みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0281「主婦道」

2018-08-06 18:52:41 | ブログ短編

 娘(むすめ)は実家(じっか)へ帰るなり母親に愚痴(ぐち)をこぼした。
「もう、あんな人だとは思わなかったわ。ねえ、聞いてよお母さん」
 母親は、娘にそっとお茶(ちゃ)を出して、黙(だま)って娘の話に耳を傾(かたむ)けた。
「あたしの言うことなんか全然(ぜんぜん)聞いてくれないし。何度注意(ちゅうい)しても、服(ふく)は脱(ぬ)ぎっぱなしで、家事(かじ)の手伝(てつだ)いなんか少しもしてくれないの。結婚前は、ほんとマメな人だったのに――」
 母親は娘の愚痴が一通(ひととお)り終わると口を開いた。「それで、あなたはどうしたいの?」
「離婚(りこん)よ、離婚。あたし、あの人とはもうやっていけない」
 母親は少しも驚(おどろ)かず、静かな口調(くちょう)で言った。「そう。そうしたければすればいいじゃない。でも、あなたもまだまだね。歳(とし)を重(かさ)ねると、そんな些細(ささい)なことどうでもよくなるものよ」
「お母さんは、そうかもしれないけど。あたしは、イヤなの」
「夫(おっと)を自分の思い通りにさせようなんて思っても、無駄(むだ)なことよ。しょせんは別の人間(にんげん)なんだから。それより、上手(うま)く付き合っていくコツをつかまなきゃ」
 娘は口をへの字に曲(ま)げて、「じゃあ、どうすればいいの? 教えてよ」
「そんなこと自分で考えなさい。お母さんから言えることは…。そうね、男は些細なことでも誉(ほ)めてあげると喜(よろこ)ぶものよ。あなたも、そんな仏頂面(ぶっちょうづら)してないで、いつも笑(わら)っていなさい。笑う門(かど)には福(ふく)が来るんだから」
<つぶやき>母親は主婦(しゅふ)の先輩(せんぱい)でもあるんです。何か学べることがあるかもしれませんね。
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