『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
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[映画『もうひとりのシェイクスピア』を観た(寸評)]

2012-12-23 23:59:59 | 物語の感想
☆近くでも上映していないし、なんか地味なお堅い文芸作品っぽいし、見る気もなかったのだが、

 テレビの紹介で、監督がエメリッヒと聞いたら、もう、いてもたってもいられなくなって^^

 ポイントサービスもなく、駐車場も1000円以上掛かる立川シネマシティまで赴いた。

 そのテレビの紹介では、「巨匠エメリッヒ」と言われていた。

 苦笑いした。

 確かに「巨」・・・、スケールの大きい作品を作るが、それは、「巨匠」を冠されるような精神的な「巨」ではけしてない監督だぞ、エメリッヒは!^^;

 だから、『ダヴィンチコード』みたいな、歴史サスペンスの無難な作品だと思って見に行った。

 しかし、これが、かなり面白かった!

 渋谷の「Bunkamura」辺りの単館上映でもなんら遜色のない文芸エンターテイメントであった。

 15世紀のイギリスの政治の大きな駆け引きの中に、うまく「シェイクスピアの真実」を絡めた、精神的な深みと大胆なエンターテイメント性を見事に融合させた作品だった。

 導入部の現在から5世紀遡り、そこでの劇作家達や官憲との絡み、老いたエリザベスや、その宰相や有力者たちの立ち居振る舞い・・・、更に数十年時を隔てた、若く美しいエリザベスの恋や、それを苦々しく思う前宰相の政治的な判断などが、その時代を形作る幾つものピースとして見事に描かれている。

 エメリッヒの、超大作製作で培った、予算や特殊撮影技術のうまい使い方には感服するし、

 何よりも、本物・偽者、偽者にも成れなった者の、「シェイクスピアの半生」を、そのメジャー作品の寸劇とともに見せてくれるのが面白かった。

 また、変則グランドホテル形式とも言える、多重の主人公が活躍する この作品だが、さすがに、多くのディザスタームービーを撮り、大きな歴史的なうねりの中での、世界の人々の各区域や各階層での、それぞれの姿をうまく抽出できてきたエメリッヒが、ここでも、非常にうまい仕事をしていた。

 かなり、難しい構造の作品なのだが、しばらくすると、すぐに方向性が見出せる巧みさも確かにある。

 また、この物語自体も、大きな複合した悲劇を描いていることにも注目です!

   ◇

 あまり、萌え要素のある作品ではないが、若い頃のエリザベス女王は魅力的に描かれていましたよ。

 そして、女性には朗報です!

 「イイ男」がいっぱい出てきますよ。

 若い頃のオックスフォード侯も爽やかだが、年老いてのオックスフォード侯も渋い格好良さ。

 エセックス候は、作品では不遇だが、イケメンである。

 若きサウサンプトン候は、作品中の仕掛けで、若い頃のオックスフォード侯に似た魅力の可愛らしさだ。

 劇作家ベン・ジョンソンも、かなりの良い男である。

 アスリートのベン・ジョンソンの如く、栄光を手にいれる位置にもいたのに、その資格を喪失していくのだ。

 ・・・是非、観に行ってくださいな^^

 PS.蝋燭だけの自然光だけでっぽい撮影は、キューブリックの『バリー・リンドン』を意識しているのかな。

                                            (2012/12/23)

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