徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:今野敏著、『わが名はオズヌ』(小学館文庫)&『ボーダーライト』

2022年10月23日 | 書評ー小説:作者カ行

警視庁捜査一課・碓氷弘一シリーズの『パラレル』で登場した修験道の開祖・役小角が降臨する高校生が気になって、オリジナルの『わが名はオズヌ』を読んでみました。
荒れた神奈川県立南浜高校に通う賀茂晶が自殺未遂をして以来、役小角が降臨するようになり、その法力により人を操ってしまう。
元暴走族リーダーで今は後鬼として小角に従う同級生・赤岩猛雄、美人担任教師・水越陽子たちとともに、建設推進派の自由民政党代議士・真鍋不二人と大手ゼネコン久保井建設社長の策謀に立ち向かっていくというのがメインストーリーです。
警視庁から賀茂についての調査要請を受けた神奈川県警生活安全部少年一課の高尾勇と丸木正太は、調査要請が取り下げられた後も調査し続け、賀茂晶の謎に迫ります。

役小角についての蘊蓄がやや冗長なきらいはありますが、『特殊防諜班』シリーズでも取り上げられていたユダヤ人が先史以前の日本に渡来していた説がここでも展開され、出雲族の宗教がユダヤ教のキリスト派であり、その血を引く賀茂氏に連なる役小角もその信仰を受け継いでいたという珍説が登場し、実に興味深い内容となっています。



オズヌシリーズの最新刊である『ボーダーライト』では、なぜか神奈川県内で薬物売買や売春などの少年犯罪が急増しはじめたことが問題となります。県警少年捜査課の高尾勇と部下の丸木正太が一連の事件を洗い始めると、彼らは「普通の高校生」で、いずれも人気バンド「スカG」のボーカル「ミサキ」の信奉者であることが判明します。「スカG」のミサキと高校生たちの犯罪に関係があるのか否か、あるのであれば、それはいったいどのような関係なのか、この謎に迫る際に、賀茂晶に役小角が再び降りてきて、捜査と根本的な問題解決に尽力します。
この巻は『わが名はオズヌ』のような情報過多な部分がなく、テンポよくストーリー展開します。


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