みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1127「幼なじみ」

2021-09-15 17:42:00 | ブログ短編

「女と一緒(いっしょ)に歩けるかよ」僕(ぼく)は、彼女を置(お)いてきぼりにして走り出した。
 いつものことなのだが、心にもないことを言って、僕はそのたびに後悔(こうかい)をする。
 彼女は幼(おさな)なじみで、同じ学校に通(かよ)っている。家が近いこともあって、一緒に行こうと誘(さそ)ってくるのだ。僕よりも頭が良(い)いんだから、もっと上の学校へ行けたはずだ。なのに、〈家の近くの学校に行きたかったの〉って…。まったく、何を考えてるのか?
 僕は、いつからか、こいつのことを女だと意識(いしき)し始(はじ)めた。だからといって、こいつのことが好きだとか…そういうのはないと思う。まあ、兄妹(きょうだい)みたいな感じだから…。
 こいつは、何かというと僕の家にやって来る。そして勉強(べんきょう)も。一緒にやった方が頭に入るからって言って…。まあ、おかげで、僕の成績(せいせき)も上がってるので文句(もんく)は言えないけど…。
 こいつは昔(むかし)から要領(ようりょう)が良(よ)かった。というか、外面(そとづら)がいいのだ。そして、何かヘマをするたびに、僕にその責任(せきにん)をなすりつけてくる。それで、何度泣(な)かされたことか…。だから、こいつとはなるべく関(かか)わらないようにと…。でも、僕の努力(どりょく)も虚(むな)しく、こいつはいとも簡単(かんたん)に僕のそばにすり寄(よ)って来る。まるで、小悪魔(こあくま)の子猫(こねこ)のように――。
 僕は校門(こうもん)のところで彼女が来るのを待っている。いつものことだ。遅(おく)れてきた彼女は、僕を見つけると笑顔(えがお)で手を振(ふ)ってくる。でも、僕は知(し)らん顔して校内(こうない)へ向かう。これも、いつものことだ。彼女は駆(か)け寄ってきて、僕の背中(せなか)を叩(たた)いて行ってしまう。これも――。
<つぶやき>何だかんだ言っても、仲良(なかよ)しだってことです。いつまでも続(つづ)くといいですね。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする