徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:今野敏著、『道標 東京湾臨海署安積班』(ハルキ文庫)

2022年05月15日 | 書評ー小説:作者カ行

『道標 東京湾臨海署安積班』は短編集です。
『道標』というタイトルが暗示するように、安積剛志の初任科時代(「初任教養」)から地域課(「捕り物」)などを経て刑事となり(「熾火」)、さらに出世して係長に就任し、彼を中心とした結束の固い安積班ができるまでの経過(「視野」、「消失」、「みぎわ」、「不屈」、「係長代理」、「家族」)や石倉進鑑識係長が安積の依頼を最優先で受けるようになったきっかけ(『最優先』)などが語られています。

「不屈」、「係長代理」、「家族」の3編では安積班の最新メンバーである水野真帆が登場しており、時系列はほぼ本編と同じです。

『東京ベイエリア分署』『神南署』『東京湾臨海署』の三期に亘って、三十年以上書き継がれてきた著者のライフワークなだけあって、登場人物も多く、以前に安積とであった人たちが立場を変えて再登場することも多々あるので、よほど熱心なファンでないと「この人は誰だっけ?」となることが避けられません。
でも、覚えている脇役キャラの登場するスピンオフを読むと、「ああ、だからああなのか」と納得できたりして少し嬉しくなりますね。

このシリーズは主人公の安積剛志の人柄やチームメンバーたちの個性ばかりでなく、それ以外の脇役も実に魅力的または少なくとも生き生きと描かれているところが魅力的です。



安積班シリーズ
 

隠蔽捜査シリーズ


警視庁強行犯係・樋口顕シリーズ


ST 警視庁科学特捜班シリーズ


「同期」シリーズ
横浜みなとみらい署 暴対係シリーズ


鬼龍光一シリーズ

奏者水滸伝