保健福祉の現場から

感じるままに

療養病床の差別化と経営戦略

2017年04月18日 | Weblog
キャリアブレイン「療養型、在宅強化型の老健に見る課題 減収、要件充足に知恵絞る」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20170417183959)。<以下一部引用>
<松谷理事長は、地域密着を武器に、小規模ながらも多様な機能を持つ強みを生かしたいと述べた 日本慢性期医療協会はこのほど、東京都内で第5回経営対策講座を開催した。講演では、療養型介護老人保健施設(老健)に転換した後の状況や、在宅強化型老健の運営面の課題などが紹介された。■在宅強化型老健、要件満たすのが厳しく 医療法人松徳会(大阪府枚方市)は、松谷病院(医療療養・40床)を中心に、老健(在宅強化型)、有料老人ホームのほか、在宅療養支援診療所や在宅介護事業所を運営している。枚方市には24の病院があるが、そのうち13病院は200床以下であり、松谷之義理事長は、小規模病院がひしめき合う状態で、差別化を図らなければ生き残りが難しいと言い、地域の特徴として、家族の介護力が弱く、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)なども過当競争の状態にあるという。実際、療養病床では、医療必要度の高い患者でも取り合いのような状況で、急性期病院から入院の打診があった時点で受け入れを決めなければ、別の病院に入院が決まってしまうことも珍しくない。>

キャリアブレイン「トップの情熱とチーム力で介護療養を転換 包括ケアで後方ベッド機能を明確化」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20170414103624)。<以下一部引用>
<昨今、病院は国の方向性に基づき、地域性も勘案しながら、よりスピードを重視した方向転換が問われていると実感しています。また、そのように方向付けをしていかなければ、淘汰される可能性も感じるほど、わが国の医療体制は変革期を迎えていると言っていいのではないでしょうか。奈良東病院(奈良県天理市)にとって、2014年度の診療報酬改定と病床機能報告制度の創設は、病床類型の変更を進めていく上で非常に重要な分岐点であり、後押しをしてもらったと考えています。当院は、グループが運営する総合施設「ふれあいの里」の中核病院として、施設群の医療を担っているほか、寝たきりや重度の認知症の患者様など、近隣の医療機関からも多数の患者様を受け入れています。08年には回復期リハビリテーション病棟(回リハ病棟、50床)を開設し、リハビリにも力を入れる一方、介護療養病棟の運営が課題の一つとなっています。今年に入り、国は介護療養病床を「介護医療院」に改称するとともに、6年間の経過措置を設ける方針を打ち出しました。しかし、病院の入院期間の短縮という基本方針は変わらないことから、今後も生き残っていくには、病院の機能を維持するための病床転換が必要だと感じていました。>

一口に「療養病床」といっても非常に多様であることの理解が不可欠である。そもそも「医療保険の療養病床(医療療養)」と「介護保険の療養病床(介護療養)」では入院患者の状況が異なる。入院医療等の調査・評価分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128166)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000092786.pdf)p125にあるように療養病棟入院基本料1と2では入院患者の状況が異なり、p115「在宅復帰機能強化加算」の有無でも異なる。また、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000090996.pdf)p5~介護報酬改定で介護療養型医療施設機能に応じた評価の見直しがなされており、療養機能強化型A・Bの算定の有無でも入院患者状況が異なる。中医協資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000031001.pdf)p65では、回復期リハビリテーション病棟入院料算定の49.5%が療養病床で、一般病床よりも多いことが出ていたが、回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する療養病床は病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)では「回復期」である。そして、平成26年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000032996.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000039891.pdf)p38の「地域包括ケア病棟入院料」は、「療養病床については、1病棟に限り届出することができる」とされ、地域包括ケア病棟を有する療養病床もある。厚労省「特定の機能を有する病棟における病床機能報告の取扱」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115828.pdf)では、回復期リハビリテーション病棟入院料は回復期のみで、地域包括ケア病棟入院料は、急性期と回復期が実線、慢性期が点線で結ばれている。「療養病床」を一括りにするのではなく、病棟単位で有する機能を踏まえた再編でなければならない。厚労省「療養病床の在り方等に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=282014)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000091017.pdf)p12「療養病床の都道府県別の性・年齢階級調整入院受療率」をみれば、都道府県格差が非常に大きいことがわかるが、地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000080284.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000088511.pdf)p17「療養病床入院受療率の地域差解消」が図られる。都道府県別医療需要推計(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shakaihoshoukaikaku/chousakai_dai5/siryou1.pdf)(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shakaihoshoukaikaku/chousakai_dai5/siryou2-1.pdf)が出ていたが、おそらく、療養病床のあり方が地域医療構想の最大のテーマとなる構想区域が少なくないであろう(特に西日本)。今国会の「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/193-06.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/193.html)(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/193-06.pdf)p3「新たな介護保険施設の創設」で「具体的な介護報酬、基準、転換支援策については、介護給付費分科会等で検討」とあり、介護給付費分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126698)の議論に注目であるが、介護医療院は、今後の療養病床の経営戦略を考える上での一面にすぎないであろう。報道にある「地域密着を武器に、小規模ながらも多様な機能を持つ強みを生かしたい」と考える病院も少なくないかもしれない。全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000154636.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000154667.pdf)p462~「看護小規模多機能型居宅介護」も注目される。
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