まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『森の小道・二人の姉妹』今年最大の期待はずれ

2010-08-21 23:00:04 | その他の国の作家
DER WALDESTIG / ZWEI SCHWESTERN 
1844年・1845年 アーダルベルト・シュティフター

美しく、天使のようにやさしい文章に心が洗われます…
でも「面白いか?」と聞かれたら、答えは「いいえ」です。

作家のシュティフターは、自然豊かな土地で生まれたそうです。
風景画を好んで描いていました。(表紙の絵もシュティフターによるもの)

小説でも風景画同様に、深い森、澄んだ湖、連なる山々、人里離れた牧草地などを
細かく描写して下さり、まるで目の前に風景が浮かぶようでございます。

なんだけど…登場人物の内面の描写となると、かなりぞんざいな気がするのよね…

『森の小道(DER WALDESTIG)/1844年』
莫大な遺産を手に入れたことで、病気を理由に引き蘢るようになった
ティブリウス・クナイクトは、変わり者の医者の勧めで温泉に出かけました。
温泉地で規則正しい毎日を送っていたある日、森の小道で迷ってしまったことから
ティブリウスの人生は大きく変わることになります。

『二人の姉妹(ZWEI SCHWESTERN)/1845年』
旅先で隣人になったフランツ・リカールに好感を持ち
数年後、イタリアへの旅の途中で彼を訪ねることにしました。
リカールは南チロルの山深い場所に、妻と二人の娘の四人で暮らしていました。
あまりにも幸せそうな家族に囲まれ、知らず知らず滞在が長くなってしまいました。

私は姉妹ものに目がないんですよね。
ベネットの『二人の女の物語』、オースティンの『分別と多感』
ロレンスの『恋する女たち』などなど
性格が違う姉妹の恋や人生なんかを比較して書かれた物語が大好きです。

『二人の姉妹』もそんな感じかしら、と期待して読んでみたのですが
なにこれ? って言いたくなりましたよ。

長女マリアと次女カミラという姉妹が登場してまして
文中 “ こんなに違う姉妹を見たことがない ” 的なことが書かれているんですけど
説明不十分であまりそうは感じられませんでした。

たしかに風貌は違うし、姉さんはアクティブ、妹は夢見がち…というのは分るが
他の人物やエピソードに関する記述がやけに多くて、この姉妹、さっぱり目立ちません。

姉妹揃って同じ男性に恋をするという、物語をいかようにも持って行けるテーマなのに
まったく盛り上がらずに終わってしまいます。
簡単に言うと片方があきらめるからなんどけど、その間もうひとりは何もせず
あっと言う間に三角関係の場面は終わりを迎えます。

別にドロドロしなくてもいいけどさぁ…
せめてその男性について二人に会話させてみない?

『森の小道』も主人公がある娘に出会って人生が変わるわけなんだけど
唐突なのよね…かすかに伏線はあったりしましたが。

2篇とも幸福で清らかな、(小学校低学年ぐらいの)夢見る少女ちっくな物語です。
きれいにまとまって良かったね…と言っておきます。
コメント
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