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みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0305「密会現場」

2018-08-30 18:53:02 | ブログ短編

 ベッドの中で女はささやいた。「ねえ、奥(おく)さんに気づかれない?」
「大丈夫(だいじょうぶ)さ」男は女と唇(くちびる)を重ねて、「あいつはプライドばっか高くて、俺(おれ)のことなんか気にもかけやしない。それに、明日まで地方(ちほう)へ出張(しゅっちょう)ってことになってるから」
「もう、いけない人ね」女は笑(え)みを浮(う)かべると、男の胸(むね)に手を当てた。
 その時、ドアをノックする音が響(ひび)いた。「誰(だれ)だよ。無粋(ぶすい)な奴(やつ)だなぁ」
 男はベッドから出るとガウンを羽織(はお)った。また、ノックの音。今度は少し強く叩(たた)いている。そして、ドアの向こうから女性の声が聞こえてきた。「ルームサービスです」
 男は首(くび)をかしげて呟(つぶや)いた。「そんなの頼(たの)んでないぞ」
 また外(そと)から、「当ホテルの二十周年記念(きねん)で、無料(むりょう)サービスになっております」
 男はドアを開けた。外にいたのは、ホテルの従業員(じゅうぎょういん)ではないようだ。その女は、男を押(お)しのけて部屋(へや)の中へずかずかと入って来た。男は慌(あわ)てて女を追(お)いかける。女はベッドの中の女性を見つけると、ほくそ笑んだ。
 ベッドの女は毛布(もうふ)で顔を隠(かく)しながら、「奥さん…、奥さんなの?」
 男は慌てて、「違(ちが)うよ。こんな女、俺は知らない。――君は、誰なんだ?」
 乱入(らんにゅう)した女は男を思いっきり引っぱたくと、「あなた、私の顔を忘(わす)れたの。私は、あなたの妻(つま)よ。私と結婚(けっこん)するって、あなた約束(やくそく)したじゃない!」
<つぶやき>これはどういうことかな? でも、修羅場(しゅらば)になることは間違(まちが)いないようです。
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