報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「リサの誕プレ」

2023-01-30 20:18:38 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月1日13時00分 天候:晴 東京都中央区銀座 南原清士個展会場]

 リサをモデルにと言っても、桜谷さんの時みたいに、制作中ずっと立っていたり、座っていたりする必要は無いらしい。
 南原氏はリサに対してイマジネーションを掻き立てられたので、その感覚を素に作品を描きたいのだという。
 その為、リサの人物画が描かれたのだが、鉛筆によるラフ画程度であった。

 南原「これでいい。私のイメージが保存されれば、これであとはイケる」
 愛原「そういうものですか」

 怪奇画の描き方にも、色々あるのだろう。

 桜谷「リサ様、先ほど学校に電話しました。さすがに顧問の先生は休みでしたけど、2年生の伊藤先生が当直でいらっしゃったので、連絡しておきました」
 リサ「伊藤先生か」

 リサの美術の教科担任である。
 なので、リサは知っている。

 桜谷「南原先生のことも存じていて、すぐに話が付きました!」
 南原「それは良かった。作品は額縁に入っていたかい?」
 桜谷「それは入ってました。埃被っていましたけど……」
 リサ「確かに管理が悪い」
 南原「ホントにねぇ……。まあ、キミのように気に入ってくれた人なら、少なくとも大事にしてくれると信じてるよ」
 リサ「はい、ありがとうございます」
 愛原「そろそろ行くか。それじゃ、今日はありがとうございました」
 南原「こちらこそ、ありがとうございました」

 私達が滞在している間、個展には何人かの来訪者があった。
 中には売買契約を結んで行く、ブローカーのような出で立ちの者もいたから、南原氏も注目されつつあるのかもしれない。
 何せ、東京都が主催する、学生対象の絵画コンクールの特別審査員に呼ばれるくらいなのだから。

 チーン!(エレベーター到着のチンベル)

 南原「後であの絵は送りますね」
 愛原「よろしくお願い致します」

 私達はエレベーターに乗り込むと、南原氏と別れた。

 リサ「先生、お腹空いた」
 愛原「もうお昼過ぎたもんな。食べてから学校に行くか。高橋の情報だと、ウィンズの前にマックがあるらしい」
 リサ「おー、マック!」
 愛原「奢るよ」
 リサ「おー!」
 愛原「桜谷さんも」
 リサ「あ、ありがとうございます!」

[同日13時58分 天候:晴 同区銀座4丁目 東京メトロ東銀座駅→日比谷線1342S電車1号車内]

 

 案の定、リサはマックでビッグマックを注文した。
 小食そうな桜谷さんですら、ダブルチーズバーガーを注文するくらいだから、若いコはよく食べる。

〔まもなく4番線に、北千住行きが参ります。黄色いブロックの内側で、お待ちください。電車とホームの間に、広く空いている所があります。足元にご注意ください〕

 南原氏の絵を取りに、東京中央学園に向かう。
 幸い日比谷線なら、上野駅まで乗り換え無しで行ける。
 ホームで電車を待っていると、東京メトロの新型車両がやってきた。

〔ひがしぎんざ、東銀座です。足元に、ご注意ください。4番線の電車は、北千住行きです〕

 私達は先頭車に乗り込んだ。
 すぐにホームから、発車メロディが流れてくる。
 曲名は“ノスタルジア”という。

〔ドアが閉まります。手荷物をお引きください。無理なご乗車は、おやめください〕

 最近の流行りなのだろうか、電車のドアチャイムが、JR東日本の通勤電車のそれと同じ音色なのである。
 日比谷線ホームにはホームドアが無い為、電車のドアが閉まり切ると、運転室から発車合図のブザーの音が微かに聞こえてくる。
 それからハンドルを操作する音が聞こえて来て、電車が動き出す。
 この辺りは、都営地下鉄と大して変わらない。

〔次は築地、築地。本願寺前です。乗り換えのご案内です。有楽町線は、お乗り換えください〕

 座席は1つだけ空いている席に私が座り、2人の少女はその前に立っている。
 時折リサが電車の揺れに生じて、私の足と足の間に、自分の足を挟もうとしてくる。
 逆痴漢か!

 リサ「今日の私の誕パは、先生と『四天王』だけで参加するから」
 桜谷「そうなんですか。リサ様のお兄さんは参加されないんですね?」
 リサ「うん。お兄ちゃん、わたしより友達を選んだ」
 愛原「その言い方は、正しいけど酷いよ」

 私は苦言を呈した。

[同日14時13分 天候:晴 東京都台東区上野 東京メトロ上野駅]

〔まもなく上野、上野です。足元にご注意ください。電車とホームの間が、広く空いている所があります。出口は、左側です〕

 

 電車は少しずつ乗客を増やしながら、上野駅に到着した。
 東京メトロの本社もある上野駅は、乗降客も多い。

 愛原「桜谷さん、一緒に家に来るの?」
 桜谷「はい」
 愛原「それで、少し大きめの鞄なんだ」
 リサ「お泊りセット入ってる」
 愛原「ふーん……って、ええっ!?」
 リサ「せっかくの週末だし、今日は『魔王軍』のメンバーで、夜までドンチャン騒ぎ」
 愛原「マジか……」
 リサ「サクラヤ、わたしの誕プレは?」
 桜谷「学校に用意してあります。でも、家でお渡ししますね」

 恐らく、『魔王様の肖像画』とは別に制作したリサの肖像画ではないかな。
 私はそう思った。

 リサ「ん?リンからのLINE」
 愛原「上野凛さんか。彼女も『四天王』?」
 桜谷「そのようです」
 リサ「おー、そうか」
 愛原「何だって?」
 リサ「リコも連れて来ていいかだって」
 愛原「凛さんの妹さんだな。いいよ」
 リサ「ありがとう。寝る所は後で確保する」

 事務所から、エアーベッド持ってくるか。
 事務所に泊まり込むような仕事を想定して、つい購入してしまったが、ぶっちゃけ応接室のソファに横になってもいいんだよな。

 愛原「これで参加者は5人か。まあまあだな」
 リサ「うん、まあまあだね」
 桜谷「『魔王軍』のメンバー全員呼ぶと、大変なことになりますから」

 体育の時に率先してブルマを穿くのが『魔王軍』。
 普段は短パンだが、たまに穿くのが賛助者という位置づけ。

 桜谷「代表して『四天王』が参加するということになりました」
 愛原「うん、それはいいアイディアだな」

 私は大きく頷いた。
 もしも斉藤家が今でも無事に存在していたのなら、そちらに招かれて誕生日パーティーができたのだが、今はもう無理なので。
 私の狭いマンションで開催するしかないのだ。

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3 コメント

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こんばんは! (んっ?)
2023-01-31 23:14:23
何度教えても理解出来ないボンクラ君が与同ブログに居るので
申し訳ないのですがちょっとお借りしますね?

ボンクラの様に切文ではなく,全文挙げます。
http://hokuto-sgi.seesaa.net/category/7290581-1.html

大切なのは最後の部分です。
「この中で「久遠実成の釈尊」とは大聖人のことですね。
「皆成仏道の法華経」とは御本尊。
「我等衆生」というのは自分自身。
 したがって、大聖人と御本尊と自分自身が
 まったく差別なしと解りて(信じて)、
 南無妙法蓮華経と唱え奉るところに
 生死一大事の血脈があるのです」

従って「御本尊様」を「物」だ「道具」だと罵る事は謗法!
返信する
んっ?さんへ (雲羽百三)
2023-02-01 14:42:34
 こんにちは。

 過疎化しているブログですので、宜しければお使いください。
 それにしても、んっ?さんを学会員にしておくのは勿体ないですね。
 是非とも、報恩坊に来て頂きたいくらいですよ。
 あ、河童さんは結構ですw
返信する
有難う御座います! (んっ?)
2023-02-02 12:24:34
河童君,決着のついた話をオウムの様に繰り返すだけww
御本尊様の議論をしてるのに形勢不利とみると
戒壇様の話に狭めようと必死になってるww

御本尊様の議論は既に8年前に終わった話です。
此の時点でアク禁にしてれば与同は免れたのにね?長くなるけどご容赦ください<(_ _)>

2015/2/18
曼荼羅道具論の終焉  
前回のコメント欄では白熱した議論が展開された。参加者こそ少ないものの内容的にはけっこう充実した議論だった。

その結果をズバリ言おう。沖浦氏の負けである。

んっ?氏の最初の一撃で勝負がついた。
そこで沖浦氏はノックアウトされた格好である。

実は一年ほど前にも似たような議論があって、
わたくしもあれこれと書いた。
興味のある人は一昨年の暮れに遡って
拙稿をご覧になられるとよいだろう。
当時は学会未活動者という名乗りの人物が盛んに投稿していたが、
ある日突然のごとく、消えてしまった。

物体本尊は本尊にあらず・・・

彼はこんなようなことを主張し続けていたわけだが、
おそらくは己の間違いに気がついたのだろう。
そこで消えた。

ところがその片棒(?)を担いでいた沖浦氏は、
相も変わらず自説に固執し続けている。
彼の曼荼羅道具論は事実上の破綻を来たしているにもかかわらず、
ここに来て、再び持ち出してきた。

「曼荼羅は出世の本懐でも、三大秘法でもありません。
 私共が信心をするための道具です。」

これに対する、んっ?氏の反論が秀逸だった。

2015/2/16 10:21
投稿者:んっ?
「百界千如は有情界に限り一念三千は情非情に亘る,
 不審して云く非情に十如是亘るならば草木に心有つて
 有情の如く成仏を為す可きや如何,
 答えて曰く此の事難信難解なり天台の難信難解に二有り
 一には教門の難信難解二には観門の難信難解なり,
 其の教門の難信難解とは一仏の所説に於て
 爾前の諸経には二乗闡提未来に永く成仏せず
 教主釈尊は始めて正覚を成ず法華経迹本二門に来至し給い彼の二説を壊る
 一仏二言水火なり誰人か之を信ぜん此れは教門の難信難解なり,
 観門の難信難解は百界千如一念三千非情の上の色心の二法十如是是なり,
 爾りと雖も木画の二像に於ては外典内典共に之を許して本尊と為す
 其の義に於ては天台一家より出でたり,
 草木の上に色心の因果を置かずんば
 木画の像を本尊に恃み奉ること無益なり」
(観心本尊抄)

「道具」などではない! 「非情」といえども「仏」!
誰かさんは,「道具」に帰命するのか?

結論を言えば、沖浦氏の曼荼羅道具論は
易信易解の爾前権教にカテゴライズされる、
ということだ。

別の言い方をすれば、
沖浦氏には曼荼羅御本尊が仏様の当体であることがわからない、
紙や板に認められた御文字が仏様の当体であることがわからない、
とてもじゃないが信じられない、
文字通りの難信難解ということなのだ。

沖浦氏にとっては、御本尊を道具としたほうが
信じ易く解し易いのだろうけれども、
それでは易信易解の爾前権教と見なされても文句は言えまい。
習い損ないと揶揄されるのもムベナルカナだ。

以上、今回のポイントは易信易解・難信難解である。
このキーワードを避けて百万言を費やしたところで、無意味である。
もし自分は負けていないと思うのならば、
これに正面から取り組むべきだろう。
返信する

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