8月1日、2日、燃料油脂新聞より(※青系文字がmasumi)
減販加速も「なんとか踏ん張りたい」 京都府内販売店
灯油配達・農家向け混合油注文など
「現金客にとどまらず、近年は掛け売りの顧客減少が目立つ。セルフSS主導の市場環境になり経営維持、改善は至難」
一方ではいぜん根強く需要が残る灯油配達、農家向けの混合油の注文など、セルフSSでは対応できない分野でのニーズがある。
「地元消費者の要望に応えるためにも今後できるだけ長く経営を続けたい」
「たとえマージンを20円取れたとしても、ガソリンの収益は月70~80万円前後にとどまる。経営維持する上で老朽設備改修に再投資が必要になり、資金不足は避けられそうにないのが実情だが、地域貢献という意味でも何とか踏ん張りたい」
強気販売で健全経営 埼玉県山間部フルSS
レギュラーノー看板150円も
地元販売業者によると、市街地のセルフでレギュラーリットル125円前後で推移するなかで、とりわけ山間部のフルSSでは「安くても135円以上の現金価格。なかには現金142円とか150円で販売するSSも存在する」という。
山間部のフルSSによる燃料油販売量は月間100キロリットル未満が少なくない。
現金フリ客が市街地に比べて圧倒的に少ないことや、営業時間を日中限定しているSSがあることが背景だが、こうした地元販売業者の経営判断は「固定客には好値販売になるが、フリ客には売らないだけ。消費税や軽油引取税など支払いを考えると売るだけ損」との声。
この結果「玉の仕入オーダーが月1回程度のSSもある。掛け売りだけで十分との認識が少なくなく、さらに仕切り値上げ局面では“フリ客に給油すると安く仕入れた玉が減ってしまう”と生活防衛的な面も多い」
「山間部では住む場所によって町中まで30キロメートル離れたところで生活する住民もいる。高齢化が進むなかでわざわざ安いからと往復60キロメートルかけて給油に行く住民はまずいない。ある意味では自然に顧客の固定化を果たしている。さらにSS以外に自動車整備など手掛けているので、市街地に比べてかえって余裕があるようにもみえる」
山間部では少ない販売量でも健全経営が十分に図られている。
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150円で売れたら粗利30円弱・・・
それでも地下タンク改正消防法対応工事で入れ替えやFRPを選択するには足りませんね。
しかしこれだけの粗利があれば、現店主が“その日までは”店を続けることができます。
・・・
こうした販売店がある一方で、唯一のガソリンスタンドになっても廃業してしまう過疎地もある。
違いは何だろう?
立地や商環境、店主の年齢.....
>わざわざ安いからと往復60キロメートルかけて給油に行く住民はまずいない。
車で2分も走れば10円前後も安い店(セルフもフルも)がある当店には150円という値付けは無理なので、粗利10円ちょいで踏ん張るしかない。
8月2日燃料油脂新聞より
SS過疎地問題対策「採販できる環境を整備」福島県内地場経営者
福島県内でも市町村内にSSが1~3か所しかない過疎地が存在するが、業界関係者の一人は「運営者が抱える事情や取り巻く環境はさまざまで、一口に問題や対策を論じるのは難しい。しかし、悲観的要素ばかりではない」と語る。
SS減少の背景に施設の老朽化、店主の高齢化、後継者の不在が指摘されるが「現店主がその代限りの商売をいつまで続けられるかは、環境も大きく左右する。それは採算販売にほかならず、環境を整備していくことこそ重要」と指摘。
店主が今すぐの廃業を思いとどまり「できるところまで商売を続けてみよう」と思えるような市場を形成し、維持する必要性を訴える。
「こうした取り組みにより、地域のSS減少スピードを和らげることはまだまだ可能だ」としている。
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確かに先ずは採算販売、
・・・だけど....
一番はお客様かな。
Tポイントの後付けが出来ないことで文句を言うような“車はセルフで携行缶だけ当店”の消費者
窓拭きやゴミ捨てのサービスが無いことで文句を言うような消費者
こういう人達の為に店を続けているのではない。
以前のような“全ての消費者は業界のお客様”ではない、当店のほんとうのお客様。
それがなければ、いくら採算販売が出来ても店を続けようとはもう思わない。
過去(規制緩和直後)、毎年数百万の赤字でも業転を取らずに自己資産を投入しながら店を続けてきた。
そして平成25年、投資回収不能を承知で地下タンク改正消防法対応工事を行ったー
今(数年前から)、掛売客をはじめとする常連のお客さんたちのお蔭で運営可能な当店の矜持です。
3月末時点 セルフSS 兵庫県が最多
島根県江東市 後継者問題が深刻化 「先が見えず無理いえない」
同県内の中山間地域は都市部と比べて市場が安定しているため「破産的な倒産は少ない」が、反面後継者不在による廃業のケースが少なくない。「需要が少なく販売量も少ないが家族的な経営に徹すればやれないことはない」ただ「息子は都市部で就職しており戻る気はない」
跡を継いでほしい気持ちはあるが、先が見えない状況では無理は言えない。
九州地区 少人数運営のSS増加
SSはもはや大人数でやる職種ではなくなってきたかもしれない。
油外収益拡大を目指す総合販売型SSを別にすれば、燃料油販売を主体としたSSでは極端にコストを抑えた運営形態が増えている。
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サービスをお望みの消費者は、元売の販売子会社が運営する店や元売と資本提携している2者店(特約店の直営)へどうぞ。
元売リテール戦略には必ず「顧客満足」を掲げているので、間違いないでしょう。
ただ、セルフ化している店舗も多いですけど。
和歌山県郡部 SS過疎地拡大懸念 小規模業者 需要減に苦戦
地元客を中心に店頭販売のほか軽油や灯油の配達などで地域に貢献している小規模店が多い。
長年の商いで培った信頼関係のもと、店頭販売のほか軽油や灯油の小口配達を行う業者が目立つ。
最近は、顧客のなかには店との関係より安いセルフで給油する傾向があり、苦戦するSSが出ている。
郡部業者は
セルフの安値を追っても販売量が大きく伸びることはない。採算価格で売っているが、量は減っている。
地元に住んでいてもほかの地域の安いセルフで給油する“ワリキリ型”も増えている。配達も以前に比べて減っている。
と、フルサービスの厳しい現状を語る。
今後、SS過疎地が拡大する懸念が生じており、対策が求められている。
※
全国どこも似たようなものです。
安値店が異業種PBか販社か大手系列店かの違い。
そして過当競争の始まる時期が遅いか早いか。
“ワリキリ型”の地域住民を責めることなど出来はしない。
誰だって安い方が良いに決まっている。
官公需に関しては「地場の中小販売店に配慮を」なんていう“お達し”を政府がしてくれるけど、
個人消費者に向かってそんなことを言える訳がない。
10円前後もの卸格差が、今のこの業界を作ったのです。
大きな卸格差が、小口配達を担っている地場店から顧客を流出させた。
その結果としての、灯油難民やガソリンスタンド過疎地です。

