今日、友だちに誘われて日展を観に行った。「早く行かないと混むから」と言うので9時10分には家を出た。県美術館に到着したのは40分ちょっと過ぎだった。周りに人がいない。会場に着くと入り口のシャッターは閉まっていて、12・3人の人が並んで開くのを待っている。私たちもその列に並び待つことにした。開門までまだ15分近くある。ところがあっという間に列は伸び、最後尾が分からないほどになった。
「やっぱり早く来て良かったね」と話していると、私たちの前に並んでいた女性集団の最前列の人が振り向いた。「あれっ」「やあ」と声を交わす。小学校の同級生である。高校も同じだった。偶然とは面白い。彼女が振り返らなければ知らずにいたかも知れない。会場のどこかでまた出会うかなと思ったけれど、一度も会わないままだった。「これだけの人がいるのだから無理だろう」と友だちと言葉を交わした「書の間」で、再び出会った。
彼女の友だちが落款印を学んでいるとか、その女性が「皆さんも何かなさるのですか」と聞く。なるほど油絵を学び始めたと思われる男性が構図や手法のことを連れと盛んに話していたし、日本画のところでも指導者の作品を探す人がいた。友だちは「僕らは口ばっかりで」と言い、「中学も高校もブラスバンドにいたけれど、今はホラばかり吹いています」とダジャレを言うので、その女性はキョトンとしていた。
先日、クリムト展を観た時、小学生が見学に来ていた。一生懸命に観ては座り込んで、プリントに書き込んでいた。その度に、係りの女性から「迷惑になるから止めて」と注意されていた。私が子どもに聞くと、「先生が気が付いたことをメモするように」と言ったそうだ。しかし下敷きもないので、這い蹲って書くより他ない。それは確かに観にきている他の人に迷惑になる。そう思っていると、若い男性の先生が見回りに来た。私は思わず、「先生ですか。これでは子どもたちが気の毒ですよ」と言ってしまった。
先生は「すみません、すみません」と言い、子どもたちに前へ進むようにと手で合図して行ってしまった。展覧会で作品をじっくり観させるために、メモを取りなさいと指示したのだろうが、子どもたちに嫌な思いをさせない気配りが欲しかった。先生はなぜ、クリムト展を見せたかったのだろう、クリムト展で何を学ばせたかったのだろう、と余計なことを思った。
クリムト展は副題が「黄金の騎士をめぐる物語」とあり、「KLIMT‘S GOLDEN RIDER AND VIENNA」とあった。VIENNAって何?入り口の女子大生らしき案内嬢に聞くと、「物語という意味だと思います」と言う。納得できなくて家で調べてみると、ウィーンのことだと知った。それで、クリムトの作品だけでなくその当時の人々の作品があったのかと納得した。私はどうもメンドクサイ男のようだ。
明日は新年会のため休みます。