☆さて、鬼丸師匠不在の「GOGOMONZ」・・・、なんとも、パラレルワールドの一つの可能性に迷い込んでしまったかのような雰囲気なのですが、談慶さんも談慶さんで、立川談志師匠の話をする段には、やはり、「つもりつもったもの(…それも愛)」がある故に、非常に面白いのだ。
私は、鬼丸師匠にしても、横田かおり嬢にしても、今回、面白エピソードを話してくれた談慶さんにしても、一過性のラジオで語って終ってしまうのが惜しくて惜しくて^^;
談慶さんの話し方は、私の思い描く落語家っぽい語り口だ^^
◇
さて、落語家というのは上下関係が厳しいようだが、不思議と、高座の上では、笑いの為ならば、の下克上言動が多々ある。
・・・花音寄席。
右太楼さんも、二つ目なのに、真打の鬼丸師匠に「オファーがあったのは前日だ」とか「普通、そんな非常識はない」とか「まあ、前日の依頼でも、土日に仕事のない自分も自分だが」とオチはつける^^;
また、「前座として一席話せば良いと思ったら、交互に二席話すことになった」とか「鬼丸兄さんは二時間自分だけで持たせられないのだな」とか「長い噺が出来ないんだ」などと言いたい放題で面白かった。
私は、落語家を「聖闘士星矢(セイントセイヤ)」に例えることが多い。
ブロンズ聖闘士・・・前座
シルバー聖闘士・・・二つ目
ゴールド聖闘士・・・真打
教皇 ・・・名人
つまり、鬼丸師匠はゴールド聖闘士なのだ。
だが、確か、「聖闘士星矢(セイントセイヤ)」には、ゴールド聖闘士の実力を持ちながらシルバー聖闘士に甘んじている<琴座のオルフェ>ってのがいたが、右太楼さんはあれか?
◇
さて、<琴座のオルフェ>の攻撃『締め込み』を受けた鬼丸師匠・・・。
右太楼さんの噺は、じわじわと効いてきて、最後に爆笑の渦を生んでいた。
対して、鬼丸師匠は、超必殺技の、「特大まくら・酔っ払い」+『親子酒』で一気に勝負を決めようとした。
このまくら噺・・・、面白いんだよ。
あまりにもギャグ密度が濃いので、ここには記せない。
ちょっとでも書けば、なんかこの完璧に構築された世界に傷をつけちゃいそうだ。
と言いつつ、一つ書けば、満員電車の中で、えずく酔っ払いと向き合ってしまったOLが、必死で方向展開すると、相手の酔っ払いを始め、周囲の人間全員が「歯車力学」で回転を始める話など、もう、普通の人間の目のつけどころではない^^
左隣のA子嬢も、右隣の「仮称・グリコ係長」も、延々と笑い続けていた。
私も、「ああ、この噺は音楽だ! 名曲だ! ヘビーローテーションで聴き続けたい」と願うのだ。
しかも、その後の『親子酒』が更に面白い。
「特大まくら・酔っ払い」が、壮大な伏線だったと思うほど、それまでの素地が、古典落語『親子酒』を数倍の輝きに再生させている。
禁酒していたはずなのに酔っ払った親父・・・、そこへ、息子が、禁酒していたはずなのに酔っ払って帰ってくる。
咎める親父、釈明する息子・・・。
息子は、取引先で酒を飲むに至る経緯を話す。
酒を勧められた息子、何度も断わるのだ。
その断わる口調、既に酔っ払って回想しているものだから、「だーっス」となる。
この言葉の意味がわからない。
でも、二回目で分かるのだ。「だーっス」
「(今 禁酒しているので)ダメです!」の意である。
一回目はきょとんとしている左隣のA子嬢も、右隣の「仮称・グリコ係長」も、この二回目の「だーっス」で死ぬほど笑っていた^^
ここで勝負は決したか?
いや、ここで中入り・水入りとなった。
◇
さて、後半は、右太楼さんの『宮戸川(前編)』ではじまった・・・。
今、この文章を書くにあたり、言わずに話し終えた右太楼さんの演目タイトルを、ネット検索で探すのに、小一時間掛かりましたよ。
飲みながら書いているので、酔っ払ってしまいましたよ。
でも、どうにか、この更新は書き終えますぞ!
この噺は、半七とお花の馴れ初めを描く、それほどに爆笑を誘う展開ではないのだが、それぞれ帰宅が遅くなり家を追い出され、半七のおじさんの家に厄介になるのだが、そのおじさんの早とちりで有名な異名「飲み込みの久太」と古女房の勘違いっぷりが面白く、だが、その勘違いに乗せられ、半七とお花が仲良くなっていく。
演じ分けが巧みで、なんか、お花がとても可愛かった^^
この話、二人が雷の音に恐怖し急接近、「さあこれから!」のところで「これから先は文献が焼けております^^」で終わってしまった。
私は、時間調整かなと思ったのだが、前後編の『宮戸川』を前半だけで終わらす場合は、このような下げなのだそうだ^^
さて、鬼丸師匠の二席目は、寄席ではあまり話されることのないと言う『御神酒徳利』だった。
凄く夢のある面白い話だった。
とある旅籠の番頭さんが、良かれと思い、旅籠ゆかりの徳川家より賜いし御神酒徳利を、良からぬ者の目から隠すために、瓶に沈めた。
しかし、主人は、「先祖伝来の御神酒徳利がなくなったあ!」と旅籠中の大騒ぎ!
番頭さんは、自分が隠したことを家に帰ってから思い出すも、今更、告白したら顰蹙を買うだけだ。
困っていたら、奥さんが、「占いで出たことにしなさい」と占いのための算盤を出してきた。
で、前口上で、「先祖の遺言に、私も三度だけ占えるとあるのでやってみます」と、算盤を弾いて、まあ、知っていたからなんだけど、無事、瓶の中から御神酒徳利を発見!
その話を聞きつけた大阪の大立者が、「ならば、自分の病気の娘も占ってくれ」と言い出したからもう大変。
後に引けない番頭は、大阪の大旦那と上方に旅立つのだ。
占いの神通力は、あと二回残っている、と大旦那は認識している。
神奈川で直面した事件にも、ニンマリと笑い、被害者に「運がいいですね」と言うと、都合残ることになる、もう一回の神通力の行使を、大旦那は番頭さんに依頼するのだった。
物語は、江戸→神奈川→大阪と連なるのだが、それぞれのエピソードが有機的に絡んでいて、実に壮大だ。
これ、私、『ロード・オブ・ザ・リング』みたいな話に仕立て上げたいものだ。
『トクガワ・オブ・ザ・デキャンタ』なんつって!^^
なんつうかな、鬼丸師匠が大阪の大旦那の顔を真似る時なんて、顔が爺さんにしか見えなくて、鬼丸師匠の顔芸を心から愛するA子嬢は、幸せそうに笑っていました。
また、この番頭さん・善六さん、すぐに「きつい塩のオニギリを作ってくれ、俺も、お前も、それぞれの実家に行くんだ。後から便りを出す」と、ケツをまくる^^;
この「後から便りを出す」と言うときの、生真面目にすっ呆けた間(ま)が、文章ではけして説明出来ないのだが、異常に面白い。
私は、落語に夢中になるにあたり、そのとば口が、この三遊亭鬼丸師匠で、ホント、幸せだなぁと思うのだった・・・。
(2012/12/04)
私は、鬼丸師匠にしても、横田かおり嬢にしても、今回、面白エピソードを話してくれた談慶さんにしても、一過性のラジオで語って終ってしまうのが惜しくて惜しくて^^;
談慶さんの話し方は、私の思い描く落語家っぽい語り口だ^^
◇
さて、落語家というのは上下関係が厳しいようだが、不思議と、高座の上では、笑いの為ならば、の下克上言動が多々ある。
・・・花音寄席。
右太楼さんも、二つ目なのに、真打の鬼丸師匠に「オファーがあったのは前日だ」とか「普通、そんな非常識はない」とか「まあ、前日の依頼でも、土日に仕事のない自分も自分だが」とオチはつける^^;
また、「前座として一席話せば良いと思ったら、交互に二席話すことになった」とか「鬼丸兄さんは二時間自分だけで持たせられないのだな」とか「長い噺が出来ないんだ」などと言いたい放題で面白かった。
私は、落語家を「聖闘士星矢(セイントセイヤ)」に例えることが多い。
ブロンズ聖闘士・・・前座
シルバー聖闘士・・・二つ目
ゴールド聖闘士・・・真打
教皇 ・・・名人
つまり、鬼丸師匠はゴールド聖闘士なのだ。
だが、確か、「聖闘士星矢(セイントセイヤ)」には、ゴールド聖闘士の実力を持ちながらシルバー聖闘士に甘んじている<琴座のオルフェ>ってのがいたが、右太楼さんはあれか?
◇
さて、<琴座のオルフェ>の攻撃『締め込み』を受けた鬼丸師匠・・・。
右太楼さんの噺は、じわじわと効いてきて、最後に爆笑の渦を生んでいた。
対して、鬼丸師匠は、超必殺技の、「特大まくら・酔っ払い」+『親子酒』で一気に勝負を決めようとした。
このまくら噺・・・、面白いんだよ。
あまりにもギャグ密度が濃いので、ここには記せない。
ちょっとでも書けば、なんかこの完璧に構築された世界に傷をつけちゃいそうだ。
と言いつつ、一つ書けば、満員電車の中で、えずく酔っ払いと向き合ってしまったOLが、必死で方向展開すると、相手の酔っ払いを始め、周囲の人間全員が「歯車力学」で回転を始める話など、もう、普通の人間の目のつけどころではない^^
左隣のA子嬢も、右隣の「仮称・グリコ係長」も、延々と笑い続けていた。
私も、「ああ、この噺は音楽だ! 名曲だ! ヘビーローテーションで聴き続けたい」と願うのだ。
しかも、その後の『親子酒』が更に面白い。
「特大まくら・酔っ払い」が、壮大な伏線だったと思うほど、それまでの素地が、古典落語『親子酒』を数倍の輝きに再生させている。
禁酒していたはずなのに酔っ払った親父・・・、そこへ、息子が、禁酒していたはずなのに酔っ払って帰ってくる。
咎める親父、釈明する息子・・・。
息子は、取引先で酒を飲むに至る経緯を話す。
酒を勧められた息子、何度も断わるのだ。
その断わる口調、既に酔っ払って回想しているものだから、「だーっス」となる。
この言葉の意味がわからない。
でも、二回目で分かるのだ。「だーっス」
「(今 禁酒しているので)ダメです!」の意である。
一回目はきょとんとしている左隣のA子嬢も、右隣の「仮称・グリコ係長」も、この二回目の「だーっス」で死ぬほど笑っていた^^
ここで勝負は決したか?
いや、ここで中入り・水入りとなった。
◇
さて、後半は、右太楼さんの『宮戸川(前編)』ではじまった・・・。
今、この文章を書くにあたり、言わずに話し終えた右太楼さんの演目タイトルを、ネット検索で探すのに、小一時間掛かりましたよ。
飲みながら書いているので、酔っ払ってしまいましたよ。
でも、どうにか、この更新は書き終えますぞ!
この噺は、半七とお花の馴れ初めを描く、それほどに爆笑を誘う展開ではないのだが、それぞれ帰宅が遅くなり家を追い出され、半七のおじさんの家に厄介になるのだが、そのおじさんの早とちりで有名な異名「飲み込みの久太」と古女房の勘違いっぷりが面白く、だが、その勘違いに乗せられ、半七とお花が仲良くなっていく。
演じ分けが巧みで、なんか、お花がとても可愛かった^^
この話、二人が雷の音に恐怖し急接近、「さあこれから!」のところで「これから先は文献が焼けております^^」で終わってしまった。
私は、時間調整かなと思ったのだが、前後編の『宮戸川』を前半だけで終わらす場合は、このような下げなのだそうだ^^
さて、鬼丸師匠の二席目は、寄席ではあまり話されることのないと言う『御神酒徳利』だった。
凄く夢のある面白い話だった。
とある旅籠の番頭さんが、良かれと思い、旅籠ゆかりの徳川家より賜いし御神酒徳利を、良からぬ者の目から隠すために、瓶に沈めた。
しかし、主人は、「先祖伝来の御神酒徳利がなくなったあ!」と旅籠中の大騒ぎ!
番頭さんは、自分が隠したことを家に帰ってから思い出すも、今更、告白したら顰蹙を買うだけだ。
困っていたら、奥さんが、「占いで出たことにしなさい」と占いのための算盤を出してきた。
で、前口上で、「先祖の遺言に、私も三度だけ占えるとあるのでやってみます」と、算盤を弾いて、まあ、知っていたからなんだけど、無事、瓶の中から御神酒徳利を発見!
その話を聞きつけた大阪の大立者が、「ならば、自分の病気の娘も占ってくれ」と言い出したからもう大変。
後に引けない番頭は、大阪の大旦那と上方に旅立つのだ。
占いの神通力は、あと二回残っている、と大旦那は認識している。
神奈川で直面した事件にも、ニンマリと笑い、被害者に「運がいいですね」と言うと、都合残ることになる、もう一回の神通力の行使を、大旦那は番頭さんに依頼するのだった。
物語は、江戸→神奈川→大阪と連なるのだが、それぞれのエピソードが有機的に絡んでいて、実に壮大だ。
これ、私、『ロード・オブ・ザ・リング』みたいな話に仕立て上げたいものだ。
『トクガワ・オブ・ザ・デキャンタ』なんつって!^^
なんつうかな、鬼丸師匠が大阪の大旦那の顔を真似る時なんて、顔が爺さんにしか見えなくて、鬼丸師匠の顔芸を心から愛するA子嬢は、幸せそうに笑っていました。
また、この番頭さん・善六さん、すぐに「きつい塩のオニギリを作ってくれ、俺も、お前も、それぞれの実家に行くんだ。後から便りを出す」と、ケツをまくる^^;
この「後から便りを出す」と言うときの、生真面目にすっ呆けた間(ま)が、文章ではけして説明出来ないのだが、異常に面白い。
私は、落語に夢中になるにあたり、そのとば口が、この三遊亭鬼丸師匠で、ホント、幸せだなぁと思うのだった・・・。
(2012/12/04)