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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画  九十歳。何がめでたい  №375

2024-06-21 18:05:33 | 映画観賞・感想
 久しぶりの映画観賞だった。作家・佐藤愛子さんの同名のエッセイの映画化である。佐藤さんの毒舌とユーモアが、主演の草笛光子さんと好演が相まって、終始笑いを交えながら楽しませてもらった映画だった。

    

 表記映画が本日全国公開と知って、特に予定のなかった私は午前からシネマフロンティアに出かけて鑑賞した。客筋はやはり私と同年代と思われる高齢と思われる方が多く、特に女性の姿が目立ったようだ。
 原作は作家・佐藤愛子さんが93歳の時に作家生活の集大成として「晩鐘」を書き上げ、作家生活の引退を宣言したのだが、その後鬱々とした生活をしていた中、小学館の編集者の強引な口説き落としによって、週刊誌にエッセイを連載することになった。その題名が「九十歳。何がめでたい」である。

      
     ※ 佐藤愛子さんのエッセイ「九十歳。何がめでたい」の表紙です。

 そのエッセイは、ある紹介文によると「“暴れ猪”佐藤節が全開。自分の身体に次々起こる“故障”を嘆き、時代の“進歩”を怒り、悩める年若い人たちを叱りながらも、あたたかく鼓舞しています。自ら災難に突進する性癖ゆえの艱難辛苦を乗り越え92年間生きてきた佐藤さんだからこそ書ける緩急織り交ぜた文章は、人生を逞しく生きるための箴言も詰まっていて、大笑いした後に深い余韻が残ります」とある。
 映画はその佐藤愛子役を、今年90歳を迎えた草笛光子さんがエネルギッシュにチャーミングに演じ、それをサポートする編集者役の唐沢寿明がコミカルに支える演技がはまっていたと私には思えた。
 佐藤愛子さんの言を“暴れ猪”とは、言いえて妙とも言えるが、現代の世相に噛みつく様は人から見れば“暴れ猪”のように見えるのかもしれない。その“暴れ猪“ぶりを草笛さんは見事に演じ切っていたからこそ、会場内からは絶えず笑い声が行き交っていたのだろう。

         
  ※ 何歳の時の佐藤愛子さんかは不明ですが、笑顔が魅力の佐藤さんの近影です。

 そしてやはり作家は作家として、映画俳優は映画俳優として、自ら与えられた使命を一生を通して全うするのが幸せなのでは?と観客に問いかける内容になっていたと私は解釈した。
 佐藤愛子さんは今年100歳を迎えられたというが98歳のときにも「九十八歳。戦いやまず日は暮れず」という著書を上梓した。
 佐藤さんのように長生きはできないとしても、彼女の生き様は私も命ある限り見習っていきたいものだなぁ、と映画を観終えて思わされた。