保健福祉の現場から

感じるままに

社会保障

2008年05月27日 | Weblog
「医者が受け取る「姥捨て報酬」」(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080526-00000007-gen-ent)の記事が目にとまった。<以下引用>
<保険料の負担増、年金からの強制天引き、人間ドックの補助廃止……。フタを開ければ、老人イジメのフルコースだった「後期高齢者医療制度」。だが、これまで報じられているのはほんの一部だ。姥捨山の恐怖はまだあった――。
●「病院追い出し」1000円「在宅療養指導」2万3000円
 医者が75歳以上の患者と治療方針について話し合い、「延命治療はいりません」などの“念書”を残せば、国から報酬2000円を受け取れる――。後期高齢者医療制度で導入され、「これぞ姥捨山の象徴だ」と悪評高い終末期相談支援。さすがにヤバイと思ったのか、舛添厚労相は22日、「一時凍結とかを含めて考えたい」と言い出した。しかし、こんな目くらましにだまされてはダメだ。福田政権は終末期相談のほかにも、アノ手コノ手の医者への報酬で、徹底的に病院から年寄りを“排除”しようとしている。「今年度の診療報酬改定で、医者に“姥捨て”を奨励する報酬がいくつも盛り込まれました。退院が難しい後期高齢者に退院支援計画を作り、退院させた医者には『後期高齢者退院調整加算』として報酬1000円。また、末期がん患者などが安心して在宅療養できるよう、在宅医師らと共同で指導した場合は『退院時共同指導料』として最大2万3000円が入る。『支援』『指導』と聞こえのいい言葉を使っているが、要するに病院からの追い出し報酬です。終末期相談だけを凍結したところで、焼け石に水です」(医療関係者) 政府の魂胆は、言うまでもなく、医療費の大幅削減だ。厚労省は療養病床を35万床から15万床に減らす計画を進めている。高齢者にやるベッドはない、というわけだ。「仮に終末期相談が凍結されるとしても、医者が相談料2000円を国に請求できなくなるのは、早くて7月から。それまでにどれだけの混乱があるか分かりません。なにしろ、厚労省は終末期相談について最終的なニーズの予測や、今まで何人の高齢者が終末期相談の“犠牲”になったかも、まったく調査していない。老人の命を軽んじています」  こんな政権は前代未聞だ。>
 
「11万人が路頭に迷う、介護療養施設の全廃」(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080526-00000008-gen-ent)。<以下引用>
<後期高齢者医療制度の陰で、別の“姥捨て策”も進行している。「介護療養型医療施設」の3年後の廃止だ。これが高齢者を“医療難民”にさせる天下の暴政なのだ。問題の医療施設は、介護と医療の両方が必要な高齢者が入所する老人病院で、全国に12万床ある。これを11年度末に全廃し、老人保健施設などに衣替えさせる。狙いはやはり医療費の抑制だ。「介護療養型医療施設の存続を求める会」の吉岡充医師(上川病院理事長)が言う。「厚労省は、介護療養型医療施設の入所者には医療行為が不必要と決め付けています。が、多くの入所者は要医療で、重介護のお年寄り。せっかく高齢者の生活、終末期医療を重視した介護療養型医療施設ができたのに、なぜそれを廃止するのか。老人保健施設などでは医療機器、体制も不十分。施設廃止になれば、入所している11万人のお年寄りが行き場を失います。在宅になれば、誰が面倒を見るのか。介護を苦にした心中などの社会問題が噴出するのは間違いありません」 厚労省は、そんな最悪の事態になることなど百も承知だ。それでいて老人保健課の鈴木康裕課長は、昨年10月のあるフォーラムで、自宅でも病院でもみとられるのが難しい「死に場所がない人」について、「2030年時点で47万人になる」と平気な顔で言っていた。いったい、どういう神経をしているのか。高齢者になるとマトモな医療は受けられず、介護が必要になっても行き場がない。この国は一体誰のためにあるのか。 >

高齢者医療確保法(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/hoken83b.pdf)では「医療費適正化」が前面に打ち出されている。第八条に基づき、国が医療費適正化基本方針及び全国医療費適正化計画を策定し、第九条に基づき、国の基本方針に即して都道府県が医療費適正化計画を策定する。第十条~十七条では、それをチェックする仕組みが設けられていることは理解する必要があるかもしれない。しかし、医療費適正化だけではなく、介護給付適正化も脚光を浴びるようである。
 
「財政審:「介護保険、抜本改正を」 自己負担上げ盛る--建議骨格」(http://mainichi.jp/select/biz/news/20080524ddm008020054000c.html)。<以下引用>
<財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は23日、09年度予算編成に向けた建議(意見書)の骨格を固めた。高齢化で膨らむ社会保障費では、介護保険について、09年度の制度改正も踏まえ、利用者の自己負担(現行1割)引き上げや給付見直しを含めた抜本改正を提言する。建議が介護保険見直しに重点を置くのは、高齢化の進展で介護保険費が25年に現在の2・6倍に膨らむと見込まれるため。一方、介護事業者に支払われる介護報酬は06年度に引き下げられたが、人材難につながったとされ、09年度予算編成では待遇改善が焦点となる見通し。財政審は「介護報酬の水準は従事者の勤続年数や専門性を個別に考慮すべきだ」との考えで、保険料や公費負担増大につながる介護報酬の一律引き上げに否定的な考えを建議で示す。5兆円近い余剰金がある雇用保険の国庫負担全廃を含めた見直しも提案する。また、文部科学省が教育予算の増額要請を強めていることに対しては、財政再建の観点から成果目標のない予算増額は認められないと反論。道路特定財源の一般財源化では「危機的な財政状況を踏まえ、改革を確実に実現する必要がある」と指摘する。>

「介護保険「家族介護」へ逆戻り」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/16236.html;jsessionid=CE2CFF959FB0E4A8612B59D925B5C41A)。<以下一部引用>
<介護保険の利用者に家族が同居しているという理由で、ホームヘルパーによる「生活援助」を打ち切る事例が各地で相次いでいる。「生活援助」の可否については市区町村の裁量で、極端なケースでは、利用者が独り暮らしにもかかわらず、「家族が通える範囲に住んでいる」として認めない場合もある。介護保険は、介護を社会全体で支える仕組み(介護の社会化)をつくるために導入されたが、多くの関係者が「介護の社会化の理念は捨て去られ、自己責任を土台にした家族介護へ逆戻りしている」と、制度の在り方を批判している。>

「「介護崩壊」全国の事業所が悲痛な訴え」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/16234.html)。<以下一部引用>
<「介護報酬があまりにも低過ぎて、事業所の経営努力ではもう限界」-。全日本民主医療機関連合会が取り組んでいる「介護保険の緊急改善アピール」に、全国の事業所が悲痛な訴えを寄せている。介護現場の深刻な状態を打開するために、民医連は「2009年度の改定を待たずに、国は介護従事者への十分な給与保障を可能にする介護報酬の引き上げや利用者負担の軽減策などを早急に講じるべき」と訴えている。>

先般(5月21日)、介護現場の人手不足の解消に向け、介護職の待遇改善など人材確保策を平成21年4月1日までに検討することを定めた「介護従事者処遇改善法」が成立しており(http://sankei.jp.msn.com/life/welfare/080521/wlf0805211224003-n1.htm)、ある程度の介護報酬の引き上げが避けられないかもしれない。そうなれば、財政負担の軽減のためには「自己負担の引き上げ」ということなのかもしれないが、今年度中の第四期介護保険事業計画の策定にあたって、「介護保険、抜本改正」とは、何とも慌しいと感じる方が少なくないかもしれない。そして、結局、骨太の方針による「社会保障費の伸びを年2200億円ずつ抑制する政府目標」がクローズアップされ、消費税引き上げに向かうのかもしれない。
 
「社会保障費抑制目標、自民厚労族「実現は困難」」(http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20080526AT3S2500925052008.html)。<以下引用>
<自民党の丹羽雄哉元厚相は25日のNHK番組で、社会保障費の伸びを年2200億円ずつ抑制する政府目標について「来年度はとても応じることができないというのが(党の)基本的認識だ」と述べた。自民党厚生労働部会で週内にも「来年度分の抑制は実現困難」との決議をまとめる見通しだ。同党の尾辻秀久参院議員会長も京都市内の講演で、目標達成は「絶対無理だ。骨太の方針で触れさせてはいけない」と述べた。基礎年金の国庫負担の2分の1への引き上げの財源は「消費税を上げるしかない」と明言。上げ幅については「3%程度は必要」との見方を記者団に示した。両氏は厚生労働族の幹部。発言は75歳以上を対象にした後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の見直しなどで、社会保障費のほかの分野にしわ寄せが及ぶことを懸念したものだ。>

「社会保障費の抑制目標、撤回求める決議 自民厚労部会」(http://www.asahi.com/health/news/TKY200805270073.html)。<以下引用>
<自民党の厚生労働部会などは27日、毎年2200億円ずつ社会保障費の伸びを抑制するとした政府目標について、09年度予算では撤回するよう求める決議をした。「医師不足や少子化への対応で国民負担をお願いしなければならない時に、さらに社会保障の削減を行うことは理解が得られない」としている。社会保障費の抑制政策は02年度から7年間続いており、09年度も雇用保険の国庫負担廃止や、介護保険利用時の自己負担率引き上げなどの案が浮上している。だが、抑制が医師不足や介護労働従事者の待遇悪化などのひずみを生んだとの指摘が与野党双方から続出。自民党の尾辻秀久・参院議員会長も26日の会見で「乾いたタオルを絞っても水は出ない」と発言し、抑制策に反対意見を表明していた。27日の合同会議では、「縦割り行政やムダを見直す余地がまだある」など抑制継続を主張する意見も出たが、「これ以上の抑制は取り返しのつかないことになる」などの意見が大勢を占めた。政府は09年度予算の方向性を定めた「骨太の方針08」を6月中にまとめる予定だが、抑制継続が盛り込まれるかが焦点となっている。>
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