報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「マリアンナの行方」

2016-01-22 19:28:34 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月16日13:00.天候:曇 アルカディア王国西部辺境オークタウン中心部 稲生勇太]

 稲生はアルカディアシティに向かう前に、この町で魔道師に関する情報を集めようと思った。
 そこで再び、稲生達が旧貴族への屋敷に対する無断進入の廉で叱責を受けた番所に行ってみることにした。
 番所にはアルカディア王国の正規軍の役人が派遣されて詰めている。
 まあ、アメリカで言うところの保安官みたいなものだ。
 アルカディア王国では地方の町村でも、中央から派遣された国家憲兵が治安維持に当たっている。
「こんにちはー」
 稲生が番所に到着すると、ノックをして入った。
「ん?何だ、またアンタか。まだこの町にいたのか」
 稲生達をこってり絞った小太りの役人は、稲生を見て嫌そうな顔をした。
「すいません。明日には出て行きますんで、今日のところは勘弁してください」
「まあ、いつまでいようと勝手だが、禁止事項に触れるようなことはやめて頂きたいね」
「はい、気をつけます。ところで今回は、ちょっと聞きたいことがあって来たんです」
「聞きたいこと?」
「あの旧貴族の屋敷には、魔法の結界が張ってありました」
「ああ。魔道師さんに頼んで張ってもらった。最近、トレジャーハンターという恰好いい名前で盗賊稼業をする輩が増えて来たんでな。おかげで、5人くらいは真っ黒焦げだよ」
 役人は嘲笑めいた笑みを浮かべた。
 アルカディア王国では、あまり加害者に対する人権意識は小さいようである。
「その魔道師さんが結界を張ったのは、いつですか?」
「ほんの3日くらい前だ。取り壊し直前が1番、危険な時だからな。旅で立ち寄ったらしかったが、ちょうど良かったよ」
「3日前……」
 稲生は首を傾げた。
 だが人間界と魔界では、流れる時間が違う。
 もしかしたら、先にマリアが魔法陣に吸い込まれたとしたなら、その後で吸い込まれた稲生とは数日間くらいのブランクはあるかもしれない。
「その魔道師さん、マリアンナ・ベルフェ・スカーレットさんでは無いですか?」
「名前は名乗らなかったが、少女みたいな魔道師さんだったよ」
「この人ではないですか?」
 稲生はスマホのホーム画面を見せた。
 稲生とマリアが一緒に写っている。
 マリアは照れ笑いを浮かべていた。
「あー……こんな感じだったかなぁ……。いや、終始ずっとフードを深く被ったままだったからね。でも確かに金髪のおかっぱで、そういう緑のブレザーとグレーのプリーツスカートを履いていたよ。で、黒いストッキングだったね」
「やっぱり!」
 99パー、マリアだと稲生は思った。
「その人、今どこに!?」
「取りあえず、結界の報酬をもらって、『レッドスターシティに向かう』と言ってたね」
「レッドスターシティ!?……って、どこですか?アルカディアシティとはまた別?」
「まあ、アルカディアシティとこの町の中間地点にある町かな。シティというくらいだから、人口はそこそこ多いよ。まあ、王国西部の州都みたいなものだ」
「へえ……」
 西部州なる地域だったのか、ここは。
(しかし、同じ魔界にいるのなら、どうしてマリアさんは連絡をくれないんだろう?)
 そもそも、稲生のスマホ(魔法で、魔界であってもマリアやイリーナとは繋がるようになっている)でも連絡が取れないのだから……。

[同日18:00.オークタウン中心部の宿屋 稲生&アレクサンドラ(サーシャ)]

 稲生は仮眠を取っていたサーシャと合流し、1階の酒場兼食堂で夕食を取っていた。
 サーシャはしっかり酒を頼んでいる。
「で、どうなんだい?情報は入ったかい?」
「ええ。ここからアルカディアシティに向かう途中に、レッドスターシティという大きな町があるそうです。その町にマリアさんが向かった可能性があります」
「その町、何かあるのかい?」
「分かりません。ここの役人さんの話だと、王国西部の中では1番大きい町だそうですが、薬師系の魔道師さんが色々な薬を作っている場所があるということです」
「ふーん……」
 薬師系というとポーリン・ルシフェ・エルミラというイリーナの姉弟子を思い浮かべた稲生だが、彼女とそこがどういう関係なのかまでは分からなかった。
 だが、何らかの接点はあるだろう。
 マリアもそれを期待して向かったのではないだろうか。
 稲生自身、役人から情報を得るまで、マリアが魔界にいることは憶測の域を出なかった。
 ましてや先に魔界に来たマリアは、後から稲生も吸い込まれたことなど知らないだろう。
「じゃあ、何だい?急いだ方がいいかもね」
「はい。最悪、その町でも会えない恐れがあります」
「……だね。ま、その時はアルカディアシティまで行くしか無いね」
「はい」
「そうだ。稲生はあの安倍首相と知り合いなんだろ?」
「ええ」
「稲生のその魔法具で、直接安倍首相と連絡は取れないのか?」
「魔界にはアンテナや基地局が無いので、このスマホは使えないんです」
 稲生は残念そうな顔をした。
 魔界の電話は明治時代のものと大して変わらない。
 つまり、固定電話しか無く、その固定電話も直接電話線を通して、交換局を介して通信を行うという前近代的な方式だ。
「でも凄いよなぁ、魔道師の持つ魔法具って。見えない相手と話ができるだけじゃなく、その文字盤(ホーム画面)に絵まで映し出せるのか」
「そうなんです。この人がマリアさんです」
 稲生はホーム画面に設定している2人の写真を見せた。
「おー、かわいいコだね。15〜16……いや、17〜18歳……いや、やっぱり16〜17歳……?」
「25歳です」
「私らより年上っ!?……ま、まあ、魔道師さんって、往々にして見た目年齢と実年齢が合わないっていうからな。稲生も実は300歳くらいとか?」
「いやいや、僕はまだ見習なので実年齢のままです。サーシャと同い年ですよ」
「そうか」
「確かにマリアさん自身、もともと童顔というのもありますし、魔道師になったのが18歳の時ですから、その頃から変わらないのは無理も無いです」
「なるほどね。じゃあ、稲生が好きな人の絵を見せてくれたことだし、私も見せようかな」
 サーシャは首から掛けているペンダントを取り出した。
 その中に小さな人物画が入っていた。
 つまり、ロケットペンダントである。
 精悍な顔付きの男性であった。
 稲生のイメージで重戦士というと、もっと藤谷みたいな巨体の男戦士をイメージしていたのだが、これだと映画のグラディエーターの出演者みたいな感じだ。
「稲生は見覚え無いよねぇ?」
「……何しろ、映画とかに出演する人達みたいな感じで、見たことあるって言われればそんな気もするし、無いと言えば無いし……」
「まあ、そうだよね」
「すいませんね。僕にもう少し魔力があれば、それでエリックさんを魔法で捜索することができるんですが……」
「いいよ。無いものはしょうがない。とにかく、まずはレッドスターシティに向かうことだな。もしかしたら、そのマリアンナって人がエリックを捜せるかもしれないんでしょ?」
「そうです。マリアさんもよく水晶球を使っているので、可能だと思います」
「よし。そうと決まったら、明日は早起きしてその町へ向かうよ」
「どのくらいで着けるでしょうか?」
「まあ、私の足……というか、稲生の足に合わせないとダメか。それなら1週間で着けるんじゃない?」
「い、いっしゅう……かん!?」
 稲生はフリーズして、ポロッと持っていたフォークを落としてしまった。

 本当、昔の人達は徒歩で何日も掛けて旅をしていたのだから、発達した交通手段を惜し気も無く利用している現代人としては恐れ入る。
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本日の動向 0122

2016-01-22 17:27:14 | 日記
 今日はいつも仕事ばかりでしか来ない都内に足を運び、乗り鉄と乗りバスをしてみた。
 池袋まで埼京線に乗るが、特に所属寺院に寄る気は無かった。
 乗り鉄・乗りバスのついでというのは不敬であると考えたのと、行ったところで何の旨味も無いからである。
 私の信心の原点は末寺ではなく、本山に有りと考えているので。
 まあ、大原点は顕正会なんだけどね。
 早く、顕正会が宗門復帰してくれないかなと願っているよ。
 そしたら私も戻るんだけどね。

 池袋駅東口の旧・池袋三越の裏には国際興業バスの停留所があり、そこから光02系統の光が丘駅行きに乗ってみた。
 埼玉の国際興業のイメージが強いだけに、都内の前乗り・後ろ降りには違和感を覚える。
 ついつい埼玉のイメージで、後ろから乗りそうになるのを堪える。
 都営バスは皆ノンステップバスになってしまったが、国際興業バスではまだワンステップバスも残っている。
 昔はワンステップバスの方が良いような気がしていたが、今では何だか中途半端感が拭えない。
 実はここの国際興業バスには路線を問わず、思い出がある。
 私の母校である東京交通短大の近くを通るので、よく通学に使っていたのだ。
 当時はツーステップバスが主流で、中扉が折り戸2枚なんてのもあったり、後ろ側がロングシートになっていたりと面白い構造になっていたのだが、今では猫も杓子も引き戸になってしまったな。
 私が初めて顕正会に折伏という名の勧誘を受けたマックも、まだあったよ。
 紹介者のヤツ、元・妙信講員の上長なんか連れてきやがって、そいつに功徳語らせるもんだから、すっかり騙されたな。
 学会の折伏大行進時代に並行して、熱心な折伏をやっていた妙信講に折伏され、その上長の祖父が日蓮正宗に入ったのが始まりだったそうだ。
 当時から妙信講は宗門に対して色々と問題を起こしていたようであるが、それは学会も同じこと。
 しかしながら、それでも両者は正式な信徒団体ではあったから、それなりに功徳もあったわけだ。
 要はその時の名残り功徳によるものを、さも顕正会の功徳のように語るもんだから、私のように騙された者が当時は多かった。
 元・妙信講員達の罪は、単なる顕正会員よりも強いものと思うので、猛省して頂きたいものである。
 浅井会長を止められなかったという責任も上乗せされるからね?一応言っておくけど。
 あの妙信講員達にでさえ功徳はあったのだから、いま宗門でお世話になっている私も、いずれは熱心な信徒に変身させてくれる何かがあるだろうと期待しているが……。
 今の状態では到底ムリかなw

 そんなことを考えながら、バスは12時ちょうどに発車した。
 当時とは車内メロディも変わったが、ルートは全く変わっていない。
 トチ狂った藪医者弥太郎が暴走して突っ込んだ現場を横目に、まずはサンシャイン60の麓へ向かった。
 この路線はしばらくの間、国道254号線川越街道を進むことになる。
 私の短大の最寄りバス停は池袋4丁目。
 バスを降りて、横断歩道を渡り、狭い路地を進んだ所にある。
 その路地の入口には重林寺という他宗(どこの宗派か忘れた)の寺があり、紹介者が、「謗法、罪障」と言いながら通学していた。
 でも不思議と、誰も法論に行かなかったという……w

 さいたま市にはシルバーパスなるものは無かったように思う。
 その点、東京都のお年寄り達は恵まれている。
 私も歳を取ったら、都内に引っ越したいね。
 何か、田舎に行きたいという人がいるようだが、私はその逆だ。
 都会の方が年寄り向きだと思うのだが……。
 都営バスだけでなく、国際興業バスもシルバーパスで乗れるらしい。
 平日の昼間ということもあり、お年寄り達で混んでくる。
 が、私の席はお年寄りに譲れる場所ではなかった。
 今日びの路線バスの運転席真後ろの席を、杖をついたお年寄りに堂々と譲れる度胸のある人は挙手!
 私は無かったがね。
 運転席真後ろの席に座っていると、運転席に備え付けられている、運転手が携行する運行表を見ることができる。
 軽井沢のバス事故の運転手にあっては、この運行表が無かったらしい。
 都営バスもそうなのだが、結構キツキツの勤務になっているのが分かる。
 4往復か5往復するような行路になっているのだが、折り返し時間10分間だけが途中の小休止の時間のようである。
 これ、もし10分以上バスが遅延したら休憩無しってことだよな。
 路線バスも危ないかもしれん……。

 光が丘駅には5分遅れで到着。
 だいたい1時間くらい掛かった。
 私のようなバス・フリークス以外だったら、絶対にブクロから乗り通すことは無いだろう。
 ここから都営大江戸線に乗り換える前に、都営バスの定期を更新する。
 都営地下鉄の駅にも定期券販売機があるが、ここで地下鉄だけではなく、都営バスの定期の更新もできるのだ。
 その後で、都営大江戸線へ。
 ここから上野御徒町駅まで向かったが、あえて都庁前駅で乗り換えはしなかった。
 で、光が丘駅からその駅まで乗り通すと1時間掛かる。
 地下鉄で1時間乗り通したことのある人、挙手!
 鉄ヲタでなかったら、絶対にやらない乗り方だ。

 上野御徒町駅からJR上野駅に移動し、そこで昼食。
 美味いソバ屋が駅構内にあるのだが教えないw
 知りたかったら、私とお会いした時にでもお教えしましょう。
 美味いソバを食べた後は、13番線から発車の宇都宮線に乗り換えた。
 13番線と言えば当小説でも出させてもらったが、発車メロディが“あゝ上野駅”である。
 13番線だけそれだ。
 せっかくだから特急ホームでも流せばいいのに、何故かそのホームは違う。

 大宮駅東口のブックオフに行って何か掘り出し物でもないかと思ったが、特に見当たらなかった。
 漫画のところ、立ち読みの学生達がウザいので、平日午後に行くべきではないだろう。
 警備業の特権で、次回は平日の午前中に行ったるw
 それにしても、エロDVDのコーナーが何の隔離もされず売っているとは驚きだ。
 埼玉のPTAは仙台よりおとなしいのかな。

 帰宅すると顕正新聞1月25日号が届いていた。
 珍しく遅延しないで到着したなと思い、見てみると成人式の特集だ。
 人生の恥部だな。
 ん?そういや、宗門でも成人式やったんだよな。
 その時私は北海道に行ってたから、全然知らなかったよ。
 写真を見る限り、みんな振袖の似合うきれい所が揃っているのに、実に勿体ない。
 劣化してから法華講に来るもんだから、そりゃあ華もヘッタクレも無いよ。
 この新聞、いつもより何かおかしい。
 登用試験の写真には説明があるのに、他の写真には何の説明も無い。
 特に、2面の写真なのだが、私は一瞬何の写真だか分からなかった。
 成人式のものだとは、写っているのが若者達だけであるのと振袖の若いコ達が写っているので分かったが、1番下のツーショット写真が分からん。
 結婚式でもやったのか?
 ちゃんと説明を入れてくれないと分からないよ。
 それと、体験発表をしている面々だ。
 何か、いつもより悪道の顔をしている面々が多いような……?
 新聞に実名が出ているからこちらも実名を出させてもらうが、男子部57隊の岩田支隊長が随分と修羅界剥き出しの顔に見える。
 法華講の体験発表でも、真剣な眼差しで喋る人はいるものの、それと比べて明らかにこの支隊長さんは修羅界の顔なのだ。
 不良信徒の私から見てそう思うのだから、よっぽどなのだと思う。
 サトーさん、安心してください。血脈は受け継がれてますよ!
 ケンショーレッドの髪のボリュームが少し控え目になったことは、これ以上触れないでおこう。
 それと目を疑ったのは、婦人部長崎支区の稲垣総班長。
 何ですか、この髪型は???
 私も自分の髪は丁寧にセットする方ではなく、むしろ寝癖さえ無ければそれで良い的な考えであるのだが、いや、ちょっと……。
 これ、写真アップした方がいいですかな?
 あ、山門入り口さんがアップしてくれるかな。
 いや、何か変ですよね?
 こういう髪型ってあるのかな???
 何か、この総班長さんも三悪道に染まっている感がハンパ無い。
 いや、これ、いま宗門に来られても講中の和を乱されるだけじゃないか?
 もっとも、劣化されてから来られても誰得って感じなんだが……。

 何か、今の顕正会員を助けてあげたい気になれない。
 どうぞ、勝手に自滅してくださいって感じだ。
「そんなこと言わないで助けてくれ!」
 と、メーデーを出しておられる顕正会員さんにあっては、トチロ〜さんを御紹介しておきますので、連絡ください。
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小説の途中ですが、ここで本日の雑感をお伝えします。

2016-01-21 22:59:09 | 日記
観光バスが単独事故、乗客24人が軽いけが 東京・大田

 今日も仕事で、警備先の施設にやってきた観光バスを捌いてきた。
 最近バスの事故が頻発しているにも関わらず、未だ無名のバス会社を使い続ける団体さんは存在しているようだ。
 もっとも、無名会社でも真面目にやっている所はあるし、有名会社でも首を傾げる内容の所もあるようだ。
 どことは言わない。実際に乗って確かめてほしい。命の保証はしないがね。
 事故を起こしたこの運転手、気が付いたら中央分離帯が目の前にあったと証言しているらしい。
 かなりの披露と睡魔に襲われていたと思われる。

 実は私も似た経験をしたことがあって、急ブレーキが間に合ったので助かったということがあった。
 まだ私が中距離トラックドライバーだった頃だ。
 私がその時働いていた運送会社では、長距離ドライバーが1週間スパン、中距離が1泊2日ないしは2泊3日の行程で運行に当たっていた。
 さすがに2泊3日の後でまた同じ行程をやらされると疲労が蓄積するもので、私も幻覚を見るほどになった。
 夜中の国道で、実際の道は真っ直ぐなのに、何故かその先が急な右カーブになっているかのような錯覚を覚え、ハンドルを右に切った。
 目の前には中央分離帯だ。
 私の場合はそこで急ブレーキで止まれたから良かったが、件のバスの運転手は止まれなかったか、そもそもブレーキが踏めなかったかのどっちかだろう。
 ちゃんと労務管理もしっかりしていて、安定的な給料が得られるバスの運転手が羨ましいと思ったことがあったが、ここ最近の状況を見て、どうやらバスもトラックも殆ど変わらないことが判明した。
 理想的な人事をしているのは、JRバスとかの大企業あるいは都営バスなどの公営企業だけではないだろうか。
 私の知り合いに、国際興業バスで一般路線の運転手をしている者がいる。
 元は、とある私鉄系のバス会社に就職していたが、いつの間にやら国際興業に転職していた。
 国際興業は総合商社系のバス会社である。
 彼がそこに転職したのは、私鉄系は概して待遇が悪いのだそうだ。
 もっとも、総合商社系とて完璧ではないとのこと。
 本当に完璧なのは、やはり公営系であるという。
 大手私鉄のバス会社にいた彼でさえ、そこから逃げ出すほどだ。
 ましてや、それよりもっと規模の小さい会社の待遇を考えると……。

 私も、間もなくトラックドライバーを辞め、今では警備員として飯を食っている。
 何とか大手の会社に潜り込むことができたし、更にそこの業界で必要な国家資格を一通り揃えることができたので、業界ではデカい顔をすることができるだろう。
 人それぞれに得手、不得手があるということだ。
 いずれにせよ、大型免許自体はまだあるが、宝の持ち腐れ状態である。
 免許更新の度に深視力なんかやらされて面倒なので、次の更新の時に大型免許だけ返納しようかなと考えている。
 もう2度と大型車を運転することはないだろうから。

 大石寺の登山バスを担う富士急静岡バスだが、一応は安全性について公式サイトでPRしており、未だに事故の話は聞いたことがないが、油断できるものではない。
 ヒュンダイのユニバースという、とんでも車種を使っている時点で嫌な予感が立ち込めている。
 イーエスピーの事故車は三菱ふそうの旧型エアロ、夢湖観光バスはいすゞの新型ガーラだろう(日野の新型セレガとよく似ているが、件のバスのフロント部分に日野のロゴマークが見当たらない)。
 ヒュンダイはそもそも、衝突事故以前にエンジンから火ィ吹きそうで怖い。

 いずれにせよ、安全第一を願うばかりである。
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“大魔道師の弟子” 「次なる目的は」

2016-01-20 21:01:24 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月16日08:00.天候:晴 アルカディア王国西部辺境の町オークタウン郊外の廃洋館 稲生勇太&アレクサンドラ(サーシャ)]

 突然、沈没しかけた船の客室のように大きく前後左右に揺れた屋敷の主人の部屋。
 成す術もなく、とにかく脱出することだけを考えた稲生達は、ようやく主人の部屋を脱出することができた。
 そしてその後、2人はとんでもない光景を目の当たりした。
「おーい!こっちに早く荷車持ってこーい!」
「廃材はちゃんと分別しろよ!そこのゴブリン!廃石材は向こうだ!」
「ピッケル余ってないか、そっちィ!?」
 既に外は明るくなっていた上、屋敷は完全に瓦礫と化し、その周りには人間や魔族を問わず、土木作業員達が闊歩していた。
「な、何だこりゃーっ!?」
「んっ?」
 稲生が驚愕の声を上げると、近くにいた現場監督らしき人間の中年男性が稲生達を咎めるように見た。
「何なんだ、あんた達は!?取り壊し作業の邪魔だ!早く出てってくれ!」
「と、取り壊しぃーっ!?」

[同日10:00.天候:晴 オークタウン中心部の番所 稲生&サーシャ]

「……だからね、ちゃんと門の所に『立ち入り禁止』って書いてあったでしょ?何で勝手に入るの?作業中にケガ人出したってなったら、王国の威信にも関わるわけよ?分かる?」
「はあ、すいません……」
 後で番所に呼び出され、こってり搾られた稲生達だった。
 一般民衆宅と違い、旧貴族の屋敷の解体は王国の威信が関わっているらしい。
 役人の話によると、それまで甘い汁を吸っていた旧貴族が、それを奪った新政権に素直に頭を下げるかって言ったら、そんなことは普通無い。
 最悪、反政府ゲリラ活動をするのがオチだ。
 だから歴史上、そういった旧政権に関わっていた者達は悉く死刑にされてきたわけである。
 つまり、例え無人と言えど、旧政権時代の物件を取り壊すということは、それだけ新政権の威信を見せつけやることの表れなのだという。
 その中枢である魔王城も半分くらいは取り壊され(といっても内戦で元々瓦礫と化したような所だが)、旧館に指定されたそこは急ピッチで建て直しの作業が行われている。

 何とか調書を取って厳重注意で済んだ稲生達は、ようやく番所から解放された。
 さすがにこの小役人に、稲生が安倍春明首相と知り合いだって言っても、信じてもらえそうに無かったからやめておいた。
 こういう時に限って、安倍からもらった名刺は持っていない。
「何だか疲れましたねぇ……」
「もう一泊休んでから、出発しようか。アルカディアシティはまだ先だ。もしかしたら途中の町で、もっといい情報があるかもしれない」
「そうですね」
「ま、何だかんだ言って収穫もあったからさ」
 そう言ってサーシャは笑みを浮かべながら、玉虫色に輝く宝石と金貨5枚を出した。
 貴族の屋敷にあったものにしては、それでもちゃっちぃものであったが、旅の資金としてはまあまあか。
「取り壊し予定の屋敷であっても、これだけのものがまだ残されていたんですねぇ……」
「ま、そんなもんさ。貴族の屋敷なんて……。もっと早く探せば良かったねぇ……」
 因みに番所で取り調べを受けた時、屋敷から持ち出したものとかは何故か調べられなかった。
 稲生が魔道師の名前を出すと、何故か役人はそれ以上追及してこなかったのだ。
 稲生自身が見習とはいえど、魔道師だということに気づいたというのもある。
 そこで取り調べではなく、お説教に変わったのである。
「どれだけ溜め込んでいたんでしょ?旧貴族達は、やっぱり一般民衆から搾取とかしてたのかなぁ……」
「……私が見る限り、そうだったね」
「あっ、そうか!サーシャはその貴族に仕えてたんですもんね」
「まあな……」
 サーシャは複雑そうな顔をした。
 本来ならサーシャも搾取される側だったのだろう。
 それが一応、貴族を守る仕事に就いたことで、間接的ながら搾取する側に回ったということである。
「思えば、旧貴族達も調子に乗り過ぎたんだよ。魔民党(魔界民主党)が出て来た時点で、そいつらに付けば良かったのに」
「まあ、結果論ですからねぇ……」
 例え魔民党についたところで、彼らは魔界の王制廃止・共和制化を訴えていたから、結局は貴族制度は廃止されていただろう。
 その魔民党も安倍率いる魔界共和党との戦いに負け、人間界に追放されたり、魔界共和党に吸収されたりした。
 急速な共和制を廃止した魔界共和党は、再び弱い王制を立ち上げた。
 ルーシーを女王に担ぎ上げ、新憲法で、ある程度の王権は与えた上で、議会にもそれなりの権限を与えた。
 しかし、貴族制度は復活させなかった。
「サーシャはまた仕える貴族みたいなのが出てきたら、そうする?」
「いや……。私はもっと別の……もう少し平和な仕事がしたいね。エリックと結婚したら、こんな剣を振るう仕事なんてできなくなるしさ」
「なるほど」

[同日12:00.天候:晴 オークタウン中心部の宿屋1F食堂 稲生&サーシャ]

「はい、白ローラム鳥のパエリア、お待たせしました!」
 稲生達より年上の青年店員が、2人が注文した昼食を持って来る。
「この町の名産品なんですね。この鳥肉料理は」
「まあ、そういうことだな」
「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。いただきます」
「何だい、それは?魔法の呪文?食事を美味しくする為の?それとも稲生の……人間界の神へのお祈りか?」
「まあ、後者に近いです」
 稲生は照れ笑いを浮かべた。
(つい、まだやっちゃうんだよなぁ……)
 サーシャは鎧を脱いで、スポーツブラとビキニショーツだけになっていた。
 とはいえ、さすがに下が心許ないと思ったか、股当てとショーツの間に着ける前垂れは着けていた。
 それでも股当ての下に着ける程度のものなので、そんなに長いものではない。
「稲生の御師匠さん達とは、まだ連絡は?」
「いえ、ダメです。やっぱり、アルカディアシティに向かうか、その近くまでは行く必要がありそうです。せめて、先生が隠れ家として使っていた郊外の宿屋まで行ければいいんですが……」
 そこのマスターは“魔の者”に殺されたと思われていたが、地下室に閉じ込められていただけであったことが判明し、魔王軍治安維持部隊に救助されている。
「私は夕方くらいまで寝てるよ。さすがに疲れた」
「そうですね」
「いや、大ボスとの対決を期待していたのに、変な展開になったんで、精神的に疲れた」
「あ、はははは……」
 まさか、取り壊し作業というオチだったとは。
「僕は何とか、この町に魔道師さんがいないか探してみます」
「ああ。あまり町の外れには行かない方がいいぞ」
「ええ、気をつけます」
「それと、暗くなる前に宿に戻った方がいい」
「分かってます」

 2人は昼食を取ると、それぞれ行動を開始した。
 当面の資金は確保できたものの(といっても、ある程度の資金は稲生が最初から持っていたが)、肝心の情報が入ってこないようではさすがに困ったものであった。
 せめて、イリーナ達と連絡が取れれば良いのだが……。
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“大魔道師の弟子” 「恐怖の廃屋」

2016-01-19 19:40:37 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月16日00:00.天候:曇 アルカディア王国西部辺境の町オークタウンの宿屋 稲生勇太&アレクサンドラ(サーシャ)]

 稲生のスマホのアラームが鳴る。
「うーん……」
 こんな真夜中に起床したのは、これからダンジョンを探索しなければならないからだ。
 身支度を整えて部屋を出ると、既に部屋の前にはサーシャが腕組みをして待っていた。
「ちゃんと起きれたみたいだな。目は覚めたか?」
「まだちょっと眠いですけど……」
「ま、冒険にはこういうこともあるさ。お宝を見つけたら、パーッとやって疲れを癒そうよ」
(サーシャ、お宝には興味が無かったんじゃ……?)
 しかし、そこは黙ってておく。
 1階に下りると、さすがに酒場の営業も終了したようだ。
 人間界の大都市の繁華街では、まだ盛り上がっている時間なのだが。
 フロントに行くと太った女将ではなく、波平さん頭のマスターが座っていたのだが、肘をついて居眠りしていた。
 まだ、魔道師エレーナが住み込みバイトをしているホテルの方が真面目と言える。

[同日01:00.天候:雷 オークタウン郊外の廃屋 稲生&サーシャ]

 何でこういうホラーチックな展開になると、都合良く雷が鳴るのだろう。
 さすがに最近の新しいホラー映画もそれに気づいたのか、都合良く雷が鳴ることもなくなったようだが。
「あれ?結界が……」
 聞き込み調査によると、夜は結界の力が弱まるものの、まだ存在しているということだった。
 ところが実際に行ってみると、全く存在が見えない。
 見えないほどに弱まったのか、或いは……。
「消えてるね。もしかして、先客か?」
「ええっ?」
「ま、いいや。私は素人だからね。あなたに任せるよ」
 稲生はまたもや宿屋から持ち出した安物のコップを取り出して、結界があった所に投げた。
 昼間の通りなら、レーザービームが飛んできて焼き払われるはずだが、コップはそれを通り越して屋敷の中に飛び込み、普通に石畳のアプローチの上に落ちて割れた。
「おー、やっぱり結界が消えてる。誰かが破ったのか?」
「ちょっと待ってください」
「だから敬語はいいって。ホントに律儀なヤツだなー。もしかして、好きな先輩魔道師さんにも遠慮してたりしてる?それだと進展しないよ」
「余計なお世話です……いや、だよ」
 稲生は少しムッとしながらも、結界があった辺りを調べてみた。
 すると、結界があった場所の下に細かい紙切れが落ちていた。
 それをかき集めてみると、件の結界の形に似た図柄が描かれていたようだった。
「これは何?」
「依り代ですね。イリーナ先生みたいなベテランは無から結界を張り出すことができますが、経験がまだ足りない魔道師は、結界を張るに当たって、『下書き』が必要になります。例えば魔法陣を描いて、それに結界を張ってもらうというやり方ですね。でもここは周辺が石畳になっていて、魔法陣が描けないので、紙に描いたものと思われます」
「で、それがバラバラになっているということは……?」
「文字通り、誰かが破ったんだと思いますね」
「てことは、やっぱり先客がいるか。よし。そいつが味方とは限らない。心して行くよ」
「は……はい」
 2人は正門の門扉を開けて、正面玄関に向かう石畳の上を進んだ。

 エントランスまでは何も起きなかった。
 例え廃屋でも鍵くらいは掛かっているのではないかと思われたが、重厚な木製の観音開きの玄関は簡単に開いた。
「やっぱり先客がいるね」
 廃屋だから当然だが、館内は真っ暗である。
 時折、雷光が窓から差し込んでくるくらい。
「明かりくらい何とかならないのか?魔法で」
「いや、魔法でなくても大丈夫です」
 稲生はローブの中から懐中電灯を出した。
「おおっ?面白い道具だな。これも魔法具かい?」
「普通に人間界で売ってるものですけど……」
 稲生は懐中電灯の明かりを点けた。
「で、どこへ行きます?」
「やっぱ、屋敷の主人の部屋に行くべきだな。屋敷の主人なら、お宝の場所を知ってるだろう?そのヒントが部屋にあるかもしれない」
 いつしかトレジャーハンティングみたいになっている。
「屋敷の主人の部屋っていうと、1階の奥でしたっけ?」
「いや、2階の奥でしょ」
「あれ?……あ、そうか」
 マリアの屋敷でも主人の部屋は2階になっているが、マリアはその階下で寝泊まりし、実質的に主人の部屋はイリーナが使っている。
 名義はマリアの屋敷だが、実際の主人はイリーナで、マリアは住み込みの管理人みたいなものだと聞いたことがある。

 マリアの屋敷もそうだが、この屋敷も実際には色々な仕掛けが施されていた。
 例えば、吊り天井になっている応接室。
 絵画に仕掛けられた宝石を取ると、天井が落ちてきて、取った者を押し潰してしまう仕掛けとか。
 これにはその宝石を取った後、天井が落ちてくるまでの間、イミテーションの宝石を代わりに嵌め込んでやると、吊り天井の落下を止めることができる。
 他にもエンブレムを外すと、閉じ込められてしまうが、そこに予め別の場所から持って来た別のエンブレムを嵌めてやると、再び扉は開く。
 そして外したエンブレムをまた別の所に嵌めてやると、隠しアイテムが取れるとかいうものだ。
「稲生も色々知ってるんだね?」
「まあ。マリアさんの屋敷にも、似たような仕掛けはありますから」
「てことは、ここは今、魔道師が使ってるってことかい?」
「あ……!そうか!」
 あまりにもマリアの屋敷にある仕掛けとそっくりなので、逆に何の疑いも持たなかった。
 だが、これはダンテ一門の中で紹介されている仕掛けだ。
 入門した魔道師見習に渡される魔道書にも書いてあった。
「ダンテ一門の魔道師の誰かが使ってるのかな?だとしたら、会えたら話が早い!」
「その魔道師さんに頼んで、エリックの居場所を占ってもらうってことは可能かい?」
「その魔道師さんが、どのジャンルの人なのかにもよりますが、水晶球の扱い方は本科の内容です」
 つまり、ジャンルを問わず、ダンテ一門においては水晶球の扱い(占いも当然含む)は必修科目となっているということだ。
 ポーリンのような薬師系とかだと、水晶球は基本で習ったくらいの感覚なので、尋ね人を探す能力までは期待できないかもしれない。
 だがイリーナくらいだと、物凄く期待できる。
「早いとこ主人の屋敷に行こう。そこにいるかもしれない」
「はい!」

 2階の主人の部屋と思われる所。
「……人の気配はしませんね」
「魔道師さんなら気配を消すことは可能だろう?」
「まあ、そうですけど……」
 稲生はドアノブに手を掛けて回してみた。
 鍵は掛かっていなさそうだった。
「では、開けますよ」
「開けたら稲生はちょっと引っ込んでて」
「どうしてですか?」
「こういう場合、中にいるのはここのボスという展開だったりするんだ。開けた途端、いきなり襲って来るかもしれない。稲生はそんな経験無いだろう?」
「そ、そうですね。できれば避けたい展開ですが」
「そういうことだ。じゃ、行くぞ」
「はい」
 稲生はドアノブを回し、内開きのドアを思いっ切り押し開けた。

 すると!

「わあーっ!!」
「くっ……!」
 サーシャの読み通り、部屋から飛び出してくる者達がいた。
 だが、それはコウモリ。
 いきなりドアを開けられたコウモリが驚いて、何匹か飛び出してきたのだった。
 稲生は驚いて尻もちをついた。
「も、もしかして、魔道師さんじゃなくて、魔族が住んでいたりして!?」
「それならそれで倒してやるまでだ!」
 サーシャは剣を構えて、主人の部屋に飛び込んだ。
「サーシャ!」
 稲生はふらつきながらも立ち上がって、魔法の杖を持って後から入った。
 主人の部屋は雨戸が閉めきられていて外の様子は全く見えなく、それ故に真っ暗だった。
「……誰もいない」
「ええっ?」
「そんなバカな!誰もいないぞ、稲生!」
「先客もいるはずなのに、どうしたんでしょ?まさか、既に先客は帰った後?」
 確かに、これだけ大きい屋敷の主人の部屋の割には室内は殺風景だった。
 古い机と椅子、空になった本棚があるだけだった。
 明らかに引っ越しの後のように、色々と持ち出された跡があった。
「参ったなぁ……」
「何か残ってないか、探してみよう」
「魔法の杖でも使ってみましょう。……金属探知を頼む」
 稲生が手持ちの魔法の杖(というか棒)に向かって話し掛けると、それがまるでハンディタイプの金属探知機のようになる。
 それで屋敷の主人の部屋を調べてみると、一応木張りの床の下に金貨が数枚と、壁の中にどこのものか分からぬ鍵が埋め込まれていた。
「七光石(吊り天井の部屋で見つけた魔界の高価な宝石)が1つと金貨が5枚と、へんてこりんな鍵か。その鍵、どこの鍵なのか調べてみよう」
「そうですね」
 ここで手に入れた物を全てしまい、部屋から出ようとした時だった。
「うっ!?」
「あっ!?」
 突然、室内が大きく揺れ出した。
 大地震だろうか?
 だが、その揺れ方がハンパじゃない。
 立てないほどの大きな揺れ。
 しかも、沈没直前の船のように大きく右に傾いたり左に傾いたりする。
「わあーっ!」
「うあーっ!」
 あまりの傾きに稲生とサーシャはドアの横の壁に叩き付けられた。
 稲生の顔の上に、普段は股当てに隠されたサーシャのビキニショーツが乗っかってくる。
「こ、このままじゃヤバい!稲生、部屋から脱出するよ!」
「は、はい!」
「そのドアノブを開けて……って、私がどかなきゃ動けないか……」
「は、はい……!」
 サーシャがようやく稲生の顔に乗せていた大きな尻をどけた。
 稲生は手を伸ばして、部屋のドアを開けた。
 その直前、部屋にドンッ!と大きな音がして、それ相応の衝撃が走る。
 だがそのショックで、稲生達は部屋の外に飛び出すが如く脱出することができた。
「ああーっ!?」
「!!!」
 その際、稲生達はとんでもない光景を目の当たりにしてしまった。
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