田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画 STAR SAND-星砂物語- №253

2019-11-12 16:41:47 | 映画観賞・感想

 「“戦わない”という裏切り」をした米兵と日本兵。しかし、作者は「暴力を拒否するのは英雄かもしれない」との思いを強くする。この映画は、静かなる反戦映画であると私には映った。

※ 映画タイトルの前にナンバーリングを付けた。この数字は私が2007年に札幌に転居後に観た映画の通算の映画の数である。「映画は最高のエンターテイメント」と考える私にとって、これからも有料・無料にかかわらずできるだけ映画を観ていこうと思っている。

                

              ※ 写真上は主演の洋海役の織田梨紗、下は女学生役の吉岡里帆です。

 この映画は11月9日(土)午後、エルプラシネマの11月分として上映されたものである。映画は自らもベトナム戦争に反発してアメリカを去ったロジャー・パルバースが原作・脚本・監督を兼ね2017年8月に公開されたものである。

          

          ※ この映画では主演の洋海役の織田梨紗(上段中央)を錚々たる助演陣が脇を固めた。

 舞台は太平洋戦争末期の1945年、戦火からは遠く離れた星砂が取れる沖縄の小さな離島。日本人の父と日系アメリカ人の母の間に生まれた少女・梅野洋海(16歳)は親類を頼ってこの島に辿り着き、空き家で一人住まいを始める。そのような島の洞窟で軍を脱走した日本人(岩渕)とアメリカ人(ボブ)が密やかに共同生活をしていたところを、星砂を探していた洋海が偶然出会ってしまう。洋海は二人に食料を運ぶなどして親しくなっていく。特にボブと洋海の間には淡い恋愛感情も生まれたようだ。そうした中に、戦争で脚を負傷した岩渕の兄・一(はじめ)が洞窟へやってきて徴兵を拒否した二人を激しくなじる。そして悲劇的な結末が…。映画はここで終わらない。2016年、東京のとある大学に通う志保が卒論制作のため指導教授から推薦された沖縄の離島の歴史を探る中で意外な発見をすることでストーリーは思わぬ方向に発展する。ここから先はネタバレとなるので省略する。

          

          ※ 洞窟内での洋海(織田梨紗)と岩渕隆康(満島真之介)です。

 この映画の主題でもある徴兵を拒否するということが当時はどれほどの反逆罪とされたのか、私には想像もつかない。たまたま私が今唯一連続して視聴している倉本聰作「やすらぎの刻 道」の中で徴兵を拒否するために毒を盛って自殺したり、自ら交通事故を装って重傷を負ったりシーンがあったが、当時においては徴兵を拒否することがどんなに重いことなのかおぼろげに想像するしかないのだが…。作者は自らが徴兵を拒否したことについて二人の脱走兵を通して観客に考えてもらいたいとの思いが滲み出た作品だった。特徴的なことは、作者のロジャー・パルバースがけっして自らの立場を援護(擁護)しようとして映画を創ったわけではないことがスクリーンを通して伝わってきた…。