風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

旅立ちの春

2019-04-02 01:02:55 | 日々の生活
 肌寒い中にも健気に桜咲くこの季節は、日本人にとって心浮き立つ季節だ。とりわけ今日は、電車の中、駅、到る所に、スーツ姿が馴染まない(笑)フレッシュな若い人たちの姿が目に付いた。午前中、発表になった新・元号について話したいことはいろいろあるが、ぐっと我慢して、今日のところは、社会に出て行く若い人たちの新たな門出を祝福したい。
 ふと30数年前の自分を、つい昨日のことのように思い出す。およそ自分のサラリーマン姿など想像できなかった私は、それでも唯一、加瀬俊一(としかず)さんの回想録に感化されて、外交官だけは例外で、外交官試験(当時は他の国家公務員試験とは別系統だった)なるものを受けてみた。勿論、難しいことは分かっていたし、それでもさっぱり勉強しなかったので、受かるはずもなく、ただすんなり民間企業に就職する恰好にはしたくなかった私の最後の抵抗だったのかも知れない・・・面倒臭い男だ(笑)。結局、周囲に流されてなんとなく就職活動を始め、(大阪育ちの私は)東京に出てみたくて、東京に本社がある会社を探すことにする。バブル前の当時、文系に人気があったのは金融機関で、恐らく相対的に給料が高いと評判だったからだろうが、ここでも天邪鬼ぶりを発揮して、私には“虚業”としか思えなかった金融機関を避け、泥臭くも“ものづくり”こそ経済の基本だとナイーブに信じて、縁あって、製造業に就職先を決めた。
 あれから30数年、バブル崩壊とともに金融機関は淘汰の波にさらわれ、気の毒に思っていたら、冷戦が崩壊しグローバル化が進展して製造業も構造改革を迫られる変革の波にさらわれ、他人事ではなくなった(笑)。かつての日本の大企業は見る影もない。学生の考えが如何にいい加減か、と言うよりも、学生に社会のことが分からないのは道理であって、いい歳をした大人だって将来は読めないものであり、変化が激しい今の時代はなおさらである。
 そうすると大事なことは、どんな職業であれ、何が降りかかろうと、会社という枠にとらわれず、世間の誰からも評価されるような「プロフェッショナル」を目指すことだろうと思う。私自身、所属していた組織が解体され、次に携わった市場から撤退し、更に携わった事業を収束し、大いに不運をかこつも、そのたびごとに「プロ」たらんとすることで辛うじて踏みとどまった。
 私が就職した頃、既にリクルートの方に、君たちの世代は課長になれない人が大勢でてくると脅されたものだった。実際のところ、私の世代は、日本的な終身雇用の年功序列制度のもとで、若い頃は安い給料で働かされ、年とってからぐっと給料が上がるはずのところ、グローバル競争に揉まれて日本的な制度が崩壊し、年とっても給料があがらないという、割りを食った不幸な世代だ(笑)。あるいは昔も今も知る中途半端な世代だ(笑)。しかし今の若い人たちは少子化で金のタマゴである上、何でもありの世界で、若くてもチャンスを与えられ、力の発揮し甲斐がある。いつの世も、若い人こそ時代を転回する力だと、期待している。
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