フランス映画、「パピヨンの贈りもの」をDVDで観ました。
ちょっと気になっていた作品です。
2002年製作、監督はフィリップ・ミュイル。
私は特にフランスの男優ミシェル・セローがお気に入りです。
おもなあらすじは・・・
元時計職人のちょっと偏屈な老人ジュリアン(ミシェル・セロー)の住むアパートメントに
二人暮らしの母娘が引っ越しをしてきた。
この娘エルザは母親にかまってもらえずほとんど一人ぼっちで過ごしているのだが、ある事からジュリアンと親しくなる。
ある日、ジュリアンは幻の蝶「イザベル」を探す旅に出る時、その車にひっそりとエルザが乗り込んでいた・・・
そんな老人と幼い娘の心の交流を描いた温かいヒューマンドラマです。
まず第一にミシェル・セローの存在感がすごく良いです。
この方はフランス映画界では高く評価されている俳優とのこと。
それも出演作の幅が大きいのも何だか嬉しい。
以前観た「約束ラ・プロミッセ」でも喋れない病人役で男の子との交流を見事に演じきっていました。
ミシェル・セローが子どもに手を焼く表情が何とも言えないほど味わいがあります。
今回の「パピヨンの贈りもの」では少女エルザとの距離に戸惑いながら、自然と湧き出る人間としての情を巧く演じていました。
蝶の収集する趣味を生きがいにしているジュリアン。
彼には息子とのつらい過去と向き合いながら一人でひっそり生きる事が意味あるものと信じていたはず。
その生活を乱すように現れた少女エルザ。
エルザはちょっとこまっしゃくれた面もあり、したたかな面も時々あります。
それでも「母親に愛されたい」と思う一途な気持ちは何とも言えないです。
エルザが疑問に思う事を何でもジュリアンに尋ねるシーン。
そのやり取りからジュリアンはいつの間にかエルザに伝えたい事が湧き出てくるようでした。
勝手に少女を連れだした誘拐犯として手配されちゃうのは可哀そうだけど、フランス南部の山の自然の中を二人で歩き、白いシートで仕掛けをして蝶を待つシーンはとても好きです。
(そう言えば、私は子どもとたくさんの蝶を育てた事があるので幼虫やさなぎ、そして神秘的な羽化の場面を見る素晴らしさは良くわかります。幼虫は気持ち悪くないですよ。)
山では幻の蝶「イザベル」を逃がしてしまったけれど、気付くと身近にいたさなぎが「イザベル」だったというシーンも大好きです。
ラストの方でジュリアンがエルザの母親に話す言葉も好きでした。
若い母親自身も悩み苦しんでいるかもしれないけれど、とにかくエルザを抱きしめてほしい。
そんな事をそっと伝えられるジュリアンの存在・・・とても尊いものです。
エンディングのジュリアンとエルザの掛け合いのように歌う曲がまた最高でした♪
何だか心が温かくなり大切にしたい作品となりました。
ミシェル・セローのまなざしが本当に好きです。
今回の評価は・・・ 星3つ半 ☆☆☆★