ご存じの方が多いと思うが、若くしてこの世を去ったジェームス・デーンの初主演作である。翳の多い鬱屈した青年役は彼のパーソナリティとも合い、彼は一躍スターの座を不動のものとしたのだった。しかし…。
この映画はBSプレミアムで5月11日(火)に放送されたものを録画し、昨夜観たものである。
私にとっては、ジェームス・デーンも「エデンの東」のテーマ曲もお馴染みのものであったが、映画そのものは今回が初見であった。
そもそも「エデンの東」の題名についてよく知らなかったので調べてみた。すると、もともとが同じ出自(?)であるユダヤ教とキリスト教、イスラム教の原典となる「旧約聖書」の中で、アダムとイヴの息子であるカインが「エデンの園」を追放され辿り着いた地が「エデンの東」ということのようだ。その「エデンの東」においてカインは兄弟であるアベルとの間に確執を起こし、カインはアベルを殺害したと「旧約聖書(創世記)」には書かれてあるという。その伝説(?)をモチーフとしてアメリカの作家であるジョン・スタインベックが創作した長編小説が映画の原作となっている作品である。
本作において、敬虔なキリスト教徒で農業を営む父親のもとに兄アーロンと弟ケイレブ(愛称:キャル)が暮らしている。アーロンとキャル(ジェームス・デーン)は性格が違っていたが、父親は素直なアーロンを好んでいるように映った。そのことがキャルを悩ませていたが、もう一つは彼らの母親は死別したと聞かされていたが、実は近隣に住んでいることが分かった。キャルは父親に愛されたい。しかし父親は自分たちに隠していることがある。そうした父に対する鬱屈した思いが、彼に暗い影を落とすのである。
このような難しい役柄をジェームス・デーンは一見陰のある表情とともに、見事に演じ切って見せたのである。というのも、彼の生い立ちもまた複雑で、父親には愛されず、母親は彼が9歳の時に亡くなってしまったという。その後は姉夫婦のもとで育てられたという複雑の生い立ちが、彼にあの独特の陰のある表情を創らせたのかもしれない。
この一作でジェームス・デーンは一躍スターの座に躍り出たのだが、その後わずか2作(「理由なき反抗」、「ジャイアンツ」)に出演した後、自動車事故でこの世を去ってしまった。そのことがまた彼の神秘性を高めてしまうという皮肉なことになってはしまったのだが…。なお、「エデンの東」の日本公開は彼が亡くなった後だったそうだ…。