今日本では非正規労働者の数が増大し、貧困化が進行しているという。「誰もが働き、暮らせる社会をどうつくるのか」をテーマとした講演・対論を聴いた。
朝日新聞・北海道大学・HTBの共催による「知の森へ ポプラ広場」という催しがシリーズで開催されていますが、初めて参加しました。
24日(土)は、「生活保障の未来図~誰もが働き、暮らせる社会をどうつくるのか~」というテーマで、北大大学院の宮本太郎教授と朝日新聞の竹信三恵子編集委員が講演と対論を行いました。
テーマがシビアであり、なおかつ理解力に乏しい私のことですから全てを正確にレポートすることはできませんが、理解できた範囲でまとめてみたいと思います。
旧来の日本の生活保障というのは、①行政(官僚側)が業界と会社を守り、②会社が男性稼ぎ主の雇用を保障し、③男性稼ぎ主が妻と子どもを養う、という形であった。これを宮本教授は「日本型生活保障の三重構造」と称しました。
つまり旧来の日本は、社会保障に代わって大多数を正規に雇用することで国民の生活を保障していたということです。
ところが1995年頃を境にして、「日本型生活保障の三重構造」の解体が始まったといいます。その背景の要因は経済のグローバル化にあるのだろうと思います。(このあたりについて二人は言及しなかったが…)
その結果、現状の日本は…、
①非正規化と貧困化が進み、②高齢化が進展し、③家族の変容が見られ、④社会の病理
現象が拡大している、という非常に憂慮すべき状況にあるといいます。
議論を大幅に端折って、これからの日本について二人は次のように提言しました。
それは「国民の生活保障を支えるために日本の仕組みを再編しなければならない」と…。
その再編の視点について数点挙げていましたが、宮本氏が特に強調したのが「持続可能な雇用の創出」ということでした。
持続可能な雇用ということで注目すべきは「グリーン・ジョブ」の拡大であると指摘します。グリーン・ジョブとは脱化石燃料化を進めることで創出されるさまざまな産業を指します。例えば、医療、介護分野、環境保全、既存施設の修繕・維持、第六次産業化と公共サービスの強化などです。
私にとって新しい言葉であった「第六次産業」とは、一次+二次+三次=六次ということのようです。つまり、一つのところで原料生産から販売まで全てを行ってしまうということを指した言葉のようです。
私のレポートだけでは読まれた方は不満がたくさん残るでしょう。受講した私自身、混迷する日本の現状に対して有効な対策足りうるか、と問われるといささか物足りないものに映った、というのが正直な感想だったためにこのようなレポートとなりました。