保健福祉の現場から

感じるままに

入院評価体系の抜本見直しと看護師の需給

2018年11月07日 | Weblog
メディウォッチ「急性期一般入院料2・3移行を見据え、看護職員の退職・新規採用状況に変化はあるか―中医協・基本小委」(https://www.medwatch.jp/?p=23332)。<以下引用>
<2018年度の診療報酬改定で再編・統合された【急性期一般入院基本料】や【地域包括ケア病棟入院料等】【回復期リハビリテーション病棟入院料】【療養病棟入院基本料】により、医療現場にはどのような影響が出ているのかを調べる。ただし、従前「医師の指示の見直しの頻度」を調べていたが、これは「医師による診察の頻度」に包含する―。11月7日に開かれた中央社会保険医療協議会の診療報酬基本問題小委員会(以下、基本小委)で、こういった調査内容が了承されました。下部組織である診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」(以下、入院医療分科会)で議論されてきた内容です。「医師による指示の見直しの頻度」、ついに調査項目から削除 メディ・ウォッチでもお伝えしているとおり、2018年度の診療報酬改定では、さまざまな見直しが行われました。とくに、入院料については、「看護配置などに基づく基本部分」と「重症患者の受け入れ状況などに基づく実績評価部分」を組み合わせた評価体系に再編・統合するなど、歴史的な大改定が行われました。さらに、急性期病棟の入院患者の状態を評価するための「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)についても、▼基準の見直し(認知機能を低下した患者の評価)▼DPCのEF統合ファイルに基づく評価(看護必要度II)の導入—などの見直しが行われています。もっとも、入院医療の見直しにとどまりませんが、2020年度以降も「より適切に診療内容等を診療報酬に反映させる」ための見直しは継続されます。そのため、2018年改定の影響・効果を詳細に調べ、それを2020年度改定論議の基礎資料とする、というプロセスが極めて重要になってくるのです。入院医療に関する診療報酬に関しては、中医協で議論を行う前に、入院医療分科会で詳細な調査を行い、技術的な課題の整理等を行っていきます。入院医療分科会では、10月17日に調査内容の大枠を固め、今般、親組織である基本小委に報告を行ったものです。調査内容が了承されたことを受け、近く調査票の発送・調査実施・回収・分析が行われ、来年(2019年)3月以降、順次、調査結果が入院医療分科会や中医協に報告されます。2018年度には、次の4項目に関する調査を行います(2019年度には別角度からの調査が行われる)。(1)急性期一般入院基本料、地域一般入院基本料等の評価体系の見直しの影響(その1)(2)地域包括ケア病棟入院料および回復期リハビリテーション病棟入院料の評価体系の見直しの影響(3)療養病棟入院基本料等の慢性期入院医療における評価の見直しの影響(その1)(4)医療資源の少ない地域における保険医療機関の実態 10月17日の入院医療分科会から、今般の基本小委への報告までに、例えば次のような調査内容の追加・修正が行われています。▼急性期入院料等について、看護要因の状況(2018年度の退職者見込み数が例年に比べ多いか少ないか、2019年の新規採用予定者数が例年に比べて多いか少ないか)を調べる▼従前より調査していた「医師の指示の見直しの頻度」は、「医師による診察(処置、判断含む)の頻度」に含まれるので、調査項目から削除する 2018年度改定の目玉の1つといえる、7対1・10対1を再編・統合した【急性期一般入院基本料】では、7対1と10対1の中間的評価として【急性期一般入院料2・3】を新設しました。もちろん、7対1相当の【急性期一般入院料1】に比べて点数設定は低めですが、例えば、▼看護配置を8対1とし【急性期一般入院料2】を届け出る▼看護配置を9対1とし【急性期一般入院料3】を届け出る―場合には、7対1看護配置で【急性期一般入院料1】を届け出るよりも、利益率を高くすることが可能なのです。このため、先を見据えた急性期病院では【急性期一般入院料1】から【急性期一般入院料2・3】への転換を検討することが期待され、その際には「看護配置の見直し」が必要となります(7対1看護配置のまま【急性期一般入院料2・3】へ移行すれば、単なる減収・減益になってしまう)。そこで、看護職員について、例えば「新規採用数を減らす」「早期退職を募る」などの動きがあるかどうかを調べることが重要になってくるのです。また、後者については、従前より「『医師による指示の見直しの頻度』=『患者の重症度合い』との誤解がある」と医療現場からの批判がありました。2018年度改定に向けた調査では、新たに「医師による診察の頻度」を追加し、今般の2020年度改定に向けた調査で「医師による指示の見直しの頻度」を削除(見直しの頻度を診察の頻度に包含)することになった経緯を眺めると、「入院分科会において、委員が遠大な計画を練り(2018年度改定に向けて準備し、2020年度改定に向けて実行)、それがついに実現した」と見ることもできるかもしれません。>

第7次医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の7月31日付局長通知「医療計画について」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000159901.pdf)では「医療従事者の確保等の記載事項について (1) 法第30条の4第2項第10号の医療従事者の確保については、医師、歯科医師、薬剤師、看護師等の医療従事者について、将来の需給動向を見通しつつ養成を進め、適正な供給数を確保するとともに、地域的な偏在や診療科間の偏在への対応を進める必要があること。」とされており、医師以外についても将来の需給動向を踏まえないといけない。例えば、「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)、「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)、「公的医療機関等2025プラン」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)などは看護師の需要にも少なからず影響するであろう。平成30年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html)の平成30年度診療報酬改定説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000198532.pdf)p9「一般病棟入院基本料(7対1、10対1)の再編・統合」に関して、キャリアブレイン「“看護師争奪戦”今は昔、一転余剰? 入院評価体系の抜本見直しで」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20180215154236)が出ていたように、入院評価体系見直しも、看護職員需給(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=338805)に影響する(特に病棟看護師)のは間違いない。看護職員需給分科会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_338805.html)の「今後の進め方(案)」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000360599.pdf)では、年末に「都道府県に推計ツールを発送」、年度末に「都道府県推計の集約」とあり、注目される。需給推計(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000360601.pdf)は都道府県ごとに公表されるべきであろう。資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000360602.pdf)p8「都道府県別にみた人口10万対看護師・准看護師数」が出ているが、都道府県内でも偏在(施設・地域間)が小さくないかもしれない。
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