田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

札幌の市電延長を考えるシンポジウム

2010-09-12 19:52:27 | 札幌学 & ほっかいどう学
 はたして札幌の市電の延長は本当に必要なんだろうか?私はこの問題に対してはニュートラルな立場であるが、問題を考える良い機会と考え参加したのだが…。

         

 新聞に小さな告知記事が載った。
「◆路面電車はまちづくりの主役 札幌の市電延長を考えるシンポジウム 7日午後1時30分、札幌市教育文化会館(中央区北1西13)。札幌市市民まちづくり局公共交通担当の岸光右部長と、市電を守り再配置をすすめるプロジェクトの荒川尚次体表が、延伸に関する現状や取り組みについて報告と質疑応答を行う。参加無料。(後略)」
という内容に興味を持ち足を運んだ。

 シンポジウムは、札幌市の岸部長から「環境負荷を抑えたまちづくりと市電の在り方」、「市電事業の現況」、「市電を延伸する場合の事業費」、「延伸した場合の事業見通し」、「諸外国・他都市の市電の状況」などについて説明があり、札幌市は平成22年3月に市電を延伸する方針としたが、その規模、延伸する方面などの基本計画はこれからの課題であるとした。
 市としては延伸の方針は明言しつつも、採算を重視し「事業として成り立つ市電」を模索していると受け止めた。

 これに対して、プロジェクトの代表の荒川氏は過去に市電の完全廃止をストップさせた実績と、今後環境負荷の小さい市電の延伸を現在考えられている3方向に採算を度外視しても速やかに実現すべきであり、不採算路線は社会福祉政策として税金で補填すべきだと主張した。
 聞いていた私には、まるで「市電」を公共交通の主役とすべきであるかのような主張に映った。

        
        
 休憩を挟んで、参加者から意見を募った。
 10名の方々が発言したが、そのほとんどは荒川氏の発言に同調するものであり、事業者である市に対してさまざまな要求を突きつけるものだった。
 とても市電の延伸について疑問を呈するような意見を言える雰囲気ではなかった。

 私はこの問題について、現段階では次のように考えている。
 現在ある市電の路線を延長することは交通機関の選択肢が増えることから、一利用者としては歓迎すべきことなのだろう。
 しかし、延長するための事業費見込みが3方向全て整備するとなると約150億円の費用が必要ということだ。そのために税金の投入は避けられないという。しかも確実に採算が取れるという見込みも立っていないということだ。
 こうした状況下で市は延伸を決断したという。それは多分に政治的な判断であったのだろう。

        
        ※ 「路面電車と札幌の未来をみんなで考えてみませんか」
         と題する札幌市が発行したパンフレットの表紙です。      

 この後、この問題がどのような経過を辿り、どのような結論を見出すのか…。
 関係者にはぜひとも市政全般にわたって総合的に考え、判断してほしいと思う。
 財政が逼迫している札幌市にとって解決すべき課題は数多い。
 私には「市電の延長問題」が市の最優先課題だとは思えないし、市電が札幌市の公共交通の主役だとも思えないのだが…。