保健福祉の現場から

感じるままに

職域がん検診の精度管理

2016年08月29日 | Weblog
キャリアブレイン「がん精検受診率「目標100%」で大筋合意- 次期基本計画で、厚労省WG 」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49494.html)。<以下引用>
<厚生労働省は29日、「がん検診受診率等に関するワーキンググループ」(座長=斎藤博・国立がん研究センター社会と健康研究センター検診研究部長)で、これまでの議論を整理した報告書案を示した。来年6月に閣議決定を目指す第3期のがん対策推進基本計画(基本計画)で、がんに罹患しているかどうかを詳細に調べる精密検査の受診率の目標値を「100%」とすることを提案し、大筋で合意を得た。一方、市区町村間で比較可能ながん検診の受診率の算定方法も示したが、委員から修正を求める意見が出たことから、座長預かりとなった。現行の第2期基本計画では、がん検診の受診率の目標値を50%以上と定めているが、精密検査の受診率に関する目標値は明記されていない。また、厚労省が公表した2013年度の「地域保健・健康増進事業報告」によると、がんの種類ごとの精密検査の受診率は、胃がんで79.4%、肺がんで78.7%、大腸がんで65.9%、子宮頸がんで70.4%、乳がんで84.6%という。こうした状況を踏まえ、同省が昨年12月に取りまとめた「がん対策加速化プラン」では、具体的な対策として、「検診受診率のみならず、精密検査受診率等についても目標値を設定する」とした。29日の会合で示された報告書案には、がんによる死亡者を減らすため、検診の未受診者らを減らして精密検査の受診率を向上させる必要があると記載。その上で、次期基本計画での精密検査の受診率の目標値を「100%に定めるべき」とした。また、市区町村の間で受診率を比較できるよう、検診受診率の算定方法も提示。具体的には、国民健康保険(国保)の被保険者のうち、市区町村が実施するがん検診を受診した人の割合とするのが「適切」とした。さらに、職域でのがん検診については現状、検診を行う事業所が対象者や受診者を把握していない場合もあることから、産業医などの関係者の意見を踏まえつつ、対象者や受診者を把握できる仕組みを構築する必要性も指摘した。意見交換では、次期基本計画で精密検査の受診率の目標値を100%とすることに対して、異論はなかった。ただ、市区町村間で比較可能な検診受診率の算定方法に関しては、委員から、「国保の被保者以外の人がどれだけ受診しているかを記載する必要がある」などの意見が出た。この日の意見を踏まえ、厚労省は報告書案を修正した上で、各委員に提示し、最終的に斎藤座長が事務局と協議して報告書として取りまとめる。>

「がん検診受診率等に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=360026)の資料が出ればみておきたい。資料「プロセス指標、特に精検受診率基準値の見直しについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000127231.pdf)p6~乳がん 精検受診率、大腸がん 精検受診率、胃がん 要精検率が都道府県ごとに出ており、一部の都道府県では許容値をクリアしていないことがわかる。国立がん研究センター「がん登録・統計」(http://ganjoho.jp/reg_stat/)では「がん検診受診率データ(市区町村による地域保健・健康増進事業報告データ)」だけではなく、「都道府県別がん検診プロセス指標データ」(http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html#a27)が公表されていることは常識としたい。都道府県別の厚労省「がん検診事業の評価に関する委員会報告書」(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/03/dl/s0301-4c.pdf)における、各がん検診の許容値「要精検率、精検受診率、がん発見率、陽性反応適中度」の格差は小さくないことがわかる。政府統計の総合窓口「e-stat」(http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001030884)では地域保健・健康増進事業報告の市町村別データが出ていることも知っておきたい。CSV形式で公開されていても、データウエアハウス(http://www.bbreak.co.jp/maeyes/column/column7.html)のような活用しやすい仕掛けが必要であろう。ところで、資料「プロセス指標、特に精検受診率基準値の見直しについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000127231.pdf)p9「個別検診の精度管理水準が低い」とあることは重視したい。個別検診は集団検診に比べてかなり検診単価が高いはずである(この情報公開も必要と感じる)が、精度管理水準が低いようではいけない。がん検診の精度向上には、資料「プロセス指標、特に精検受診率基準値の見直しについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000127231.pdf)p2「精検受診率(未受診・未把握率)は市町村/検診機関単位でも重視すべき」の情報公開を徹底する必要があるかもしれない。しかし、がん検診の精度管理は市町村の検診だけではない。昨年12月のがん対策加速化プラン(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000112903.pdf)p5「職域においても、検診受診率のみならず、精密検査受診率等に関する目標値を設定する。」とあった。厚労省資料「がん検診に関する実施状況等調査集計結果」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000124103.pdf)p1「がん検診受診者数を把握 していない」59.0%、p3「がん検診要精検者数を把握していない」96.0%、p4「精密検査の受診勧奨を行っていない」57.4%、p5「乳がん検診を行っていない」17.9%、「子宮頸がん検診を行っていない」16.9%などとあるが、この調査対象は「健康保険組合」で、基本的に大企業であることを認識すべきである。果たして中小企業ではどういう状況であろうか。
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