風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

奇跡の逆転優勝

2017-03-28 00:04:07 | スポーツ・芸能好き
 大相撲春場所・千秋楽の平均視聴率は24・4%(関東地区)、瞬間最高視聴率は午後6時、稀勢の里が優勝を決めて花道を引き揚げる場面で、33・3%(同)に達したという。
 この数字は、13日目の横綱・日馬富士戦で負った怪我で、まさか14日目の土俵に上がれるとは思えなかったし、その14日目の横綱・鶴竜戦で良いところなく敗れて、その痛々しい姿に、まさか再び千秋楽の土俵に上がれるとは思えなかったという、良い意味で期待を裏切られたことが反映されていることだろう。そして、千秋楽の本割りの大関・照ノ富士戦で、時折り、不貞腐れたような表情を見せたのは、きっと痛がる顔を見せたくなかったからだろうし、さらに立ち会いで変化するという稀勢の里らしくない相撲は、苦渋の決断だったに違いない。案の定、土俵際に追い込まれながら、しぶとく突き落として、まさかの勝利である。場内は割れんばかりの大喝采だった。続いて優勝決定戦でも、得意の左腕を使えず右腕一本のまま、小手投げで、まさかの二番続けての勝利で、奇跡的な逆転優勝である。投げられた照ノ富士が起き上がったときの、まさか信じられないといった表情が印象的だった。これほど劇的な優勝がこれまであっただろうか。
 何より久しぶり(19年振り)に日本人(正確には日本出身の新)横綱が登場する場所で、多くの日本人の期待を肌にひしひしと感じていたことだろう。もう一枚の看板の白鵬が休場だったことも手伝って、横綱としての責任をより強く感じたに違いない。軽くないであろう怪我をおして出続ける理由を後援者に次のように語っていたらしい。「自分のために苦労して入場券を買ってくれた人がいる。新横綱を楽しみに来てくれる方も多いんだ」と。
 これがもしアメリカ(例えば大リーグ)だったら、無理して出場しなかっただろうし、場合によっては選手寿命を縮めるかも知れない出場をむしろ責められたことだろう。最近は日本でもドライに考える人が多いかも知れない。何しろ久しぶりに誕生した、大事な日本人(正確には日本出身)横綱である。14日目から大事をとって欠場しても誰も文句を言わなかっただろう。しかし、そこは相撲という伝統芸能と、単なるプロ・スポーツとの違いと言えようか。
 優勝セレモニーの「君が代」斉唱で見せた男泣きは、益々、稀勢の里人気を不動のものにしたことだろう。願わくば、今回の快挙と比較される、2001年夏場所14日目に右膝を痛めながら千秋楽に強行出場し、本割りでは敗れたものの優勝決定戦で武蔵丸を下して“鬼の形相”を見せた貴乃花が、翌場所から7場所連続全休となり、2003年1月に引退を余儀なくされたような、大事には至らないことを。そして、願わくば、白鵬との息詰まる熱戦を。
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