[5月10日23時00分 天候:雨 沖縄県那覇市某所 学校法人沖縄中央学園那覇高校・体育館]
突然のバイオハザードに見舞われた東京中央学園の修学旅行生達は、現場のホテルを脱出した後、姉妹校である沖縄中央学園のスクールバスに分乗し、取りあえずそこの体育館に避難していた。
東京と違ってあまり公共交通機関の発達していない沖縄では、学校がスクールバスを保有していることは何も珍しいことではない。
自分とこの学校では持っていなくても、地元のバス会社に運行を委託している所もある。
沖縄中央学園では、自社便運行。
その為、バスも白ナンバーである。
だがそれが幸いし、早急な救援活動ができた。
地元の医療関係者も有志で駆け付け、生徒達のケガや精神状態のチェックなどが行われた。
幸いにして、救急搬送が必要なほどの大ケガや精神にダメージを受けている生徒はいなかった。
が、一部の生徒達はここではなく、医療設備の整った施設が良いと判断され、それは救急車や学校職員の車などで搬送された。
こんな夜間であるにも関わらず、沖縄中央学園の教職員が動けたのは、その学園においてはテスト期間中であり、その採点や準備の為に、彼らが遅くまで残っていたからというのが挙げられる。
また、スクールバスの運転手は校務員を兼ねており、校務員室で休憩していたり、学校すぐ近くの自宅に帰宅していた為、招集に応じられたというのもあった。
学校の敷地外では、マスコミ関係者が駆け付け、ここに事件に巻き込まれた生徒達が避難している旨の報道をしていた。
テレビリポーター「……以上、現場から中継でお伝えしました。……ん!?」
正門前で現場中継をしていたテレビリポーターの上空に、1機のヘリコプターが通過する。
リポーター「あれはどこのヘリでしょうか?暗いので、所属がハッキリしません。見た目からして、軍用ヘリと思われますが……」
そのヘリに乗っている者こそ、私達であった。
高野芽衣子「取りあえず、ここで降りてもらいますよ。そろそろ降りてもらわないと、私達、誘拐の現行犯で撃墜されてしまいますから」
愛原「BSAAの隊員が乗ってるのにか!?」
レイチェル「まさか、“ブルー・アンブレラ”のヘリコプターに乗り込むハメになるとは……」
高野「あら?あそこで私達が救助しなかったら、今頃タコの化け物と化した絵恋ちゃんのお腹の中よ?」
レイチェル「ちっ……」
高野「愛原先生、ヘリコプターは一瞬だけ地面に着陸します。すぐに離陸しますので、その瞬間に飛び降りてください」
愛原「随分、無茶な降ろし方、させるなァ……!」
高橋「先生、俺が付いてますから!」
愛原「……分かったよ」
高野君が乗降口のスライドドアを開ける。
そして、ヘリパイロットがヘリを降下させた。
ヘリは校庭の地面に一瞬だけ接地する。
高野「今です!」
高橋「よっしゃあーっ!」
愛原「ちょ……おい!」
私は高橋に抱き抱えられるようにして飛び降りた。
おかげで、却ってバランスを崩し、地面を転がった。
愛原「あ、いててて……。せっかく避難したのに、こんなんでケガしてたら笑い者だぞ」
レイチェル「愛原センセイ、グリーンハーブ使いますか?」
愛原「いや、そこまでのケガじゃねぇ!」
ヘリは私達を降ろすと、そのまま急上昇して行った。
高橋「ここからどうするんですか?」
愛原「まずは引率者として、生徒達の安否確認だ!」
生徒達が体育館に避難しているのは既に知っていた。
愛原「三上先生!」
三上「おお、愛原会長と助手の……」
高橋「高橋っス!」
三上「レイチェルも無事だったか!」
レイチェル「……ハイ」
愛原「危うく化け物に攻撃されるところを、軍隊のヘリに助けられたというわけです」
私は“青いアンブレラ”とは言わなかった。
三上先生も軍隊と聞いて、在日米軍かBSAAのヘリだと思ったのだろう。
三上「そうでしたか」
愛原「状況はどうですか?」
私は状況を伺った。
そして……。
三上「沖縄中央学園もテスト期間中ですし、このままずっとここに留まるわけにも参りません。幸いにして地元の自治体が、生徒達の受け入れ先である宿泊先を確保していてくれています。医療関係者によるチェックが終わり次第、そこに移動する予定です」
愛原「移動手段は?」
三上「この学園がスクールバスを出してくれるのと、その宿泊施設が持っている送迎バスも出してくれて、それで何とか移動できそうです」
愛原「そうですか……」
とはいえ、100名近くの修学旅行生全員を全て受け入れられる宿泊機関は皆無に等しく、複数の宿泊施設に分けて入ることになったという。
一部は病院に運ばれた為、一晩そこで過ごす者もいるだろう。
それらは倉田先生が付き添っているとのこと。
三上「私はユースホステルの方に向かいます。そこが50人ほどなら受け入れられるとのことですので」
愛原「なるほど、そうですか……」
あとは、10~20人ずつ市内のホテルが受け入れてくれるらしい。
引率者が足りないので、一部は班長や学級委員長などが引率代行をすることになりそうだ。
三上「そういえば、リサさんの姿が見えませんが?」
愛原「ええ。まだホテルにいます」
三上「何ですって!?」
愛原「危険を承知で、今から迎えに行こうと思っていますよ」
デイライトの善場係長も那覇空港に到着し、現場に向かっているという。
そこで落ち合うことになりそうだ。
愛原「どうしますか?私はここにいた方がいいですか?リサを迎えに行きたいのですが……」
三上「そうですねぇ……。どうやら、そろそろチェックの方も終わるみたいですし……」
高橋「俺がここに残りますよ」
愛原「高橋!?」
高橋「三上センセー。愛原先生の不肖にして唯一の弟子である、この俺が残りますよ」
三上「そ、そうですか。弟子の方が残って下さるなら、それはそれでいいですが……」
愛原「リサと合流できたら、連絡します!」
私はそう言うと、まだ雨が降りしきる中、体育館の外に出た。
正門は閉まっているので、通用門から出る形になる。
幸い正門側の方はマスコミ関係者がいるので、通用門の方から出た方がいいだろう。
学校の外に出ると、大通りに出てタクシーを拾った。
愛原「那覇中央ホテルまでお願いします!」
運転手「えっ!?あそこは何かガス爆発だか何だか、大きな事故があって、通行規制されてますよ?」
愛原「その規制線の所まででいいですから!」
あとは善場係長に連絡して、何とか合流するしかない。
運転手「わ、分かりました」
タクシーは現場に向かって走り出した。
突然のバイオハザードに見舞われた東京中央学園の修学旅行生達は、現場のホテルを脱出した後、姉妹校である沖縄中央学園のスクールバスに分乗し、取りあえずそこの体育館に避難していた。
東京と違ってあまり公共交通機関の発達していない沖縄では、学校がスクールバスを保有していることは何も珍しいことではない。
自分とこの学校では持っていなくても、地元のバス会社に運行を委託している所もある。
沖縄中央学園では、自社便運行。
その為、バスも白ナンバーである。
だがそれが幸いし、早急な救援活動ができた。
地元の医療関係者も有志で駆け付け、生徒達のケガや精神状態のチェックなどが行われた。
幸いにして、救急搬送が必要なほどの大ケガや精神にダメージを受けている生徒はいなかった。
が、一部の生徒達はここではなく、医療設備の整った施設が良いと判断され、それは救急車や学校職員の車などで搬送された。
こんな夜間であるにも関わらず、沖縄中央学園の教職員が動けたのは、その学園においてはテスト期間中であり、その採点や準備の為に、彼らが遅くまで残っていたからというのが挙げられる。
また、スクールバスの運転手は校務員を兼ねており、校務員室で休憩していたり、学校すぐ近くの自宅に帰宅していた為、招集に応じられたというのもあった。
学校の敷地外では、マスコミ関係者が駆け付け、ここに事件に巻き込まれた生徒達が避難している旨の報道をしていた。
テレビリポーター「……以上、現場から中継でお伝えしました。……ん!?」
正門前で現場中継をしていたテレビリポーターの上空に、1機のヘリコプターが通過する。
リポーター「あれはどこのヘリでしょうか?暗いので、所属がハッキリしません。見た目からして、軍用ヘリと思われますが……」
そのヘリに乗っている者こそ、私達であった。
高野芽衣子「取りあえず、ここで降りてもらいますよ。そろそろ降りてもらわないと、私達、誘拐の現行犯で撃墜されてしまいますから」
愛原「BSAAの隊員が乗ってるのにか!?」
レイチェル「まさか、“ブルー・アンブレラ”のヘリコプターに乗り込むハメになるとは……」
高野「あら?あそこで私達が救助しなかったら、今頃タコの化け物と化した絵恋ちゃんのお腹の中よ?」
レイチェル「ちっ……」
高野「愛原先生、ヘリコプターは一瞬だけ地面に着陸します。すぐに離陸しますので、その瞬間に飛び降りてください」
愛原「随分、無茶な降ろし方、させるなァ……!」
高橋「先生、俺が付いてますから!」
愛原「……分かったよ」
高野君が乗降口のスライドドアを開ける。
そして、ヘリパイロットがヘリを降下させた。
ヘリは校庭の地面に一瞬だけ接地する。
高野「今です!」
高橋「よっしゃあーっ!」
愛原「ちょ……おい!」
私は高橋に抱き抱えられるようにして飛び降りた。
おかげで、却ってバランスを崩し、地面を転がった。
愛原「あ、いててて……。せっかく避難したのに、こんなんでケガしてたら笑い者だぞ」
レイチェル「愛原センセイ、グリーンハーブ使いますか?」
愛原「いや、そこまでのケガじゃねぇ!」
ヘリは私達を降ろすと、そのまま急上昇して行った。
高橋「ここからどうするんですか?」
愛原「まずは引率者として、生徒達の安否確認だ!」
生徒達が体育館に避難しているのは既に知っていた。
愛原「三上先生!」
三上「おお、愛原会長と助手の……」
高橋「高橋っス!」
三上「レイチェルも無事だったか!」
レイチェル「……ハイ」
愛原「危うく化け物に攻撃されるところを、軍隊のヘリに助けられたというわけです」
私は“青いアンブレラ”とは言わなかった。
三上先生も軍隊と聞いて、在日米軍かBSAAのヘリだと思ったのだろう。
三上「そうでしたか」
愛原「状況はどうですか?」
私は状況を伺った。
そして……。
三上「沖縄中央学園もテスト期間中ですし、このままずっとここに留まるわけにも参りません。幸いにして地元の自治体が、生徒達の受け入れ先である宿泊先を確保していてくれています。医療関係者によるチェックが終わり次第、そこに移動する予定です」
愛原「移動手段は?」
三上「この学園がスクールバスを出してくれるのと、その宿泊施設が持っている送迎バスも出してくれて、それで何とか移動できそうです」
愛原「そうですか……」
とはいえ、100名近くの修学旅行生全員を全て受け入れられる宿泊機関は皆無に等しく、複数の宿泊施設に分けて入ることになったという。
一部は病院に運ばれた為、一晩そこで過ごす者もいるだろう。
それらは倉田先生が付き添っているとのこと。
三上「私はユースホステルの方に向かいます。そこが50人ほどなら受け入れられるとのことですので」
愛原「なるほど、そうですか……」
あとは、10~20人ずつ市内のホテルが受け入れてくれるらしい。
引率者が足りないので、一部は班長や学級委員長などが引率代行をすることになりそうだ。
三上「そういえば、リサさんの姿が見えませんが?」
愛原「ええ。まだホテルにいます」
三上「何ですって!?」
愛原「危険を承知で、今から迎えに行こうと思っていますよ」
デイライトの善場係長も那覇空港に到着し、現場に向かっているという。
そこで落ち合うことになりそうだ。
愛原「どうしますか?私はここにいた方がいいですか?リサを迎えに行きたいのですが……」
三上「そうですねぇ……。どうやら、そろそろチェックの方も終わるみたいですし……」
高橋「俺がここに残りますよ」
愛原「高橋!?」
高橋「三上センセー。愛原先生の不肖にして唯一の弟子である、この俺が残りますよ」
三上「そ、そうですか。弟子の方が残って下さるなら、それはそれでいいですが……」
愛原「リサと合流できたら、連絡します!」
私はそう言うと、まだ雨が降りしきる中、体育館の外に出た。
正門は閉まっているので、通用門から出る形になる。
幸い正門側の方はマスコミ関係者がいるので、通用門の方から出た方がいいだろう。
学校の外に出ると、大通りに出てタクシーを拾った。
愛原「那覇中央ホテルまでお願いします!」
運転手「えっ!?あそこは何かガス爆発だか何だか、大きな事故があって、通行規制されてますよ?」
愛原「その規制線の所まででいいですから!」
あとは善場係長に連絡して、何とか合流するしかない。
運転手「わ、分かりました」
タクシーは現場に向かって走り出した。