THE GRANDMOTHERS
2003年 ドリス・レッシング
レッシングの小説は、短篇集などでちょこちょこ読んでいますが
一冊まるごと読むのは初めてのような気がします。
(と思ったら本棚にもう一冊短篇集を発見! 内容覚えていませんが… )
良かったですよ!!
有り余る想像力を見せつけてくれるような短・中篇集、
とてもとても面白く読めました。
どちらかといえば非情緒的で簡潔、そして短い文章の羅列… そっけないです。
なのに、どんどん登場人物に感情移入してしまいました。
どういう書き方なんだろう? これ…
収載されているのは4篇なので、全てさらっとご紹介します。
『グランドマザーズ』
双子のように育ってきた親友のロズとリルは、ともに美しく成長し、結婚し
ともにハンサムな息子を生みました。
ロズは離婚、リルは死別して、美しい母二人と息子二人は家族のように暮らします。
息子のトムとイアンが青春を迎えた時、ロズとリルもまだ若々しい女性でした。
『ヴィクトリアの運命』
ヴィクトリアは9歳の時に1日だけ面倒をみてくれた白人の少年エドワードの面影を
慕いながら大きくなり、14歳の時にひとりで末期がんの叔母を看取りました。
美しく成長したヴィクトリアはエドワードの弟トーマスと愛し合うようになって
妊娠しますが、彼にはだまって生む決心をします。
『最後の賢者』
ロッドが開いたラダイト朝は、エンロッド、ウィップと続き、女王デストラの時代に
円熟期を迎えましたが、その子デロッドの時代になって文化的に衰退します。
デロッドと共に育った十二賢者も年老い、とうとう最後のひとりになりました。
なぜデロッドはデストラが育んだ豊かな文化を破壊したのか、賢者には理解できません。
『愛の結晶』
平和主義集会に足繁く通っていたジェームズにも召集令状がきました。
訓練を終えてインドへ向かう船の中で、兵士たちは地獄のような日々を送ります。
中継地のケープタウンで滞在したライト家で夫人のダフネを見た時
ジェームズはそこに女神がいるとしか思えませんでした。
時代も設定もまちまちでまとまりのない一冊に思えますけど
読み終えた時には、そんなことどうでもよくなりました。
どれもあり得そうもないのにリアリティが感じられる、
ありそうだけどドラマティックすぎる…というジレンマが心憎い物語になっています。
“ 物語 ” を書くとはこういうことなのね、と思える作品集でした。
さすがノーベル文学賞! というにはあまりにも簡略化されて日常的な文章…
さてはあえてそういう書き方をしたんじゃないかしら?
それでも面白いのがすごいよね!!
嗚呼うれしや…好きな作家がひとり増えました
2003年 ドリス・レッシング
レッシングの小説は、短篇集などでちょこちょこ読んでいますが
一冊まるごと読むのは初めてのような気がします。
(と思ったら本棚にもう一冊短篇集を発見! 内容覚えていませんが… )
良かったですよ!!
有り余る想像力を見せつけてくれるような短・中篇集、
とてもとても面白く読めました。
どちらかといえば非情緒的で簡潔、そして短い文章の羅列… そっけないです。
なのに、どんどん登場人物に感情移入してしまいました。
どういう書き方なんだろう? これ…
収載されているのは4篇なので、全てさらっとご紹介します。
『グランドマザーズ』
双子のように育ってきた親友のロズとリルは、ともに美しく成長し、結婚し
ともにハンサムな息子を生みました。
ロズは離婚、リルは死別して、美しい母二人と息子二人は家族のように暮らします。
息子のトムとイアンが青春を迎えた時、ロズとリルもまだ若々しい女性でした。
『ヴィクトリアの運命』
ヴィクトリアは9歳の時に1日だけ面倒をみてくれた白人の少年エドワードの面影を
慕いながら大きくなり、14歳の時にひとりで末期がんの叔母を看取りました。
美しく成長したヴィクトリアはエドワードの弟トーマスと愛し合うようになって
妊娠しますが、彼にはだまって生む決心をします。
『最後の賢者』
ロッドが開いたラダイト朝は、エンロッド、ウィップと続き、女王デストラの時代に
円熟期を迎えましたが、その子デロッドの時代になって文化的に衰退します。
デロッドと共に育った十二賢者も年老い、とうとう最後のひとりになりました。
なぜデロッドはデストラが育んだ豊かな文化を破壊したのか、賢者には理解できません。
『愛の結晶』
平和主義集会に足繁く通っていたジェームズにも召集令状がきました。
訓練を終えてインドへ向かう船の中で、兵士たちは地獄のような日々を送ります。
中継地のケープタウンで滞在したライト家で夫人のダフネを見た時
ジェームズはそこに女神がいるとしか思えませんでした。
時代も設定もまちまちでまとまりのない一冊に思えますけど
読み終えた時には、そんなことどうでもよくなりました。
どれもあり得そうもないのにリアリティが感じられる、
ありそうだけどドラマティックすぎる…というジレンマが心憎い物語になっています。
“ 物語 ” を書くとはこういうことなのね、と思える作品集でした。
さすがノーベル文学賞! というにはあまりにも簡略化されて日常的な文章…
さてはあえてそういう書き方をしたんじゃないかしら?
それでも面白いのがすごいよね!!
嗚呼うれしや…好きな作家がひとり増えました