田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画 25 老人と海

2010-09-27 12:25:23 | 映画観賞・感想

 私にとってちょっと思い込みのある与那国の海を題材とした映画「老人と海」である。淡々と描く老漁師の姿から「自然と共に生きる」ことの尊さを改めて教えられた気がする。

               

 日本の最西端「与那国島」の海に一人の漁師がいた。
 彼の名は糸数繁。82歳だ。
 サバニという小舟を操り200キロもの巨大カジキを追い続ける姿を追った映画だった。

 「老人と海」というと、文豪ヘミングウェイを思い出す。
 映画プロデューサーもヘミングウェイの世界を日本に求めて、与那国島の糸数さん出合ったという。

 糸数さんは島の人々に支えられ、ばあちゃんを愛して海に行き、海を愛して漁に出た。
 しかし糸数さんの仕掛けに巨大カジキはかからない。
 長い不漁に苦しみながらも、自然への敬意と漁師の誇りを忘れない糸数さん。
 そんな糸数さんの仕掛けに1年後ついに巨大カジキがかかった!
 木の葉のように揺れる小舟の中で、巨大カジキと格闘しついに打ち勝つシーンはとても82歳とは思えない逞しさだった。

 映画は20年前に撮り終え、一度公開されたものを「ディレクターズ・カット版」としてリニューアル公開されたものだ。
 したがって主人公の糸数さんはすでに鬼籍に入ってしまっている。
 ドキュメンタリータッチの映画でありながらナレーションはいっさいなく、ところどころで島言葉が翻訳された字幕が出る程度である。
 映画は淡々と糸数さんや周りの人、島の行事などの情景を追い続けるだけなのだが、かえってそのことが糸数さんをはじめ島で生きる人たちが「自然と共に生きる」ことの素晴らしさを伝えてくれているように思った。
 自然を前にして、シンプルに、しかも真っ直ぐに生きる糸数さんの姿から、島で生きることへの誇りが滲み出ているように思えた映画だった。

 私がちょっとした思い込みがあると言ったのは、昨年2月末与那国島を旅して、映画の舞台になった久部良港にも寄った経験があったからだった…。
 映画はシアターキノで10月1日までロードショー公開されている。