
この季節には、天童運動公園と山大正門の美しい。秋晴れの日に黄金色に輝く葉は、まもなく並木の下に散り敷いていく。葉に交じってギンナンの実が落ちている。与謝野晶子の名歌が思い浮かぶ。
金色のちいさき鳥のかたちして銀杏散るなり夕日の丘に 与謝野晶子
今から50年以上も前であるが、この構内に学生寮があった。秋が深まっていくと、一夜にして銀杏が色づいた。朝の気温が寒くなり、教室にはストーブが入った。いま、この場所に立つと、銀杏の木の下で学生たちが、集会を開いていたとことが思い出される。当時と違っているのは、銀杏の木の下が駐輪場になっていることだ。当時は、自転車で登校してくる学生も稀であった。まして、自動車などあまり走っていない時代である。
戦争の記憶が生々しく、日米の軍事同盟は、戦争に再び巻き込まれることを危惧した学生や市民が大きな反対の運動を展開した。銀杏の並木は、その学生運動の記憶を思い起こさせる。