仲のいい同僚が、社長と口論の末、「辞めます!」と言ってしまったそうだ。
社長との口論は、今に始まったことではなく、何度も聞かされている。
同僚は経理担当なので、私にはわからない何か問題があるのだろう。
就職難のご時世、シングルマザーの彼女が、会社を飛び出してすぐに仕事があるだろうか。
社長からは辞めないでくれとは言われているらしい。
それでも辞めると言い張るのは、よっぽどのことだったのだろう。
昨日、トイレで泣いているのを見てそう感じた。
確かに彼女は会社のいろいろなことを知っているし、問題点も社長に提言している。
それを社長は受け入れてはいるらしいが、そのことも逆手に取られたらしい。
今日、彼女は休んだ。
昨日のメールでは、仕事を家に持って帰ったけれど、やる気なしとのこと。
辞めるなら仕事を持って行かなくてもいいのに。
会社のこと、社長のことなど、グチと共に垣間見てしまった私は、この会社でうまくやっていけるのかと不安になる。
私と彼女が仲のいいことを知っている社長が、何か聞いてこないか心配だ。
今は、こちらに嵐がこないように、慎重に仕事をしていくしかない。
そして、今問題になっている口論も、いつものように下火になってくれないかと願うばかりだ。
ただ、彼女の抱えている問題は、私が考えているよりも奥が深いかもしれない。
そして「退職」が本当になってしまうかもしれない。
それは私にとって、友達がいなくなってしまうことの寂しさよりも、ある意味後ろ盾がなくなってしまうことの不安の方が大きい。
それだけ彼女の存在は、この会社で仕事をしていく私にとって大きなものだったのかもしれない。