常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

旅情

2019年03月27日 | 日記

佐藤春夫に「犬吠埼旅情のうた」がある。島崎藤村に、「千曲川旅情のうた」があり、これら大正の詩を読むと、その時代の詩には旅情のなかで、人間の存在へのいつくしみのような感情が詠みこまれている。

ここに来て

をみなにならひ

名も知らぬ草花をつむ。

みづからの影踏むわれは

仰がねば

燈台の高きを知らず。

波のうねうね

ふる里のそれには如かず。

ただ思ふ

荒磯に生ひて松のいろ

錆びて黝きを。

わがこころ

錆びて黝きを

犬吠埼の波の打ち寄せる海辺に来て見出したものは、荒磯に向かって立つ松の葉の黒さである。その色は、みづからの心の色を映している。若き日の青年の憂鬱の心の色である。


来週、新潟の角田岬を訪ねる。そこで、早春の花を見、日本海の海を目にする。詩人の心をこの旅で、思いあてる術もないが、自らの老いを確認することはできる。私にとっての山旅は、人生の旅路を彩るひとこまである。そこで見る花、景色。仲間と語る言葉、どれもがいとおしいものとなるであろう。


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