
紅葉もだんだん少なくなって、道には街路樹の落葉が散り敷いている。花もか弱い菊が、最後の花を必死で咲かせているようで、応援したい気持ちになる。日当たりのよい場所で、山茶花の花を見つけると、豊かな気持ちになる。ヒヨドリの鳴く声が聞こえ、山茶花の蜜を吸いに来ている。山茶花の木は大木のものが少なく、大きなヒヨドリが枝をしならせると、折れやしないかと心配になる。
誰が言ったか忘れてしまったが、ヒヨドリが夢中になって蜜を吸うので、どれほど甘いか試したが、それほど甘くもおいしくもなかったと、聞いたことがある。この季節、なぜかヒヨドリの姿があちこちで目につく。それに比べて、スズメの姿は少ないような気がする。生命力の強いカラスが繁殖するように、ヒヨドリもそうした傾向があるのだろうか。ヒヨドリの姿が目立つころ、雪の便りが盛んになる。
鵯なくや山茶花の蕊きいろなる 南 草