goo blog サービス終了のお知らせ 

みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1125「しずく140~変身」

2021-09-11 17:38:47 | ブログ連載~しずく

 神崎(かんざき)つくねが帰って来ると、暗(くら)い部屋(へや)で父親(ちちおや)が待っていた。父親は、
「どこへ行ってたんだ? ずいぶん遅(おそ)いじゃないか」
「ちょっと散歩(さんぽ)よ。気分転換(きぶんてんかん)をしたかったの。いいでしょ? それくらい…」
「ああ、かまわないさ…。でも、えらく反抗的(はんこうてき)だが、私に言いたいことでもあるのかな?」
 つくねは父親の顔を睨(にら)みつけた。そして、詰(つ)め寄(よ)るように言った。
「あの写真(しゃしん)の女性は誰(だれ)なの? 三人で撮(と)ったやつよ。あたしに見せてくれたでしょ」
「ああ、あれか…。もちろん、お前の母親(ははおや)じゃないか」
「嘘(うそ)よ。あれは母(かあ)さんなんかじゃない! 本当(ほんとう)のお母さんは、この人よ」
 つくねは写真を父親に突(つ)き出した。あの小部屋(こべや)で見つけたものだ。
 父親は困(こま)った顔をして、「あぁ。もしかして、記憶(きおく)が戻(もど)っちゃった?」
 その声は、なぜか女の声になっていた。父親は、一瞬(いっしゅん)のうちにつくねの背後(はいご)に回(まわ)り、彼女の首(くび)を腕(うで)で締(し)め上げた。そして、手にした針(はり)をつくねの身体(からだ)に突き刺(さ)した。
 薄(うす)れていく意識(いしき)の中で、つくねは父親の顔を見た。だがそこにあったのは、あの写真に写(うつ)っていた女の顔だった。その女は哀(あわ)れむようにささやいた。
「ダメよ、油断(ゆだん)しちゃ。心配(しんぱい)しなくても、あなたの代(か)わりは私がやるからねぇ」
「あなたは……、誰なの? あたしに……何を……」
<つぶやき>これは、とってもやばいです。この女、誰にでも変身(へんしん)できるんじゃないの?
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする