雑誌『前衛』に連載されていた不破哲三さんの「スターリン秘史」が7月号で完結しました。
最後の数回は朝鮮戦争をめぐるスターリンの秘密外交でした。これまでも、朝鮮戦争の原因については、金日成体制の北朝鮮の責任が指摘されてきましたが、実は朝鮮戦争はスターリンがアメリカ軍をヨーロッパ戦線からアジア戦線に引き込み、東ヨーロッパでのソ連の覇権をより強固なものにするために仕組まれた戦争であったのです。
朝鮮戦争が勃発するまでは、アメリカも東アジアに介入する意図はなく、中国共産党による台湾支配も仕方のないものとみなしていましたが、朝鮮戦争勃発によって中国敵視政策に転換します。毛沢東が率いる中国共産党も、スターリンへの忠誠の意思を表すために、数十万の兵士を朝鮮半島に動員し、40万人が戦死します。中国は、建国直後から悲惨な戦争に動員され、大変な困難に直面し、中国の経済建設の困難を生み出す大きな原因となりました。
この戦争は、朝鮮の国民を巻き込み、数百万人の朝鮮人が犠牲となり、一つの民族が38度線で分断されるという民族の「悲劇」を生み出しました。
さらに、スターリンは、中国を共犯者に仕立てて、日本共産党への乱暴な干渉と分裂工作を強行し、「武装闘争路線」を押しつけますが、その背景が今度の不破さんの連載でいっそう明らかとなりました。
日本共産党が大国の介入、干渉をはねのけ、自主独立の路線を確立したのは「歴史の弁証法」といえるものです。
不破さんの研究で、現代史の謎がいくつも解明されています。非常に知的な刺激を受けました。