撮ったらしい最後の8分映像が載っていて、辛うじて堪能した。
 東京オリンピックが(もっと言うと日本記録更新で1億円ボーナスが!?)モチベーションに繋がっているのか、最近の男子マラソンには少し動きが出ており、名前を覚えていなくてもなかなか有望な選手がいて、結果として、私には馴染みのない中村匠吾が優勝した。気温が30度近い暑さの中で2時間11分28秒は見事だった。2013年の箱根駅伝3区で駒大2年だった中村は、四強の内の三人、大迫(早大)、設楽(東洋大)、井上(山梨学院大)と同区間で対決し、同学年の井上には勝ったものの先輩2人に敗れて区間3位に終わっていたそうだ。今回、リベンジが叶ったことになる。
 テレビ観戦中にはぶっちぎりだった設楽悠太は、普段の振る舞いから「宇宙人」「異端児」と呼ばれる通り、また事前の会見で大逃げと予告した通り、この高温でも帽子やサングラスや飲み物でも暑さ対策をしているようには見えず1キロ3分ペースを刻むという異次元の走りでハラハラドキドキ楽しませてくれたが、25キロ過ぎからペースを落とし、37キロ過ぎで2位集団に吸収され、最後は14位に沈んだ。
 私が一番期待していたのは、大迫の走りだった。ここ一年半で二度の日本記録に沸いたとは言え、大迫の2時間5分台ですら世界で伍して行くのは難しい。3000mと5000mでも日本記録を持つほどのスピードにもう一段の期待をしたいところだが、今回の内定を逃がしてしまった。
 残る1枠は、MGCファイナル・チャレンジとして、国内の指定3大会(福岡国際、東京、びわ湖毎日)で、大迫がもつ日本記録2時間5分50秒を上回る最速タイムの選手が内定することになり、該当者がいなければ、今回3位の(そして日本記録保持者の)大迫が切符を手にするという、出来過ぎの展開となった(笑)。瀬古さんのマラソン経験者らしい弁が面白い。「設楽は事実上、30キロまでしかレースをしていないし、井上に至っては10キロほどだろう。体は回復する時間はある。一方の大迫は42キロを全力で走り切った。回復まで時間がかかる。もし、私が大迫のコーチなら、東京五輪本番のことも考えて(ファイナルに出ずに)『待て』と言うね」・・・果たして大迫は日本記録が更新されないのをじりじり待つ決断が出来るだろうか。設楽や井上は当然のことながら狙って来るだろう。こうなると3枠しかないのが実に気の毒だが、こうした敗者復活の楽しみを残してくれた。長丁場であればこそ準備がモノを言うマラソンで、そもそも一発勝負のオリンピックに向けた選考レースを、一発とは言わないまでも1.5発勝負として、とりわけ今回はほぼオリンピック通りのコースで気温や湿度などの条件もそれに近い中で実施したのは、理に適っていると思う。
コメント
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