保健福祉の現場から

感じるままに

地域包括ケアシステム

2015年07月30日 | Weblog
東京新聞「<な~るほど介護>「地域包括ケアシステム」 先進地・埼玉県和光市の取り組み」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2015072902000162.html)。<以下引用>
<超高齢社会を支える言葉として、役所の文書などに頻繁に登場する「地域包括ケアシステム」。高齢者ができるだけ、住み慣れた地域で自立した暮らしを続けられるよう、医療や介護など福祉・生活支援サービスが一体的に提供される体制を指す。医療・介護費用抑制の狙いもあり、国が躍起となって市区町村に整備を働き掛けているが、掛け声先行の感も。全国から視察が相次ぐ先進地・埼玉県和光市の取り組みは-。「おれたちは、高齢者の尊厳を追求しているんだぞ!」。市役所五階の会議室に、東内京一(とうないきょういち)・保健福祉部長(51)の大きな声が響いた。机を囲む市や地域包括支援センター職員四十人の間に緊張が走る。センターの女性職員が報告した末期がんの八十代女性のケアプラン。担当医との調整がなく、容体急変への対応も不足と指摘された。同部長から「別途再調整を」と言われ、職員は「すみません」と謝るしかなかった。要支援者の自立支援や、課題が多い要介護者の対応策を個別に検討する「コミュニティケア会議」。隔週開催で、作業療法士や薬剤師ら外部講師も意見を述べるほか、バリアフリーの住宅改修を行う業者が、計画をセンチ単位で報告する場面も。ケアプラン作成側は、対象者と心底向き合わなければ会議をパスできない。高齢者にすれば、これほど多くの専門家が、自分のために徹底論議をしているとは知らないだろう。二〇〇〇年の介護保険制度発足と同時に市の介護保険室に異動し、地域包括ケア構築をけん引してきた東内部長によると、同市のシステムは、中学校区を基本とした地域ごとに、訪問介護・看護の介護サービスを展開し、地元診療所などとの連携で「介護状態になっても、自宅で安心して暮らせる街」を目指している。リハビリは、介護保険の通所サービスで。給食が必要なら、刻み食などもある市独自の配食サービス(一食の自己負担四百円)を依頼。外出が困難な場合は、これも市独自の地域送迎サービス(一時間まで同六百円)が利用できる。市民にとって「オーダーメード」ともいえるきめ細かな支援は、市をはじめ、地域包括支援センターの委託運営も担う介護事業者、医療機関などの連携があって成り立つ。冒頭の会議はその象徴だ。連携のカギは、地域包括ケアの成果。体が不調になっても施設入所を選ばず、在宅で暮らせる街づくりを進めた結果、市では、市民の間にも「なるべく自立した生活を続けよう」との意識が広がった。要支援になっても、毎年、約四割が同状態から「卒業」。要介護・要支援の認定率は現在、全国平均の半分近い9%台にとどまっている。「目に見える数字が、事業者や職員のやりがいにつながっている」と東内部長は言う。市の地域包括ケアは、介護保険制度と並行して整えられてきた。当初の目的は、給付が増加する一方の国民健康保険の轍(てつ)を踏まないこと。そのために、要介護状態の予防や、状態を改善するリハビリが重要といち早くとらえ、サービス体制の模索が始まった。〇一年には、六十五歳以上の市民全員を対象とした「ニーズ調査」を開始。市の「長寿あんしんプラン(地域包括ケア計画)」に反映させるとともに、市民、介護事業者らの意識啓発に地道に取り組んできた。東内部長は「介護保険の運営は地方分権の試金石。市町村のやる気次第で、思い切ったカラーが出せる」と強調する。<和光市> 人口約8万500人。埼玉県南端にあって東京都と隣接。若年層の転入が多く、高齢化率は17%と高くないが、高齢者の数は増え続けると予想されている。>

この市の取り組みは参考になる。例えば、市町村では果たして「目に見える数字」をどれほど認識されているであろうか。各自治体からの地域包括ケア見える化システム(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/sankou5_1.pdf)(http://mieruka.mhlw.go.jp/)への日常生活圏域ニーズ調査(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-2.pdf)のデータ送信がごく一部の自治体に留まっているが、それぞれの地域のニーズ調査結果をみれば、介護予防ニーズ、生活支援ニーズがいかに大きいがわかるであろう。地域包括ケア見える化システム(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/sankou5_1.pdf)(http://mieruka.mhlw.go.jp/)では、介護保険に関する様々な分析ができるが、どれほど活用されているであろうか。また、「介護保険の運営は地方分権の試金石」も改めて認識したい。平成27年度からの介護保険地域支援事業の「介護予防・日常生活支援総合事業」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000074126.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000074126.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000088520.pdf)や「在宅医療・介護連携推進事業」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000077428.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/tebiki.pdf)等は、市町村の自由度が高い事業であるが、それぞれの自治体では、関係機関・団体との取り組み方針の共有化はされているであろうか。地域包括ケアシステムは主体的・能動的でなければ進められないように感じる。
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