[1月8日18時00分 天候:雪 静岡県富士宮市下条 民宿さのや]
リサ「雪が降って来たよ」
私達の部屋は県道に面した部屋である。
そこからリサは顔を覗かせていた。
愛原「ああ。今夜は雪が降るらしいからな。また積もるらしい。……帰りの交通機関に、影響が無いといいがな……」
私達は風呂に入り、既に浴衣に着替えていた。
また高橋のヤツ、私の背中を流すことに躍起になり、他の宿泊客から奇異の目で見られてしまったが……。
高橋と一緒の時は、なるべくビジホにしようと思う。
リサ「そろそろ夕食の時間だよ。食堂行こう!」
愛原「ああ、そうだな」
私は隣の部屋の高橋とパールにも声を掛け、食堂に向かうことにした。
食堂というか、大広間だな。
団体客が宿泊する時は、宴会場としても使えるタイプだ。
しかしながら、今回は団体客は無かった。
まあ、この時期ではさすがにいないか。
愛原「ビール1瓶くらい、飲んじゃってもいいかな……」
高橋「お注ぎします!」
リサ「わたしも!」
愛原「ああ、それはありがとう」
食堂兼大広間に行くと、既に食事は用意されていた。
メインディッシュは豚肉ロースのしょうがやき。
それと、マグロやサーモンの刺身や煮物があった。
どれも、民宿ならではの素朴な料理だろう。
あとこれに、漬物とサラダ、御飯と吸い物がついた。
スタッフ「お飲み物は何になさいますか?」
アルバイトの兄ちゃんが飲み物を聞いてくる。
愛原「ビール中瓶を」
高橋「同じく」
パール「同じく」
リサ「同じく」
愛原&高橋「くぉら!」
リサ「……ウーロン茶で」
スタッフ「分かりました」
それからビールとウーロン茶が運ばれてくる。
高橋「先生、どうぞ」
リサ「先生、どうぞ」
パール「先生、どうぞ」
愛原「お前らなァ……w」
私はリサのウーロン茶の瓶を持った。
愛原「ほら、リサ」
リサ「わぁ!」
高橋「愛原先生の計らいだ。感謝の気持ちを忘れんなよ?」
愛原「何でオマエが偉そうに言うんだよ?」
パール「先生、この飲み物代は……」
愛原「さすがにこれはデイライトさんには請求できないだろうから、俺の奢りでいいよ」
パール「ありがとうございます」
愛原「あとはお茶にしてくれな」
乾杯をした後で、ビールを口に運ぶ。
愛原「長旅の後はこれだな!」
リサ「わたしは、あと1年だっけ?」
愛原「3年だよ」
リサ「結婚は?」
愛原「あと1年……」
リサ「おー!」
愛原「大学行かねーのかよ?」
リサ「大学は……行く。東京中央学園大」
高橋「エスカレーターで上がるタイプですか?」
愛原「いや、そりゃもちろん、高校での成績がモノを言うだろう」
高橋「何だぁ?東大いかねーのか?」
愛原「東大卒は、エージェントを動かす側だろう。リサにはエージェントになってもらいたいというのが政府の考えだから、むしろ高卒でもいいくらいに思ってるんじゃないか?」
リサの希望を聞いてくれるそうなので、リサが大学に行きたいとなったら、叶えてくれるだろう。
だが、もう1度言うように、東大卒のエリートにまでなってほしいとは思っていないようだ。
そもそも、善場主任だって、そんなに有名な大学を出ているわけではない。
だからこそ、白井のような奴でも、客員教授として潜り込めたのだろう。
リサ「……エレンと約束したもん。あと、鬼斬りセンパイ」
愛原「幸い、栗原蓮華の意識は戻ったそうだ。だけど、全身火傷だから、これから厳しいぞ」
リサ「うん」
愛原公一「そこで、ワシの研究が役に立ちそうなんじゃがね……」
愛原学「伯父さん」
公一「ワシの逮捕と引き換えに、研究成果を渡せと政府が言ってきた。全く。ごうつくな連中ぢゃ」
公一は、リサの茶碗にご飯のおかわりをよそおいながら言った。
リサ「おー、山盛り。ありがとう」
公一「何の何の……」
一応はスタッフとして働いているからか、『民宿さのや』と書かれた紺色の法被を着ている。
学「一体、何の話?」
公一「Tウィルスはな、本来、バイオテロ目的に研究されたのではない。アメリカのアンブレラの研究者、アッシュフォード博士は本来、筋ジストロフィーの治療薬として研究しておったのじゃ。それを、会社幹部が悪用しただけのことじゃ。実際、筋ジストロフィーが遺伝してしまった博士の娘、アンジェラ・アッシュフォードを治験者にしたところ、見事症状を抑え込むことに成功した」
学「伯父さん、筋ジストロフィーと火傷と、どう違うの?」
公一「Tウィルスとは本来、細胞を活性化させるもの。制御せんと、それこそ死滅した細胞まで復活させるほどである」
リサ「わたしのTウィルスもそうだったね。でも、その細胞を結局Gウィルスが食べちゃうんだけど……」
公一「さすがにGウィルスは危険過ぎるので、アンブレラからは見放されてしまったが、Tウィルスは細胞の治療薬としても研究価値はある。火傷によって焼失してしまった細胞を復活させるのじゃ」
学「つまり、筋ジストロフィーだけじゃなく、火傷の治療薬としても効果があるというわけか……」
公一「うむ。その通りじゃ。何せ、アメリカのアンブレラ本社は、ラクーンシティが崩壊する前、Tウィルスを材料にした『皺取りクリーム』を販売しておったくらいじゃからな。で、別にそれはゾンビ化の原因には当然なっとらん。老化した細胞を若返らせる効果があったということじゃ」
学「で、蓮華さんには治験者になってもらうと」
公一「ワシが決めたのではないぞ。政府の関係者がそう言っとった。そして、エージェントとして来たのが学達じゃったというわけじゃ」
学「そういうことか……」
公一「どうせエージェント、つまり『代理人』じゃな。その分際では、詳しいことは何も聞かされておらんのじゃろう」
学「仰る通りで……」
公一「学。夕食が終わったら、ワシの部屋まで来い。話を聞かせてやる。そこのお嬢ちゃんも一緒に来い」
リサ「は、はい」
公一「そこの若者達は……」
高橋「【イチャイチャ】【ラブラブ】」
パール「【イチャイチャ】【ラブラブ】」
公一「あー……うむ。部屋でゆっくり過ごすと良い。夜は長いでな」
愛原「お前らなぁ……」
私は呆れた。
まあ、表向きは慰安旅行ではあるのだが……。
リサ「雪が降って来たよ」
私達の部屋は県道に面した部屋である。
そこからリサは顔を覗かせていた。
愛原「ああ。今夜は雪が降るらしいからな。また積もるらしい。……帰りの交通機関に、影響が無いといいがな……」
私達は風呂に入り、既に浴衣に着替えていた。
また高橋のヤツ、私の背中を流すことに躍起になり、他の宿泊客から奇異の目で見られてしまったが……。
高橋と一緒の時は、なるべくビジホにしようと思う。
リサ「そろそろ夕食の時間だよ。食堂行こう!」
愛原「ああ、そうだな」
私は隣の部屋の高橋とパールにも声を掛け、食堂に向かうことにした。
食堂というか、大広間だな。
団体客が宿泊する時は、宴会場としても使えるタイプだ。
しかしながら、今回は団体客は無かった。
まあ、この時期ではさすがにいないか。
愛原「ビール1瓶くらい、飲んじゃってもいいかな……」
高橋「お注ぎします!」
リサ「わたしも!」
愛原「ああ、それはありがとう」
食堂兼大広間に行くと、既に食事は用意されていた。
メインディッシュは豚肉ロースのしょうがやき。
それと、マグロやサーモンの刺身や煮物があった。
どれも、民宿ならではの素朴な料理だろう。
あとこれに、漬物とサラダ、御飯と吸い物がついた。
スタッフ「お飲み物は何になさいますか?」
アルバイトの兄ちゃんが飲み物を聞いてくる。
愛原「ビール中瓶を」
高橋「同じく」
パール「同じく」
リサ「同じく」
愛原&高橋「くぉら!」
リサ「……ウーロン茶で」
スタッフ「分かりました」
それからビールとウーロン茶が運ばれてくる。
高橋「先生、どうぞ」
リサ「先生、どうぞ」
パール「先生、どうぞ」
愛原「お前らなァ……w」
私はリサのウーロン茶の瓶を持った。
愛原「ほら、リサ」
リサ「わぁ!」
高橋「愛原先生の計らいだ。感謝の気持ちを忘れんなよ?」
愛原「何でオマエが偉そうに言うんだよ?」
パール「先生、この飲み物代は……」
愛原「さすがにこれはデイライトさんには請求できないだろうから、俺の奢りでいいよ」
パール「ありがとうございます」
愛原「あとはお茶にしてくれな」
乾杯をした後で、ビールを口に運ぶ。
愛原「長旅の後はこれだな!」
リサ「わたしは、あと1年だっけ?」
愛原「3年だよ」
リサ「結婚は?」
愛原「あと1年……」
リサ「おー!」
愛原「大学行かねーのかよ?」
リサ「大学は……行く。東京中央学園大」
高橋「エスカレーターで上がるタイプですか?」
愛原「いや、そりゃもちろん、高校での成績がモノを言うだろう」
高橋「何だぁ?東大いかねーのか?」
愛原「東大卒は、エージェントを動かす側だろう。リサにはエージェントになってもらいたいというのが政府の考えだから、むしろ高卒でもいいくらいに思ってるんじゃないか?」
リサの希望を聞いてくれるそうなので、リサが大学に行きたいとなったら、叶えてくれるだろう。
だが、もう1度言うように、東大卒のエリートにまでなってほしいとは思っていないようだ。
そもそも、善場主任だって、そんなに有名な大学を出ているわけではない。
だからこそ、白井のような奴でも、客員教授として潜り込めたのだろう。
リサ「……エレンと約束したもん。あと、鬼斬りセンパイ」
愛原「幸い、栗原蓮華の意識は戻ったそうだ。だけど、全身火傷だから、これから厳しいぞ」
リサ「うん」
愛原公一「そこで、ワシの研究が役に立ちそうなんじゃがね……」
愛原学「伯父さん」
公一「ワシの逮捕と引き換えに、研究成果を渡せと政府が言ってきた。全く。ごうつくな連中ぢゃ」
公一は、リサの茶碗にご飯のおかわりをよそおいながら言った。
リサ「おー、山盛り。ありがとう」
公一「何の何の……」
一応はスタッフとして働いているからか、『民宿さのや』と書かれた紺色の法被を着ている。
学「一体、何の話?」
公一「Tウィルスはな、本来、バイオテロ目的に研究されたのではない。アメリカのアンブレラの研究者、アッシュフォード博士は本来、筋ジストロフィーの治療薬として研究しておったのじゃ。それを、会社幹部が悪用しただけのことじゃ。実際、筋ジストロフィーが遺伝してしまった博士の娘、アンジェラ・アッシュフォードを治験者にしたところ、見事症状を抑え込むことに成功した」
学「伯父さん、筋ジストロフィーと火傷と、どう違うの?」
公一「Tウィルスとは本来、細胞を活性化させるもの。制御せんと、それこそ死滅した細胞まで復活させるほどである」
リサ「わたしのTウィルスもそうだったね。でも、その細胞を結局Gウィルスが食べちゃうんだけど……」
公一「さすがにGウィルスは危険過ぎるので、アンブレラからは見放されてしまったが、Tウィルスは細胞の治療薬としても研究価値はある。火傷によって焼失してしまった細胞を復活させるのじゃ」
学「つまり、筋ジストロフィーだけじゃなく、火傷の治療薬としても効果があるというわけか……」
公一「うむ。その通りじゃ。何せ、アメリカのアンブレラ本社は、ラクーンシティが崩壊する前、Tウィルスを材料にした『皺取りクリーム』を販売しておったくらいじゃからな。で、別にそれはゾンビ化の原因には当然なっとらん。老化した細胞を若返らせる効果があったということじゃ」
学「で、蓮華さんには治験者になってもらうと」
公一「ワシが決めたのではないぞ。政府の関係者がそう言っとった。そして、エージェントとして来たのが学達じゃったというわけじゃ」
学「そういうことか……」
公一「どうせエージェント、つまり『代理人』じゃな。その分際では、詳しいことは何も聞かされておらんのじゃろう」
学「仰る通りで……」
公一「学。夕食が終わったら、ワシの部屋まで来い。話を聞かせてやる。そこのお嬢ちゃんも一緒に来い」
リサ「は、はい」
公一「そこの若者達は……」
高橋「【イチャイチャ】【ラブラブ】」
パール「【イチャイチャ】【ラブラブ】」
公一「あー……うむ。部屋でゆっくり過ごすと良い。夜は長いでな」
愛原「お前らなぁ……」
私は呆れた。
まあ、表向きは慰安旅行ではあるのだが……。