ほとんど雪のない泉ヶ岳へ初めて登った。仙台の北にある山で、仙台市民の憩いの山である。今日も、仙台の登山愛好家の人たちと山中でのたくさんの出会いがあった。今日の登山コースは水神コース。登山口付近には、キャンプ場、少年の家などのレクリエーション設備も完備している。春の花が咲き始めた林床には、イチゲのかわいらしい花が点々とほころび、それらを探索する女性グループの歓声が聞こえたきた。
泉ヶ岳いう山の名は、この山に貯えられた水が、泉のように湧き出て、山周辺の集落を潤すことに由来している。七北田川の源頭で樋沢川あたりには、水神碑が立っている。この場所は、周辺の集落の人々の水乞いの場所であった。山道から見える七北田ダム、大倉ダムなどで人口湖を築き、周辺の灌漑を行ってきたことと、泉ヶ岳がその水を供給する山であったことは深く結び付いている。
碑には明治28年建立と刻まれているが、泉区福岡川崎で自然石に水神と刻んで、修羅という橇のようなものに乗せて綱を付けて、この場所まで引き上げられた。干ばつの際の水ごいに多くの人が頂上までいくのは大変なので、この石碑の前に神主さんの頼んで拝んでもらったという。
木々の芽吹きの前の山中は静かである。まだ花も咲かず、雑木林は雪解け水を吸い上げ、芽吹きの準備をしているようである。融け残った雪を踏み、ケルンのある登山道を頂上に向かう。9時40分の登山口を出て、12時には山頂に着く。
山頂からは、東に太平洋を望み、開発されたニュータウンや巨大な観音立像が見える。頂上の雪を踏んで、林の尽きるあたりまで来ると、船形山、後白髭山が雪を被って見え、北泉ヶ岳は指呼の間である。頂上で弁当を開く。頂上付近で風が強まったが、弁当を食べるには心地よい風であった。
帰路はかもしかコースから、スキー場ゲレンデを下る。初めての泉ヶ岳はこのゲレンデでアイゼンを付けて登ったのを思い出す。山の会に入ったばかりの20年も前のことである。アイゼンの付け方が分からず、雪の上で悪戦苦闘した。おまけに、雪が融け出していて、雪にずぼずぼと抜かった。今日は春風に吹かれて、汗をかきながら下った。途中ふきのとうをみつけ、家づとにする。本日の参加者男性のみ5名。5時いきいきの郷で入浴。