masumiノート

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現独禁法の下で仕事をしなければならない公取委

2017年06月10日 | ガソリンスタンド3

6月10日燃料油脂新聞より


安売り激増・申告活発 不当廉売“注意”倍増732件
28年度公取委事案7年ぶり増加

ガソリンなど石油製品の不当廉売申告事案について、公正取引委員会が平成28年度中に安売り業者に行った「注意」件数が、732件と前年度の2倍強に増えていたことが明らかになった。
コストコ運営SSや全農SSなどの廉売に対し、周辺販売業者からの調査依頼が相次いだ結果とみられる。
注意が行われた件数は、家電製品や酒類といった他の小売業に比べて増加に転じている。

全石連によると、不当廉売申告は都道府県の石油組合が行う例が多いが、最近では異常な安売りの影響を受けている周辺業者からの申告も増えているという。
石油組合に加え、販売業者が直接申告するケースが増えたことによる措置の増加とみられるが、
業界内には申告事案が「警告」や法的措置の「排除措置命令」に至る例が極めて少ないことへの不満は根強い。

石油製品が最多となるのは過去10年間で初めて。

酒類ディスカウントストアや家電量販店が市場を席巻した結果、地場の中小小売業者が淘汰されたことで申告する業者自体が激減
している実態をうかがわせている。




ぜんせき6月7日 日本と異なる独禁法 中小排除は価格差だけで判断 ドイツより

通常、差別対価や私的独占は、行為に加えて、競争制限の影響(競争の実質的制限や、公正な競争を制限するおそれ)の両者について個別判断されるものの、中小企業が排除される形でのマージンスクイーズに関しては、行為類型だけで審査されることとなった。
つまり、中小企業が排除される場合には、行為だけ、価格差だけで判断される法律になっている。(07年の独禁法改正で)

***


>7年ぶり増加

日本では2009年12月18日に公取委によって「ガソリン等不当廉売ガイドライン」が策定され、翌年1月1日に改正独禁法が施行されました。
新ガイドラインの要点は、供給に要する費用が「総販売原価」であり、実質的な仕入価格に運送費や人件費の一部を加えた価格が、不当廉売に該当するかどうかの判断基準になるもので、
事実上ハードルが下がったことで石油販売業界では不公正取引の抑止に期待が高まり、公取委への不当廉売申告が激増したのです。


しかし結果は期待を裏切るものでした。
「立証責任」と「守秘義務」


それでも今また申告が活発になっている。




死活問題だからです。

その廉売が不当かどうかなんて、販売業者にとっては関係ないのです。

価格差=死活問題なのです。

※その価格差のワケは、「他店(安値店)の売り値が自店の仕入れ値」という恣意的なものです。




けれども、
現在の独禁法では、公取委もこれ以上はどうしようもない。

 

ビール大手、安売り規制で新商品続々

石油の場合は、販売店が激減しても単に蛇口が減るだけで、流れる量に変わりはないから、元売(メーカー)は痛くも痒くもないでしょう。






九州・沖縄地区 給油難民増加を懸念
SSの“ドーナツ化”進む


過疎地なら行政が動いてくれる可能性がある。





減少の歯止めかからず 廃止・廃業5年で281ヵ所
千葉県28年度末SS数 フル636 セルフ435に





エネ庁小山石油流通課長が講演 今後の政策など解説

「ガソリン需要は今後5年で1割、10年で2割の減少となる」との石油需要見通しを示しながら、
災害時の燃料供給拠点としてのSSの役割、官公需問題、SS過疎地域での安定供給の重要性、過疎地域でSS維持のための事例を紹介。
「SSが閉鎖する段階になって、問題を認識するのでは採り得る対策の選択肢が狭まり、事態解決が一層困難になる」と早期の課題認識・検討プロセスの強化を訴えた。
また石油精製・流通研究会の提言を踏まえ、
「同じことの繰り返しにならないような対応が必要」とし、
さらに国内の需給ギャップ問題にも触れ、
「悪環境を断ち切るためには過剰設備削減や設備最適化措置をきちんとやっていただく。そうすることによってSS過疎地が増えないようにすることは消費者利益にもつながる」と話した。

「IMO規制強化や電力用燃料の需要減少に伴い重油の需要自体がなくなってくる。重質油分解装置の有効活用を促し、より一層の重質油分解能力の活用を実現することが求められる」(エネ高度化法3次告示の基本的な考え方)


最後に適正取引慣行ガイドラインの概要を説明し、
「公正な競争環境の構築を図り、石油製品が安定的・効率的に届けられるための環境整備」を促す一方で
「元売と系列業者が対話・協議を通じて相互の認識の相違を埋める」必要性を訴えた。
また
「元売ヒアリングで仕切価格が建値化していないかどうかの実態を把握する」
「ガイドラインを不断に見直す」
「信頼性・透明性の高いスポット価格指標構築の環境整備を引き続き実施する」と
経済産業省としての対応を明らかにし「これからが本番」と述べ、講演を締めくくった。


講演後の質疑応答では元売販社の価格問題が取り上げられ
「仮にSS単体で赤字になっても元売との連結決算でグループ全体は赤字にならない。これがまかり通ればわれわれの仲間は減り、衰退するしかない」と厳しい指摘が寄せられていた。



>元売販社の価格問題

販社だけに限らない。
直営店を複数持っているような特約店の行為も同じこと。

過当競争は資本力がものをいう。







「再投資できる市場環境へ」


(卸格差によって「これ以上にもこれ以下にもできない」と、周辺の安値店より10円前後高値で売るしかない(なかった)地場3者店は別としてー)

卸格差によって商圏内の地場3者店より10円前後も安値で売っていた(売っている)業者は、そんなことをわざわざ訴える必要はないでしょう。

昔のように地場3者店と同じ価格で売ればいい。
再投資可能な粗利を得ることなど簡単なことです。




★この業界は大変恵まれています。

卸格差(差別対価)はある。
中間マージンも得られる。
国からの補助金も、払った税金より多く受け取れる。

注)↑ 大手2者店。





欧州の石油市場・取引慣行

2017年06月10日 | ガソリンスタンド3

※ガソリン価格指標の確立の為、エネ庁が欧州3か国へ視察に行ったのが2016年2月。


5月31日 ぜんせきより

資源エネルギー庁はこのほど石油精製分野の国際競争力強化や、石油流通分野における公正競争市場の確立に向け、昨年10月末から議論を重ね4月7日に最終報告書を取りまとめた『石油精製・流通研究会』の調査事業の一環として、シンクタンクに委託して、イギリスとドイツの石油製品市場や石油製品取引慣行の現状についてまとめた。

それによると、イギリスではガソリンの精製マージンは極端に低いのに「流通マージンには影響を及ぼしていない」と指摘した。
一方ドイツでは、元売と特約店の契約であらかじめ系列玉の最低量さえ守っておけば業転玉を購入することは自由となっており、「系列SSによる製品調達の自由度が業転格差を縮小させる効果が働いている」と分析した。




英国 精製の影響受けない流通口銭 契約期間は最大5年

SS数は長期的に大きく減少してきており、1970年に3万7539ヵ所だったが、近年その4分の1まで減少し、15年には8476ヵ所にまで激減した。
特に石油会社所有SSが顕著に減少、全SS数に占める割合は15%まで低下(16年)
一方、1SSあたり月間販売量(ガソリン・軽油)は一貫して増加傾向にあり、石油会社所有SSの16年における同販売量は424キロリットルと過去20年間に約2倍に拡大。
他方、ハイパーマーケットSSは4その約2倍の885キロリットルに達する。


精製流通マージンは、欧州全体のガソリン余剰に伴い、ガソリンの精製マージンは極端に低いが、流通マージンには影響が出ておらず、ディーゼルと対して差がみられない。
「SSの早期からの減少や、元売によるSS事業からの大幅な撤退が寄与している」と分析した。





6月5日 ぜんせきより


ドイツ 最低引取量 超過分は業転購入“自由” コンビニ併設で存在感

SS数は1970~1980年代に大きく減少。
競争制限防止法によりセルフとフルの販売価格に一定の価格差を設けることが義務付けられたため、セルフ化できないSS業者が撤退を余儀なくされ、SS数は70年の4万6091ヵ所をピークに減少に転じ、90年には1万9317ヵ所まで減った。
90年以降も緩やかな現象を続け、16年には1万4531ヵ所となった。

ドイツではハイパー系事業者もSS事業を手掛けているが、イギリス・フランスのようにSS業界の一大勢力にはなっていない。
その背景にはドイツで施行されている閉店法の影響があると言われている。
また「通常のSSが日用品を購入するコンビニエンスストア的な機能を果たしているため、ハイパー系にガソリン・軽油顧客が集中しにくくなっている」などと分析した。

元売とSSの関係をみると、3分の2の元売ブランドSSは元売社有物件。
社有物件の場合は、元売の直営SSとしてコミッション・エージェント方式。
SSの事業者は販売サービスを元売から下請けする形で、在庫も持たない。
価格も元売が自分で決めており、SS事業者はリットル5セントの販売手数料をもらうため、リスクを元売に極限まで寄せた方式。
元売にとっては価格をコントロールできるため、SSが安売りしたがるのを抑制する効果が期待できる。

系列SSのうち残りの3分の1のSSは、SSが設備を所有し運営する方式。
卸価格はアーガス・、オイルマーケットレポート社、プラッツなどを基準とするスポット指標連動方式。

水準については、スポット価格指標に対してスプレッドの水準を年に1度交渉する。
SSの交渉力に応じて水準に差が出るが、スポット指標連動にすると、業転格差がこのスプレッド分で1年間固定されることとなる。
これにより「SSが仕入れコストが分からない、収益管理できないという問題はない」とした。

これに併せ、年間の取引数量を交渉するが、決められた最低の引き取り数量を超えた分については、SSが業転玉を手当てすることは自由。
元売により系列SSがどの程度の割合の業転玉を取り扱うことを許容するかに関して差が見られるが、シェルの場合は概ね2~3割程度が多いとした。

系列SSによる調達の自由度は、「業転格差を縮小させる効果が働いている」と指摘。
「業転格差が大きいと、系列SSの調達がどんどん業転玉に流れてしまうので元売は系列SSに高く売りにくい。
スポット指標連動方式にすると業転格差が一定の水準で安定する。
事後調整はなく、小売市況が下がった時には、なんとか業転玉を少しでも安いところから買おうと努力することとなる」とした。




6月7日ぜんせきより


日本と異なる独禁法 中小排除は価格差だけで判断 ドイツ

※(簡単に書きます)
元売6社が中小独立系PB-SSに対して、そのPB-SSの近郊にある自社の系列SSの小売価格よりも高い価格で卸していたところ、
当該PB-SSから不当な妨害だとして連邦カルテル庁に申告がなされ、審査の結果、元売6社に対してこのような不当な価格差別を禁ずる命令を下した。
これに対して元売6社が異議を申し立てたところ、02年2月上級地方裁判所は本件における連邦カルテル庁の命令を破棄する判決を下した。

その理由は
1、中小規模のSSと大規模のSSはそもそも対等な条件の競争関係にない。
2、卸売市場において本件6社が寡占状態には無いので、PB-SSは他の卸業者を選択する余地があった。
3、価格の違いが生じた原因が、元売による意図的な差別によるものなのか、6社をはじめとする卸売会社の競争の結果なのか明らかでない


その後07年に原油価格高騰に伴う電気・ガス料金等の値上げが契機となって、マージンスクイーズ規制による低廉なインフラ料金実現機運が高まったことを受けて独禁法が改正され

中小企業が排除される形でのマージンスクイーズに関しては、行為だけ、つまり価格差だけで判断される法律になっている。






日本のガソリンスタンドも恐らく2万店になるまでは減り続けると思います。

数年以内に、品確法の改正や消防法の規制緩和等がなされ、そして独禁法も改正されるー、と予想しておきます。